旅日記Vol.59 | 京都市美術館・神戸市立博物館 よくばりツアー (全ての写真はクリックすると大きくなります) | 2012.10.15〜16 京都・神戸 |
★東京に続いて美術館ツアー
先月、東京で二つの美術展を欲張るつもりだった。もっとも美術ファンの#2のためだったが、二つとも会期がそろそろ終わりを迎えていて、午前中の国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展」は混んでいたもののどうにか観られたというが、その後の東京都美術館「マウリッツ・ハイス美術館展」は、チケットを買うのさえ厳しく、とても観覧どころではないというコトで、予定外のすみだ水族館へ行ってみたり。
しかしマウリッツ・ハイス美術館展は展示物を増やして神戸で開催されるという。だったら京都市美術館で行われる「大エルミタージュ美術館展」も観にいけるじゃないかと話が決まり、暑かった9月の東京の次は涼しくなる10月に京都・神戸の両方を欲張ってみよう。
仕事柄なかなか旅には出られないが、あまり無理をしなければ夜勤明けの日に出発、次の日はお休みなので1日たっぷり使える。さて電車かクルマかと迷うところだが、時間の制約を受けないクルマでの旅というコトに。泊まるのは京都と決め、いろいろ調べてホテルモントレ京都で朝食付きプランがリーズナブル。ネットで予約とは楽になったものだ。
出発は月曜、国際観光地の京都は月曜がお休みのところも多く、京都市美術館も定休日だった。なのでその日は観光だけとなったが、久しぶりに訪れる京都、まあそれも良かろうとガイドブックなんかも買いそろえ、散歩と写真を楽しむコトにした。
出発当日、仕事も予定通り終えてサッサと帰宅。「早かったなあ」と両親の声をよそに慌ただしく用意を整え、出発したのはもう昼前だった(汗)。美川ICから北陸道に乗り、夜勤明けなので無理せず南条SAで軽いお昼と休憩。民営化以後すっかりイメージが変わった高速道の休憩施設だが、飲食メニューも様変わり。おろしそばと焼鯖寿司のセットはとても美味。
バリアがなくなって広大なスペースだけが残る米原JCTから名神に入り、京都を前に大津SAでも休憩。今までになかったのんびりペースだった。京都東ICで名神を降りて三条通りから京都入り。このルート、昔から京都に来た!!ってカンジがして好き。蹴上から広がる京都の光景は何とも言い難い。
目指すホテルモントレ京都にはスンナリと到着。FITを駐車場に駐め、チェックインを済ませると部屋は1グレードアップしたものがアサインされた。ラッキー!!
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★早速京都観光に
出発前からドコへ行こうかあれこれ迷ってみたが、一度見たかったのが伏見稲荷の千本鳥居。まずはそちらにと荷ほどきももどかしくホテルを後に。京阪電車の祇園四条駅まで歩いても良かったが、疲れもあって地下鉄東西線で三条京阪、乗り換えで伏見稲荷へ。ホテルの隣のみずほ銀行の建物は赤レンガの古いものが現在も使われていて、好感が持てる。
京阪電車の伏見稲荷駅はホームの柱が朱色に塗られていて趣きタップリ。参道を少し歩くとスグに境内だ。キツネさんが並んでお出迎え。やっぱり観光客が多いこと。千本鳥居がズラリと並んでいて圧巻!!。おとぎ話の世界にに吸い込まれそうなようなこの光景、なんかイイ!!
境内は被写体に事欠かず、あっちをパチリ、こっちをパチリ。ただ境内はものすごく広く、とても回りきれない。途中の新池というところまで行き、後はまたのお楽しみというコトで。本殿に戻った頃には、洛西の山並に陽が落ちようとしていた。空は茜色に染まり始め。いつしか拝殿の灯篭にも火が入り、京都らしい夕景に。ああ、この瞬間に出逢えたなんて…。
秋の日暮れは早い。「はんなりと」という言葉がピッタリな秋の京都の夕方。再び京阪電車で市内へ戻ろうと駅まで歩き、踏切で通過する電車をやり過ごそうとしたら、走って来た淀屋橋行き特急は、来春の引退がアナウンスされ、今や人気絶頂の旧3000系!!
