まえがきから引用する。
なにしろ,代数や幾何の勉強は中学に入ってからなので,小学生は定理らしい定理を一つも知りません。 このため,問題の解き方は巧妙を極め,考えようによっては,中学生や高校生が解くよりむずかしいといえるのです.
まえがきでは、中学生や高校生が解くよりむずかしいといえる、とある。 私は老齢だが、少しは問題を解きたい。p.215 にある問題 95 はどうだろうか。
三角形ABCの,辺BCを 2:1 に分ける点を D,辺 AC を 2:3 に分ける点を E とします。 また,AD と BE の交わる点を F とします。AF:FD をもっとも簡単な整数の比で表しなさい。 また,CF の延長と AB の交わる点を H とするとき、三角形 AHC の面積は三角形 ABC の面積の何分のいくつになりますか。
こうなったらベクトルを使ってやる。`a = vec(CA), b = vec(CB)` とおく。 題意から、`vec(CE) = 3/5 a, vec(CD) = 1/3 b` である。 `AF:FD = s : (1-s)` とおくと、 `vec(CF) = s 1/3 b + (1-s) a`。 一方、`BF:FE = t : (1-t)` とおくと、 `vec(CF) = t 3/5 a + (1-t) b`。`vec(CF)` が相等しく、`a` と `b` は一次独立なので、`1-s = 3/5t` かつ `s/3 = 1-t` 。`t` を消去すると、 `s = 1/2` よって、`AF:FD = 1:1`。
つぎに、H を求めるために `vec(CH) = k vec(CF)` とおく。`s = 1/2` だから、`vec(CH) = k vec(CF) = k/2a + k/6b` である。点 `H` が 線分 `AB` を `l:(1-l)` に内分するとおく。すると、`vec(CH) = (1-l)a + lb`。よって、`k/2 = 1 - l` かつ `k/6 = l` これをといて、`l = 1/4` よって、 三角形 AHC の面積は三角形 ABC の面積の4分の1となる
こうしてベクトルを使うと、計算すれば答が出てくるのでありがたいと思う。
数式は ASCIIMathML 記法を使い、 MathJaxで表示している。
書名 | 解ければ天才!算数100の難問・奇問 PART2 |
著者 | 中村義作 |
発行日 | 1990 年 6 月 21 日(第 1 刷) |
発行元 | 講談社(ブルーバックス) |
定価 | 621 円(本体) |
サイズ | 新書判18cm 233ージ |
ISBN | 4-06-132824-7 |
その他 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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