日経ビジネス編集部(編):こんな経営手法はいらない |
作成日: 2016-09-17 最終更新日: |
まえがきより「経営手法を否定するのが本書の目的ではありません。経営手法を安易に導入するとどんなに手痛い目に企業が遭うのか、 問題点を浮き彫りにし、改善の第一歩に役立ててもらうのが目的です。」
以下は 2000年の感想です。
日経こそこんな経営手法が必要だとか不可欠だとかさんざ煽っておいて、 こんな本を出してまた儲けるのだから始末が悪い、 という減らず口は叩かずに真面目に読んだ。 全部で6章からなり、 それぞれの主題は SCM、ISO、社員、賃金革命、e 組織、アフターサービスである。 社員とアフターサービスは経営手法でもなんでもないはずだが、と思って読んでいく。 こうした本の常として本当にいらない、とは言わないものだ。 環境がなじまないとか、時期尚早だとか、 逆に時期を逸したとか、もろもろの要因があって失敗した、ということだ。
私の業務は ISO (9000シリーズ) に最も近いから、ここで見ていく。ISO を導入して困っている 企業がいくつか例にあがっている。 しょうもない例は、ハンコがいくつも必要だからわざわざ捺印デーを休日に設定して押しまくっている、というところ。 本当に直すべきは、文書至上主義との決別、組織のフラット化、 権限の明確化なのだ。日立製作所の例になると、 そう簡単な問題でもない。ISO が経営にどれだけ貢献しているか、 この定量化が難しいという。調達の条件がなければ、 ISO の外部機関による認証取得はやめてもいいのではないかと勝手に思っている。 事実、そのようにした例もこの本にある。 ただ、外部監査という枠組みを外すと、どこまでも堕落していくのではないか。 私の ISO 観は、 ダメな企業や組織を立て直すためには外部の力を借りるという意味と明確な目標があるという意味では効果のあるものだと思う。 しかし、マイナスの意味で運用がうまくいかなくなってしまったら、 その品質システムは捨ててしまうべきだ。 また、さらに大きなものを目指したいというプラスの意味であれば、 もっと別の枠組みを探すべきだろう。 ソフトウェアならば、CMM が有名だし、他にも多くの枠組みが示されている。(2000-08-25)
書 名 | こんな経営手法はいらない |
著 者 | 日経ビジネス編集部(編) |
発行日 | 2000 年 6 月 25 日 初版1刷 |
発行所 | 日経BP社 |
定 価 | 1400円(本体) |
サイズ | A5版 |
ISBN | 4-8222-4187-4 |
NDC | 336 |
その他 |
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