ながらくお待たせいたしました
レイル・ストーリー4、只今発車いたします


 ●新宿駅の怪

新宿駅南口の風景

日本一の乗降客で今日も賑わう新宿駅。
JRをはじめ、京王、小田急、営団地下鉄(現:東京メトロ)、都営地下鉄の各社が集まるビッグターミナルであることは、今更言うまでもない。

特にJR新宿駅はそれだけ大きな駅であるから、改札口がいっぱいある。
まずは駅の東側からぐるりと一周してみよう。マイシティの地下には東口と中央東口、フラッグスの2階からは東南口、ルミネ2直結のルミネ口、それにサザンテラスを望む南口。甲州街道を挟んでタカシマヤ・タイムズスクエア側に新南口。西側に回ると中央西口、最後は都庁へと続く地下道に接する西口だ。

これほど多くの改札口があるJR新宿駅だが、実は異質な改札口が二つ存在する。

まずは中央西口。

京王線を新宿まで乗ってJR線に乗り換えるとしよう。案内標識に従って進んで行けばいいが、JR線連絡キップを持っていなかったら、いったん京王線の出口の改札から出なければならない。そこはJRの中央西口だ。じゃあここでJR線のキップを買って、あらためて改札を通ればいいんだなと思うのはごく当たり前の話。

では実際にキップを買ってみよう。当然JR線のキップが発売される。そしてそのキップをよーく見てほしい。

新宿駅中央西口

中央西口発行のJRキップ

JR新宿駅中央西口キップ売場

JR線のキップのようだが…

確かにJR線のキップだけど、キップには「KEIO」というロゴが印刷してあるではないか!!

実はJR新宿駅中央西口はずっと前から改札・発券業務を京王に委託していて、その結果京王のキップ用紙をそのまま使ってJR線のキップも発売しているのだ。キップ売場を観察してみたら、なんと券売機も京王線と同じ型の機械だ。見馴れた普通のJRのキップ売場の機械とは全くの別物。

JR新宿駅の怪はそれだけで終わらなかった。

続いて中央東口。

京王線も小田急線も新宿駅では西側に位置している。単純に考えれば両線に乗ろうと思ったら迷わず西口方面へ向かえばいいのだけど、そんなわずらわしいことをしなくても東側から京王線、小田急線に乗ることが出来る。

マイシティ地下の中央東口では、不思議なことに京王線、小田急線のキップを発売している。実はそこで買ったキップを持ってわざわざ甲州街道へ出るか、北側の地下鉄丸の内線の上にある自由通路を通って西口まで大回りして行かなくても、そのままJR線の自動改札にキップを通せば、京王線、小田急線に乗るだけなのにJR新宿駅構内の中央通路を通って、再び中央西口にある京王線連絡口・小田急線連絡口の自動改札を通せば、それぞれ目的の電車に乗ることが出来るという事実!!

新宿駅中央東口

中央東口発行の小田急キップ

JR新宿駅中央東口キップ売場

小田急線のキップのようだが…

確かに改札口手前にはJRと並んで「京王線・小田急線のりば」と表示がある。だから「これってJRの改札口じゃないの?」と躊躇する必要はないワケだ…。黙ってキップを自動改札に入れればいい。そして、この中央東口で買った小田急線のキップをよく見ると、何とJRの地紋が入っている。中央西口のケースとは逆にJRが京王線・小田急線のキップを発売しているのだ。中央西口とは逆で、JRの券売機で京王線・小田急線キップを発売しているというミスマッチさといったら(笑)。

もっとも中央東口からJRの改札を抜けた段階でJR線に乗ってしまおうと思えば…出来なくはない。ただし降りた駅で改札を通ることは不可能。だったら係員のいる改札から出ようとしたら…そりゃ叱られるだろうねえ(笑)。


ビッグターミナルの新宿駅は、こうして各社が連携して乗客のために便宜を図っていたのです。でもそれはあまり知られていない事実でもあったようです。それに、そんなヘンなキップが存在しているとは…

次は新宿からJR中央線を西に向かいます。かつて存在した路線の話です。

【予告】ああ「下河原線」

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