フォーレ:幻想の地平線 Op.118

作成日:2000-03-14
最終更新日:

1. 最後の歌曲

「幻想の地平線」(Op.118) は、フォーレ最後の歌曲集である (「幻想の水平線」と訳される場合もある)。 全4曲のリズムはそれぞれ異なるものの、 一つの曲の中では同じリズムでもって貫かれている。 またすべてが長調であり、若々しさをも感じさせる。

この平明さを指して、 フォーレの創作意欲が衰えた結果と見る人もいる。 実は私もそうみなしそうになっている。 しかし、晩年のフォーレは、彼の好みの書き方に固執しがちではあったにせよ、 実は多様な書き方をもできるだけの広さを持つに至ったのだ。 そうでなければ、夜想曲第 13 番の中間部、 三重奏曲の終楽章のような情熱の高い曲を書くことはできない。

詩は、ジャン・ド=ラ・ヴィル・ド=ミルモンの同名の詩集からの4編である。

2.それぞれの曲について

第1曲「海は果てしなく」 では、16分音符の伴奏に 順次進行の力に満ちた歌が咲く。

第2曲「私は船に乗った」では、伴奏音型が船に乗ったときの 揺れを表していると思われる。実際、1拍めの符点8分+16分音符は、 大事に弾くべきだ。

第3曲「ディアーヌよ、セレネよ」では、フォーレの得意とする和声連打が披露される。 初期歌曲秘密」と比べてみるとよいだろう。

第4曲「船たちよ、私たちはおまえたちを愛したことになる」では、 舟歌のような音型で描かれる。

3. 個人的体験

この曲の楽譜はだいぶ前に(1985年ころ)手に入れていた。渋谷か心斎橋のヤマハでバーゲンとなって1冊500円で 売られていた。そのため、思わず買ってしまったのだ。 この曲を知人のSさんに見せて彼に初見で弾いてもらった。私はそれまでフランス語を真面目にならったことは なかったが、タモリのいかさまことばよろしくいいかげんに歌った。Sさんは驚いたようだ。

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MARUYAMA Satosi