何度この電車で京都と大阪の間を旅したことだろう。もう小学生の頃からだ。時にはテレビを観ながら、またある時は先頭のかぶりつき席で、最近は二階席を確保して京橋-守口市間のストレートな複々線を快走…そんな思い出をモノクロで。関西私鉄独特のガントリーも、何故かいい風景に映る。そんな光景。
伏見稲荷から乗った2600系も、3000系の脇役として、また僚友として走り続けた電車。もっとも昔はまだ600V時代。2000系「スーパーカー」と呼ばれていたものだ。車内の広告には3000系引退関連のものが掲げられていた。
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★夜の京都をちょっとさんぽ
清水五条で電車を降り、ここからは夕闇せまる京都の街をちょっとさんぽ。
もっともまだ明るい時間帯なら清水寺や三年坂、二年坂なんかを歩くのもいいが、もう拝観時間も過ぎていたのでパス、祇園辺りを目指して街をブラブラと歩いてみるコトに。
観光コースにはない川端五条から裏通りに入ってみた。まだ夕方たというのに、京都なんて大きな街なのに辺りはもう夜の帳がすっかり下りて静かな佇まいに。ちょっと意外なその光景は、どこか金沢の街中とあまり変わらない格好、まるでそのまま長町か芳斉あたりを歩いているカンジで、「さあ、帰ってゴハンにしようか」なんて雰囲気も漂っていた。
そんな中、木造の銭湯が。最近は日本中で滞在型の入浴施設が花盛りだが、こんな昔ながらの銭湯って、懐かしさと共にどこか優しさを感じさせてくれる。
東大路を渡り、今度は高台寺近くへ。途中の坂から見上げた通称八坂の塔。法観寺の五重塔はライトアップされてて、屋根を支える垂木が規則正しく照らし出されていた。そんな中を歩き疲れたであろう観光客が、お土産と思しきものを提げて歩いてくる…京都の夜の1ページ。
高台寺近くの通りは、夜歩いても実にいい風情。家の玄関飾りもまた京都らしい趣き。石塀小路へと分け入ってみれば、京都に来て良かったなと思える心落ち着く、また凜とした空気が辺りを制していた。
少し歩くと八坂神社の灯りが見えてきた。静かな町家が並ぶその先に、祇園へと続く賑やかな雰囲気が伝わってきた。
夜の祇園。「一見さんお断り」で有名なお茶屋さんが並ぶその辺りは、観光客でいっぱい。
伝統ある日本建築。夜の風情もまた格別だ。障子窓からこぼれる灯り、玄関飾り…忘れていた原風景の一つだったかもしれない。四条通りに戻ると、あとしばらくで恒例の顔見世も近い南座。その向かいは伝統あるレストランの菊水。変わらない京都の光景だが、一つ変わったのは京阪電車が地下に潜ってしまったコトだろうか。かつては市電の四条線も走っていたものだ。
さあ、晩ゴハン。ネットでいろいろ調べてみたが、やっと捻出した(笑)旅行資金を無駄には出来ず、ここはリーズナブルな洋食屋さんで、と河原町OPA裏の小さな洋食屋さん「サラダの店
サンチョ」を選んでみた。
店構えは小さいが京都では有名な店だという。とにかくサラダの量が半端でなく、しかも自家製のドレッシングが合っててとても美味しい。ボクはハンバーグと海老フライとのセットにした。ハンバーグのソースは一般的なデミグラスソースではなく、トマトベースのカクテルソース。フライに添えられていたソースもタルタルソースではなくサウザンアイランド風のもの。肝心のハンバーグはふわふわ、フライも細目のパン粉で仕上げられいていて油っこくないのがいい。#2はカットステーキとクリームコロッケに舌鼓を打ち、意表を突かれたというか、とにかく美味しかった。京都に来たらまた来ようと二人の意見が一致。この店、絶対おススメ!!
ホテルまで歩いて戻る道中、錦天満宮に寄り道。京都の台所と言われる錦市場の東端にあるそこは、京都人の信仰の場所だ。ちょうど和服姿の女性が参詣してて、これまたいい雰囲気。歩き疲れて、でも心地よい疲れを感じながら就寝…さあ明日は美術館のハシゴだぞ。
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★京都市美術館と京阪旧3000系。さあ、どっち??
