フォーレ:ピアノと弦のための四重奏曲
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作成日:1998-11-04
最終更新日:
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1. 2つのピアノと弦のための四重奏曲
フォーレには、ピアノと弦のための四重奏曲が二曲ある。なお、
一般にはピアノ四重奏曲と呼ばれるが、これは誤解を与えやすい。
「ピアノと弦のための四重奏曲」または、「ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための四重奏曲」と呼ぶのが正式である。
以下では、ピアノと弦のための四重奏曲と呼ぶ。
ピアノと弦のための四重奏曲の2曲は、
フォーレの室内楽の中ではヴァイオリンソナタ第1番の次に親しまれている。
CDの発売数も多いし、
日本のコンサートのチラシをみる限り、けっこう演奏される機会が多いようだ。
私はどちらかというと後期の曲にはまってしまったために、
これら2曲をおろそかにしてしまっていた。
ピアノと弦のための四重奏曲はお互いがそこそこ似ている。
楽章の構成は特にそうである。
速い第1楽章、スケルツォの第2楽章、よく歌う緩徐楽章としての第3楽章、
そして息もつかせぬ急速な第4楽章、終楽章である。
違いは第1番(Op.15)がかわいく若々しいのに対し、
第2番(Op.45)は雄々しく堂々としているところだろう。
類似点と相違点はそれぞれの第2楽章のスケルツォで端的に表現されている。
2. 各論
なお、演奏についても上記リンクに記載がある。
3. ピアノ四重奏曲の感想
3-1 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための四重奏曲
ふつう、単に四重奏曲というと弦楽四重奏曲を指すと私は思っている(おそらく吹奏楽畑の人ならば、サックス四重奏曲が先に来ると思う)。
だから、〇〇四重奏曲というものがあれば、弦楽四重奏曲のうちのヴァイオリンが抜け、その代わりに楽器〇〇が入ることになる。
たとえばピアノ四重奏曲は、ヴァイオリンとヴィオラ、チェロ、ピアノの4楽器からなる曲である。
ピアノ四重奏曲としては、有名無名含めて下記の作曲家が作品を残している。特に断りのないものは、
ピアノと弦のための四重奏曲(クァルテット)、という名前である。また、曲数の断りのないものは1曲である。
- W. A. モーツァルト(2曲)
- L. v. ベートーヴェン(4曲)
- J. フンメル(2曲)(うち1曲は「序奏とアレグロ」)
- C. ウェーバー
- F. シューベルト(「アダージョとロン」ド)
- F. メンデルスゾーン(4曲)
- R. シューマン
- C. ライネッケ(2曲)
- J. ブラームス(3曲)
- C. サン=サーンス
- A. カスティヨン
- J. ラインベルガー
- H. ゲッツ
- A. ドヴォルザーク(2曲)
- H. ヘルツォーゲンベルク(2曲)
- G. フォーレ(2曲)
- Z. ノスコフスキ
- R. フックス(2曲)
- F. シャルベンカ
- Z. フィビフ(フィビヒとも)
- V. ダンディ
- A-E. ショーソン
- G. マーラー(断章)
- L. ボエルマン
- R. シュトラウス
- V. ノヴァーク
- G. ルクー(未完)
- J. スク(スークとも)
- W. ハールストーン
- G. エネスク(エネスコとも) (2曲)
- J. トゥリーナ
- B. バルトーク
- B. マルチヌー
- A. コープランド
- W. ウォルトン
- M. レーガー(2曲)
- シュニトケ(1曲)
- 吉松隆(「アルリシャ」)
- N. スカルコッタス(「スケルツォ」)
- J. ウィリアムス(「Air and Simple Gifts」)
- D. ミヨー
- フォーレ
ピアノ四重奏曲第1番「頭のなかの♪おたまじゃくし」~クラシック音楽を聴いてみよう~ (www3.kcn.ne.jp)
ピアノ四重奏曲第1番について、演奏と楽曲の評価を掲載している。
ヴィア・ノヴァ+ジャン・ユボーの演奏についてはあまり好意的な評価ではない。
パスカル・ロジェ+イザイ弦楽四重奏団の演奏はある程度好意的に評価している。
なお、ピアノ四重奏曲第2番についても、ボザールトリオによる演奏評が書かれているが、あまり好意的ではないようだ。
好意的でない理由としては、演奏というより評者が楽曲そのものになじめないことによる。
なお、メロディー(リズム)を表すのにドレミの階名が添えられているが、絶対ドでも相対ドでもないので注意のこと。(2019-07-06)
- ピアノ四重奏曲の名曲 - 井財野は今 -(blog.goo.ne.jp)
ピアノ四重奏曲に関して、モーツァルトのト短調、シューマン、ブラームスの2(ママ)曲(特に第1番)、ドヴォルザーク(変ホ長調)、
フォーレ第1番を挙げている。フォーレの第1番については情熱と哀愁漂う佳品、と評している。
では、モーツァルトの変ホ長調はどうなのだろう。ブラームスのピアノ四重奏曲は全3曲なのだが、第1番でないほうはどちらを指しているのだろう。
それからドヴォルザークのニ長調は、そしてフォーレの第2番はどう評価しているのだろう、気になるところだ。
ちなみに、フォーレの四重奏曲第一番をたたえる口上ではフォーレについて「ピアノ五重奏曲やピアノ三重奏曲と同一人物とは思えない」という表現がある。
これは困りましたね。
その他のピアノ四重奏曲
そのほかの組み合わせとしてのピアノ四重奏曲といえば、なんといってもメシアンの世の終わりのための四重奏曲の編成であろう。
クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの編成である
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MARUYAMA Satosi