副題は名作・新作パズルがいっぱい!!
著者おすすめ数理パズル・サイトに下記があがっている。
『未菜実の数理パズル入門』
http://www.geocities.co.jp/Berkeley-Labo/6317/index.html
しかし、上記はリンク切れとなっている。
https://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/suri_puzzle/
にあるのかもしれない。
p.42 のコーヒー・ブレークは「無限の不思議」という題である。これは、 いわゆる「ヒルベルトの無限ホテル」の話である。専門の本を読むときには、 この「ヒルベルトの無限ホテル」がキーワードになる。
p.22 には 「Q11 手違いの 1 本」という問題がある。
ある薬局に製薬メーカーの配達員が頭を下げながら入ってきました。「すいません、 同じ錠剤を同じ数だけ 10 本のビンに詰めたつもりが、手違いで 1 本だけ 1 錠あたり 0.1 g 重い錠剤を詰めてしまいました。しかもどのビンだかわからないんです……」。
そこで薬局の主人はいいました、「大丈夫だよ、ハカリを 1 回使うだけで、手違いの 1 本がわかるから」。
はたして、どのようにすればいいでしょうか?
ヒント 錠剤をビンから取り出して計ってもかまいません。
「製薬メーカー」というのは「牛の牛肉」ではないかというツッコミはさておき、 答が p.24 にある。そこには「錠剤を数違いでビンから取り出してビンを区別します」 という題で、解法が書かれている。私の責任でまとめると次の通りだ。
10 本のビンに No.1 から No.10 まで番号をつけ、 No. `i (i = 1, ... 10)` のビンから錠剤を `i` 個取り出す。そして取り出した全部で 55 個の錠剤をハカリに載せる。 重い錠剤があるので、本来の 55 錠の質量が `x` [g] であるべきなのに、 重い錠剤が何個か入った質量 `y` [g] を指し示すはずだ `(x lt y)`。そこで、 `(y - x)` [g] を 0.1 [g] で割れば、その数値は整数になっていて、 それは `i` に等しい。よってビンが識別できる。たとえば、`y-x`[g] = 0.5[g] であれば、No.5 のビンだとわかる。
この答を見て、うまい考えがあるものだと最初は思ったが、やがて納得できない点を感じた。 次の 2 点だ。
さらにもう少し考えてみると、ひょっとしたら 1 錠あたりの正しい重量がわからないとしても、 1 錠の質量に関する何らかの制約があれば解けるのかもしれない。どういうことかというと、本来の錠剤の重量を `z` [g] とすると、 計っているのは `(55 - i) * z + i * (z + 0.1)` [g] であることがわかるからだ。これは結局 `55z + 0.1i` [g] だから、たとえば薬の正しい質量が `2n` [g] (ただし `n` は自然数)であることがわかっていれば、 計った質量を 2 [g] 単位で割ったあまり(端数)を調べれば `z` がわからなくとも `i` は求められる。 もっとも、実際の錠剤は 200 mg から 300 mg ということで 2 g 以上ということはまずありえない。 その場合どのような条件を与えればいいかを考えるのは、パズルを解くのとは別の意味で面白い。 このように条件を与えてその条件を満たすような解を求めることを制約(製薬)充足問題という。 失礼しました。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 脳細胞に効く算数-図形パズル |
著 者 | 川崎光徳, オオハラヒデキ |
発行日 | 2004 年 10 月 10 日 |
発行元 | 成美堂出版 |
定 価 | 900 円(本体) |
サイズ | A5版 111 ページ |
ISBN | 4-415-02887-X |
その他 | 越谷市立図書館にて借りて読む |
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