前川 守:オペレーティングシステム

作成日:2015-08-30
最終更新日:

概要

コンピュータシステムはハードウェアとソフトウェアがその両輪である。ソフトウェアのなかで重要な位置を占めるのがオペレーティングシステムである。 本書はオペレーティングシステム技術の核となっている部分の解説書である。

感想

全体

オペレーティングシステムが多岐にわたる分野であることがわかる。

イラスト

このシリーズには珍しく、マンガに近い人を描いたイラストがある。p.56 の図3.5 フラグを用いる排他制御、p.80 の図3.21 シーケンサとイベントカウントの概念、 p.100 の 図3.30 ダイニング・フィロソファ問題などがある。

ダイニング・フィロソファ問題

オペレーティングシステムで有名な問題といえば「食事する哲学者の問題」だろう。 ここでは、ダイニング・フィロソファ問題という名前で英語をそのまま言い換えている。pp.99-100 から引用しよう。

5 人のフィロソファ(哲学者)が食卓についている.各フィロソファは考えることと食べることを繰り返す. すなわち,各フィロソファは
while(true)
{think;eat;}
と記述される.テーブルの中央にはご飯がある(原問題ではスパゲッティで定義されているが,ご飯で問題を定義する方が自然である). 食べるときにはフィロソファは自分の前に置かれたご飯茶碗の両側に置かれた箸を 2 本取って食べる(もとの問題ではフォークで定義されているが, ここでは箸で定義する.というのは誰も 1 本の箸では食べられないからである).しかし食卓には箸が 5 本しか置かれていない. そのためフィロソファは,自分の両隣が食べていないときのみ食べることができることになる.フィロソファ i (0 ≦ i ≦ 4) のアルゴリズムを考えるのが問題である.

箸で定義される哲学者の問題はこの本で見たのが初めてで、強く印象に残った。

ちなみに、スパゲッティはフォーク一本で食べられる。また、麺類に形状が近いところてんを箸一本でを食べる習慣もある(ただし、塗り箸ではなく割り箸)。 だから、スパゲッティはご飯に置き換えるべきで、フォークも箸で置き換えるべきだろう。

書誌情報

書 名オペレーティングシステム
著 者前川 守
発行日1988 年 9 月 6 日
発行元岩波書店
定 価3600 円(税別)
サイズ
ISBN4-00-010346-6
備 考岩波講座 ソフトウェア科学 6
NDC

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MARUYAMA Satosi