地下鉄 銀座線ストーリー
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●溜池山王の謎 銀座線は日本で一番歴史がある地下鉄。その銀座線で一番新しい駅は溜池山王駅である。赤坂見附と虎ノ門の間に新設された。 この駅が出来たのは、営団地下鉄(現:東京メトロ)南北線の開通によるものだというのは言うまでもない。この南北線は平成12年9月26日、目黒まで開通し、途中白金高輪で都営三田線の延長線と合流、東急目黒線との直通運転が始まった。東京の地下鉄の長い歴史の中で、営団と都が同じ線路を走るというのは初めてのことだった。また南北線は赤羽岩淵からさらに埼玉高速鉄道に乗り入れ、浦和御園までの直通運転が始まった。 この時銀座線は溜池山王駅を追加したが、丸の内線と千代田線は駅をつくらず既設の国会議事堂前駅を乗換駅にした。接続していても駅名が違っているとか、一旦改札を出なければならない駅もあるとかいうのは、馴れてないと難しいと思う。 さて、この話最後の謎。唯一の東京高速鉄道にまつわる話。 地下鉄というのは何らかの手段で換気をする必要がある。大抵の場合は地上の所々に換気口があって、普通は電車の行き来を利用する自然換気である。その換気口は歩道によくあり、どのような事が起こるかというと…マリリンモンローの映画で既に有名である。 これは万世橋ラオックス本店前の換気口。ときどきこのような換気口から地下鉄独特の匂いとともに、電車の音が聞こえてくるのはご存知のとおり。 でもこれでは雨が降ると雨水が線路に流れ込んでしまう。特に低い土地では線路が浸水して電車が動けなくなる。新橋から先の溜池の周辺は、かつて江戸時代に生活用水をダム状に溜めていたという歴史があり、もちろんその地名にも由来していることから、東京高速鉄道は赤坂見附-虎ノ門間の換気を日本初の地下鉄強制換気設備で行うことにした。 この設備は赤坂見附駅の電気室から遠隔操作されていて、初代換気装置1台は開業から昭和46年まで使われ、その後新型の換気装置1台に更新された。 換気装置の空気出入口は、外堀通りを溜池交差点から少し赤坂見附に向かった辺り、永田町法曹ビル横にあり、南北線8番出口を出たところにある。 この韓国居酒屋の左にそびえる塔のようなものがそれである。「山王換気室」というのだそうだ。 そういえば、赤坂見附駅の換気は自然換気だ。ベルビー赤坂前の横断歩道の所には換気口がある。なぜ溜池山王駅付近だけが地下鉄強制換気設備を必要としたのだろうか。余り高低差がないと思うのだが… 地下鉄銀座線ストーリー、お楽しみいただけましたでしょうか。まだまだ探せば「謎」はきりがないと思うのですが、10回を数えましたので一応終了とします。 銀座線を乗り通すと、他の地下鉄にはない風情を感じます。渋谷から外苑前にかけては原宿や国立競技場、神宮球場が近いこともあって学生中心、そこから新橋あたりまでは正にオフィス色、銀座、日本橋あたりはいかにもお買い物、と思えば最古の上野−浅草は下町の下駄代わり。…という、たった16kmあまりで多種多様な顔を垣間見せてくれるのが銀座線だと思います。 それと銀座線は地下といっても比較的浅いところを走っています。その結果階段の上り下りが楽というのもいいですねぇ。 ここまでのお付き合い、感謝しています。 御乗車ありがとうございました。 番外編へお越しの方は、乗り換えです。 【予告】 番外編 丸の内線・都営浅草線・そしてモノレールの謎 【参考文献】 鉄道ジャーナル 1974年10月号 特集「日本の心臓 東京の鉄道 第一部」 (株)鉄道ジャーナル社 【協力】 帝都高速度交通営団(現:東京メトロ) 地下鉄博物館 地下鉄互助会(現:メトロ文化財団) このサイトからの文章、写真等内容の無断転載は固くお断り致します。 |
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