「まえがき」から引用する。
数学とは本来「楽しい」ものであるべきだというのが、私の根幹にある考え方です。
昔は、本書のような本文は苦手だった。よくいえば親身な、わるくいえばなれなれしい口調の記述が好きではなかった。 しかし、私も年をとったせいか、こんなくだけた口調でもけっこう受け入れられるようになった。
p.47 では次の問題がある。
第6問
`x^200-1` を `(x-1)^2` で割ったときの余りを求めよ。(学習院大学・改)
解法の道しるべが提示されたのち、pp.48-49 に解説では次の記述がある。
ここでひとつお断りを。「微分」がわかる方は、ここで「微分」の発想が出てくるかもしれません。その解法は素晴らしいのですが、本書ではその性質上「微分」は扱わないことにします。 ですのでここでは「微分」による解法は紹介せず、他の方法をとることにします。
その性質上
というのがどういうことなのかわからなかったが、「まえがき」で、本書で扱う分野を「数式問題」、「整数問題」、「図形問題」、「確率問題」の4つに絞ったということが書かれている。
きっと、微分(や積分)は数学的基礎知識がかなり必要だから、扱わなかったのだろう。そこで、本書には載っていない、微分を使った解法を考えてみた。これが素晴らしい
かどうかは私にはわからない。
`x^200-1` を `(x-1)^2` で割ったときの余りを `ax + b` と置く。このとき、次の等式が成り立つ。`P(x)` は適当な整式である。
`x^200 - 1 = P(x) (x-1)^2 + ax + b cdots ①`
上記①に `x = 1` を代入すると次の式が得られる。
`0 = a + b cdots ②`
①の両辺を `x` で微分すると次の恒等式が得られる。
`200x^199 = P'(x) (x - 1)^2 + 2P(x)(x-1) + a` ③
上記③に `x = 1` を代入すると
`200 = a`
これから、
`b = -200`
よって余りは `200x - 200`
なお、本問には別の解法もあるだろう。`x^200-1` を `((x-1)+1)^200-1` と変形し、`((x-1)+1)^200` を二項展開して (x-1) に関する式を得るというものである。 `(x-1)` の項の係数は `{::}_200C_199 = 200` であり、定数項は `{::}_200C_200 *1 = 1` である。よって、`((x-1)+1)^200-1` を `(x-1)^2` で割った余りは `200(x-1) + 1 - 1 = 200x - 200` となる。
数式記述には MathJax を用いている。
書名 | もう一度解いてみる 入試数学 |
著者 | 鈴木伸介 |
発行日 | 2019 年 2 月 21 日(第1刷) |
発行元 | すばる舎 |
定価 | 1950 円(本体) |
ISBN | 978-4-7991-0792-8 |
その他 | 越谷市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 数学の部屋 > 数学の本 > 鈴木伸介:もう一度解いてみる 入試数学