副題は「プラス 20 点の午後対策」
この本の著者二人は以前に「ネスペの剣 25」、「ネスペ26 道」、「ネスペ27 礎」と毎年平成年度にちなんだネスペシリーズを出版している。 その伝でいくと、この本はネスペ 28 〇 という名前になるはずだが、 今回は趣を変えて、午後の問題だけの解説という枠をあえてはずして、 ネットワークスペシャリスト(ネスペ)の基礎とは何かを解説している。 なお、平成 28 年度の午後 I と 午後 II の問題は、他のネスペシリーズほどの詳しさではないが、 解説と正答が掲載されている。
基礎用語の解説部分は短答式になっているのはよいアイディアだと思う。選択式の回答では生半可な理解にとどまるだろう。 短答式にすることで、正解を導くことのは深い理解が必要だということがわかる。
HTTPS の通信を,プロキシがどうやって中継するのか?という問に対する解説がある。 その解説で、p.230 の上から3行目から4行目は次のとおり書かれている。
そうすれば,プロキシサーバでセキュリティのチェックであったり, URL フィルタリングやウイルスチェックサーバーと連携したセキュリティ対策を行うことができます。
この文章は、何と何が並列なのだろう。それを解明するため、私がときどき使う、文章中の正規表現を援用する。これは、 (A|B) という記法は、A と B が語として並列であるか、あるいは文として並列であることを意味するものとする。 この記法に従うと、 (プロキシサーバによる(セキュリティのチェック|URL フィルタリング)|ウイルスチェックサーバと連携したセキュリティ対策) ととらえるのがまず考えるべきことだろう。さらには、(プロキシサーバ単独でできる|プロキシサーバとウイルスチェックサーバと連携した) セキュリティ対策、 とするのがよいと思われる。 というのも、セキュリティのチェックとURLフィルタリングは並列と考えるより、 URL フィルタリングはセキュリティのチェックの一例として考えるほうがすっきりするからである。 だから、並列になるべきはプロキシサーバが自前で行う対策と、 ウイルスチェックサーバにお任せする外注対策とであるべきだろう。
さて、この理解にたったとして、文章をどう直すべきか。それもまた問題である。
場所 | 誤 | 正 | 備考 |
---|---|---|---|
p.129 7 フラグの説明 | RESET | RST | 意味は RESET であるがフラグの名称は RST である |
p.141 下から2行目 | ノート | ノード | |
p.146 下から1行目 | パスペクタ | パスベクタ |
書 名 | ネスペの基礎力 |
著 者 | 左門 至峰・平田 賀一 |
発行日 | 2017 年 6 月 1 日 初版 第1刷 2017年8月24日 初版 第2刷 |
発行元 | 技術評論社 |
定 価 | 2560 円(本体) |
サイズ | A5 判 ページ |
ISBN | 978-4-7741-8986-4 |
NDC |
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