朝早く、ホテル近くのお寺の鐘で目覚めた。ああ、京都だなあ…と実感。こんな経験は旅だからこそ得られるもの。
東京のコトを思うと美術館の混が心配なところだ。ホテルでのんびり過ごしたい気もするが、早めに準備を整えなくちゃ。朝ゴハンはバイキング形式で、例によってタップリ食べて元気回復。9時頃には京都市美術館へと出発〜。
ホテルから美術館はすぐ。幸いチケット売り場など混雑はなく、#2はスンナリと鑑賞へ。
さて東京に続いてコチラでも#2とボクはお互い単独行動に。というのも、ボクの目的の一つは昨日一瞬出逢った京阪旧3000系(現8500系30番台)を撮ること。この電車は子供の頃からのあこがれの存在だ。関西私鉄の伝統ともいえる端正なスタイリング。もっともこの電車の引退が始まったのはだいぶ前の話で、富山地鉄や大井川鉄道に移籍した電車も多い。
京阪電鉄でも社員の旧3000系に対する愛情を感じる位、特別にHP立上げて電車の紹介や記念グッズ販売、また毎日変わる電車の運用をファン向けに公開を行っている。また移籍先の富山地鉄・大井川鉄道ともタイアップした企画も行われ(既に終了)、昭和46年から京阪間のスターとして君臨した功績を称えている。
問題はドコで撮るか、だ、前日、伏見稲荷までの道中、下調べしてきたGoogle Mapの地図を思い出しながらドコにしようか探してはみたものの…。でも以前趣味誌で見た写真が忘れられず、FITで走ってみたら、あっここだ!!という場所が見つかり、さっそくその場所へ。近くにコインパーキングも見つかり、駐禁の心配もナシ(笑)。
待つことしばし…出町柳から淀屋橋へ向かう下り特急に運用中の旧3000系が、軽快にやって来た。
逆光。歩道のフェンス越し。しかもケーブル類がたくさんあって撮影条件としては最悪だったかもしれない。だが3000系はピカピカの車体を光らせてくれた。生涯忘れられないショットの一つとなるだろう。満足。復活した旧特急マークも誇らしげだ。
#2と待ち合わせの美術館前に戻るが、まだ少し時間があり南禅寺方面へと散策。紅葉にはまだ早いものの、京都の街はドコを歩いても美しい。三門から少し境内に入り、まだ緑を残すカエデ、苔むした庭など…。琵琶湖疏水の畔を歩いていたら、大きなアオサギが悠々と飛んでいた。少し色づいた東山をバックに、水面近くを飛ぶ姿も。
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色づく前のカエデも美しい | 苔に入り込む日射し |
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★神戸に向け、再び出発
朝からFMを聴いていたら、、阪神高速神戸線は神戸市内の生田川を先頭に渋滞が続いている。渋滞は解消するかもしれないし、とにかく神戸へ向けて出発。京都南IC近くのGSで給油、名神を西へと走る。
途中でも何度か交通情報を聴くものの、どうやら渋滞は解消どころか長引いている様子。これはダメと判断して名神は豊中で降りて阪神高速空港線に入り、環状線経由で天保山JCTへ。久しぶりに湾岸線をドライブと決め込んだ。まるで海の上を飛ぶような快適さは、ウトウトしかけていた#2を目覚めさせるには十分だった。渋滞の続く神戸線には戻らず、六甲アイランドまで走り切って国道43号を神戸市内に入る。
市役所の駐車場は平日の上限が\1,000とリーズナブル。時間を気にせずのんびりと観光出来るのはありがたい。目指す神戸市立博物館は歩いてスグ近く。
マウリッツ・ハイス美術館展。先月東京であまりの混雑に観覧を断念した展覧会だ。辺りはこの展覧会を盛り上げてて、その心遣いが嬉しい。幸いコチラでも混雑はなく、#2は再び観覧に。東京の残暑が今となっては懐かしい気も。さて、ボクは一度神戸で試したかった街撮りに挑戦しようと、カメラを手にさんぽ。
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★神戸さんぽと街撮り
神戸の街はホント美しい。言い古された言葉だがハイセンスだ。その魅力の一つは、街の至る所に飾られた花々だろう。ただ季節の花を植えるのではなく、全てがアレンジメントフラワーのようにキレイに管理されていて、それらが建築物や空間などを、より一層魅力あるものにしている。
今度は旧居留地の建築などを。現代建築にはない細かなディテールがまた美しい。ドコを歩いても絵になる場所ばっかり。済みきった青空にも恵まれて、街撮りにも一層気合いが入るというものだ。実に楽しい。
