副題は「ピタゴラスの定理から圏論まで」。
0 章は「ピタゴラスの定理から圏論まで」と題されている。ピタゴラスの定理を満たす自然数をピタゴラス数という。 ピタゴラス数に関する次の定理でつまづいてしまった。p.3 から引用する。なお、 本書では式番号を左端にあるが、引用にあたって式番号を右端に移した。
定理1 `(a, b, c)` をピタゴラス数とする.
- `d` を `a, b` の公約数とする.`d` は `c` をわりきり,`(a/b, b/d, c/d)` もピタゴラス数である.
- `a, b` がたがいに素であるとする.`a, b` の 1 つは偶数で,もう 1 つは奇数である.
- `a, b` がたがいに素であるとし,`a` が偶数で `b` が奇数とする. たがいに素な自然数 `n gt m ge 1` で,一方は偶数,もう一方は奇数であり,
をみたすものが存在する.`a = 2nm, b = n^2 - m^2, c = n^2 + m^2`(0.2)
私はこの (0.2) の証明を目で追っていったがついていけなくなった。 途中を書くと、式 (0.4) の導出まではついていけたが、 その先が ? となったのだ。
`aq = 2nm, bq = n^2 - m^2, cq = n^2 + m^2`(0.4)
最終的に `q` が 1 に等しいことをいえばいいが、まず `q` が整数であることをいう。 これにはユークリッドの互除法を使う。`a` と `b` はたがいに素なので `a, b ` の最小公倍数は 1 であり、 `1 = ai + bj` をみたす整数 `i, j` がある。この両辺を `q` 倍して (0.4) を代入すれば、 `q = qai + qbj = 2nm * i + (n^2-m^2) * j` は整数であることがわかる。ここまではわかった。 次は、`q` の範囲を絞りこむところである。 `n` と `m` がたがいに素であることから、`kn + lm=1` となる整数 `k, l` がある。 両辺を 2 乗して 2 倍すると次の式が得られる:
`q` は (0.4) より左辺を割り切るので 2 の約数です.なので `q` は 1 か 2 のどちらかです.
何度か読み直してやっと理解した。つまり、(0.4) の 3 式を変形した式に代入すると次が得られる:
この両辺を q で割ると次が得られる:
書 名 | 抽象数学の手ざわり |
著 者 | 斎藤 毅 |
発行日 | 2021 年 7 月 16 日(初版) |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | 1300 円(本体) |
サイズ | A5 |
ISBN | 978-4-00-029705-9 |
備 考 | 岩波科学ライブラリー、南越谷図書館で借りて読む |
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