中嶋 正之, 川合 慧:グラフィクスとマンマシンシステム

作成日:2015-08-30
最終更新日:

概要

感想

本書はコンピュータによる 2 次元グラフィクスや 3 次元立体の表現や処理の方法を中心にやさしく解説した入門書である。

ビジュアライゼーション

ビジュアライゼーションとは、コンピュータグラフィクスの目的でもある、いろいろなデータの可視化である。 その中で、いろいろなソフトが紹介されている。可視化で有名なソフトに AVS がある。 p.244 に AVS の利用例がある。ここのキャプションにある会社は、私が今勤めている会社の旧社名である。ちょっと誇らしい。

同次座標

この本で知ったのではないが、同次座標の概念には感心した。同書の記述から抜き書きしてみよう。

平行移動 `T` ,スケール変換 `S`,回転 `R` を点 `P` に施した場合,変換後の点 `P'` はそれぞれ次の式で与えられる。
`P' = T + P`
`P' = SP`
`P' = RP`

これらの式からわかるように,平行移動だけはベクトルの和であり,行列の乗算で統一的に表すことができない.

ここで,現実の空間にはないが,第 3 番目の座標軸 `W` を導入することにより,平行移動も行列乗算で表すことが可能になる. このような座標系を同次座標系という.すなわち,点 `(x, y)` の表現を `(x, y, 1)` とすれば,3×3行列
`T(t_x, t_y) = ((1, 0, t_x),(0, 1, t_y),(0, 0, 1))`
を乗ずることによって,平行移動の結果,`(x + t_x, y + t_y, 1)` を得ることができる.

恥ずかしい話

1996 年ころだと思う。医療関係の可視化に関する勉強会があった。勤め先の営業が私に行けという。もう一人は大学の先生だというので、 気になっていたら、この本の著者である中嶋先生であった。コンピュータグラフィクスの関係では名が知られていたので恐れおののいた。 第1部は私で、用意して話したのは、コンピュータグラフィクスの基礎で、この本の第2章のようなことだった。 大学の先生のまえで基礎的な話をするのは恥ずかしかったが、それしかない。 第2部は中嶋先生はどんな話をされるのかと思ったら、「第1部では丸山さんが基礎的な話をされたので、 第2部では実際の画像をビデオでお目にかけたいと思います」 と切り出された。本当に火が出るほど恥ずかしかった。中嶋先生は、ビデオを部屋の備え付けのテレビにつないで参加者に見せたが、 会場の大きさに比べてテレビの画面が小さいのでよく見えない。 そこで営業が機転を利かせて、私の発表のために会社から持ってきていたプロジェクタをビデオ端子につないでスクリーンに投影した。 すると、画面が大きくうつり、後ろの参加者までよく見えるようになった。 ちなみに、当時のプロジェクタは今のタワー型のコンピュータと同じぐらいの重さと大きさがあったのだ。

誤植

p.140 の図 5.15 のフラットシェーディングとスムーズシェーディングの例で、 (a) フラットシェーディングの例 (b) スムーズシェーディングの例の図版が逆転している。

数式

数式表示には、ASCIIMathMLを使っている。

書 名グラフィクスとマンマシンシステム
著 者中嶋 正之, 川合 慧
発行日1995 年 5 月 17 日
発行元岩波書店
定 価4078 円(税別)
サイズ
ISBN4-00-010350-4
備 考岩波講座 ソフトウェア科学 10
NDC

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MARUYAMA Satosi