神戸と港は切っても切れない存在。メリケンパークへと歩いてみた。水上警察署を望み右は国道2号浜手バイパス、左は阪神高速神戸線。都市の持つ機能美と水辺の風景が見事に融合して、神戸の魅力あふれる場所だと思う。
平成7年、大きな被害を出した阪神大震災。ここメリケンパークには、その時の爪痕がそのまま残されている。今、東日本大震災の復興が叫ばれているが、美しく蘇った神戸の街を見て、改めて当時の様子を思い出した。昼夜を問わず鳴り響く重機の音、倒壊したままの家屋、避難所となっていた学校。今の神戸には改めて拍手をおくりたい。
メリケンパークはこの日も大勢の観光客が訪れていた。ふと見れば「STONES BAR」とあるではないか!!ちょっと嬉しい。
ホテル・オークラ神戸、メリケンパーク、ポートタワー…あえて逆光で
神戸市内の建築は1スパン増築という由緒ある古い建築のファサードを1スパンだけ残し、コア部分だけを高層建築とする手法を採るものが多い。高度成長期には古臭いと日本のあちこちで残されるべき近代建築が姿を消してしまったが、最新の工法はそんな反省を十分生かしたものだ。
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めでたく美術館ハシゴを終えた#2と再び合流、晩ゴハンまでのひとときを南京町過ごすことに。もちろん三宮〜元町の辺りを歩いて。以前震災前に訪れて以来、もしかして店をたたんでしまったのでは…と思っていたRed Shoes Cafeが見つかり、前にあの窓の席でお茶したね、などと。
南京町は以前とまったく変わらない賑わい。ソフトクリームなんか片手に、エキゾチックな風景を満喫。有名な豚まんのお店は、この日も長い列が出来ていた。
大丸で両親へのお土産を買って、この旅の締めはよく通った香港茶楼で飲茶を楽しむコトに決めていた。トアロード沿いにあるその店は最近リニューアルを行い、店自体も1階から2階に移転していた。また今風のシックな内装に変わってはいたが、お店の主人やおかみさん(…っていうのかな??)は相変わらず気さくであの頃のまま。メニューも判りやすいセットものも増えてはいたが、点心類はかえって充実していた位だ。オーダーを済ませるとカウンターの奥では中国語が飛び交い、ここが神戸だと改めて実感する。
蒸篭に入ったホカホカの焼売、熱々のマーボ茄子、しっかりと味が沁みた香港焼きそば…どれも美味しい。それに何といってもこのお店で大好きなのが「牛肉ミンチの蒸し物」。ここで必ず食してしまう逸品。ああ、来た甲斐があった…初めて二人で入った時の記憶が蘇った。あれは何年前だったかなあ。
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★帰途に
外はもうすっかり暗くなり、おナカもふくれて店を後にすることに。会計を済ませると先程のおかみさんが#2に「これ、美味しいよ」とキャンディ…いや飴ちゃんをたくさんくれた。こんな人懐こさがまたいい。
帰りは阪神高速神戸線を生田川から乗る。あいにく平日のラッシュ時、深江の先の僅かなアップダウンがサグとなったようで断続的な渋滞が続いたが、喉元過ぎればなんとやら、あとはスムーズ。西宮からは名神高速に。流れてはいるがアベレージはそこそこに。遠くに大阪万博の太陽の塔、天王山を越えしばらくすると京都タワーも見えてくる。帰りも無理せず大津SAで休憩をとった。
琵琶湖越しに比叡山の灯り。眼下に広がる大津の街並み。この風景を見ると金沢に帰るという実感が沸いてしまう。しばし身体を延ばし、さあ、あとは走るだけ。
米原JCTからは北陸道。まだ夜もそう遅くない時間なのに、周りは信じがたい位の暗闇。冬型の気圧配置になりやすいこの時期、柳ヶ瀬越えの後など時雨に遭い気分まで暗くなることがあるが、「北陸道に入るとショボーン(・ω
・)ってカンジだね」と#2の一言に爆笑してしまった。幸い北陸も晴れてはいたが(笑)。
とても楽しかった久しぶりの1泊旅行。きっかけをくれた#2に感謝。
取材日 | 2012年10月15・16日 |
カメラ | Nikon D7000 Nikon D3100 |
レンズ | SIGMA 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM TAMRON 18-270mm F/3.5-6.3 DiUVC PZD TAMRON SP 70-300mm F4/5.6 Di VC USD |