旅日記Vol.58  ベルリン国立美術館展 at 国立西洋美術館   (全ての写真はクリックすると大きくなります) 2012.9.13 東京

 ★今年は美術展ラッシュ??

成田行のCRJがお見送り半年ほど前に買ったある雑誌の特集は、今年日本で行われる美術展がハンパではないという話。付録の展覧会別スケジュールを見ると、なるほど世界のの有名美術館がことごとくカラになるんじゃないかと思う位。それが日本へと次々とやってくるのは、#2のような美術ファンにとってたまらない1年になるだろうというのは容易に予測出来た。

とはいえなかなか肝心の美術展に行けないのは一種のジレンマ。もう9月じゃないか。

こうなりゃ思い切って行くしかない。東京では国立西洋美術館で「ベルリン美術館展」が、東京都美術館で「マウリッツハイス美術館展」が、いずれも9月17日までの会期というコトで、急ぎ9月13日の東京行きを決めたのは9月初めだった。またどちらも最近人気の高いフェルメールの作品を目玉にしていて、多くの観覧客が訪れているだろう。

今回もANAの「いっしょにマイル割」での旅。行きの便は朝イチバンが取れたが、帰りの最終便は既に満席、やむなく夕方の便でトンボ帰りとあいなった。もう少し早く決めていれば…後悔先に立たずとはこのことか。

秋雨前線が南下し、時ならぬ大雨に悩まされる日が続いたが、当日はその心配もなく安定した晴天に恵まれた。ただ、真夏の暑さはそのまま。

チェックインを済ませ、慌ただしく機内へ。ここのところずっとヒコーキは被写体だったが、今日は乗る番だ。やっぱり乗るに限る。ウン。

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一足先に出発のJAL便は定刻にランプアウトしていったが、我がNH752便はフローコントロールのため5分遅れての出発。プッシュバックされてタキシングを始める頃には、その5分が自衛隊機の離陸に充てられたようで、F-15イーグル達が次々と空へ飛び立っていった。もしかしたら23日の航空祭に向け、機動飛行などの訓練だったのかも。さあ、こっちの番だ。

B777-281はやや浅めの仰角でクライムを続ける。揺れは殆どなくしばらくするとベルト着用サインが消灯。

白山と北アルプス
白山と北アルプス

空はやや霞んではいたが、白山、その向こうに北アルプスが神秘的なシルエットを見せてくれた。安定したクルーズが続くうち、はや天竜川や駿河湾などが見えてくる。左手には前日初冠雪を見たという富士山も。日本のシンボルは、やっぱり雄大だ。

機内誌「翼の王国」には今回の美術展に関する記事が。オーディオサービスにはビギンをはじめ僕の好きな沖縄の音楽が。どちらも旅心をくすぐってくれる。
伊豆大島をヒットして房総半島の上へ。既にパワーが絞られていて東京湾が近づく頃ベルトサイン点灯。R/W34Lにタッチダウン。

富士山が見えた ジャンボだ!! 787がいた「タイヤすごーい!!」
初冠雪を迎えた富士山 スポットへ移動中のB747-481D  隣のスポットには最新鋭B787-8がいた

羽田ではあいにく沖止め。ランプパスの厄介になる。数多くのヒコーキ。国際線スポットに駐機していたEVA AIRのA330-200はキティちゃんだった。
かなり数を減らしたANAのジャンボの姿に哀愁を感じ、また隣のスポットには最新鋭機のB787-8も。到着ロビーへ移動するバスの中からもジャンボの姿が見えたが、こちらは塗装が剥がれていて痛々しい姿だった。

何を想うジャンボ…
自らの姿をガラスに映し、何想うジャンボ

この日は時間に余裕がないので、まずはモノレールで浜松町へ。たまたま空港快速に乗れて、これが復刻塗装の1000形。モノレール開業当時の姿はまだDC-8やB707などが国際線のスターだった頃を彷彿とさせてくれたが、写真を撮れなかったのが残念だ。国際線ターミナルから浜松町まではノンストップ。ちなみにこのモノレール、当初は途中の駅そのものがなく全列車ノンストップ運転、しかも運賃が\500だったらしく当時は破格値(今でも高いと思うが)、集客はサッパリで運賃値下げと共に途中駅を新設、ようやく路線を存続したという話も残っている。

浜松町では京浜東北線が先に来た。E233系の滑るような乗り心地をしばし堪能。

 ★都内では単独行動

国立西洋美術館JR上野駅の公園口を出ると、すぐに東京文化会館が見える。ああ、また来たんだなあ…。銀杏並木の向かいは、目指す国立西洋美術館だ。大きな看板がいやが上にも雰囲気を盛り上げる。

ただ今回はここで#2とは別行動を取ることに。#2はそのまま美術館をハシゴ、ボクは前回ちょっとだけしか出来なかった鉄な写真撮影と鉄な本を買いに中央線方面へ。この時点でまだ10時少し前だったが、スゴイ人の数が見る見る増えていく。ホワイエでチケットを購入、#2は館内へと吸い込まれて行った。

再び上野駅に戻り、都会のビルの谷間を行く電車を撮りたくて神田駅のホーム端でパチリ。今度は市ヶ谷まで乗って駅を出る。ずっと前から外濠沿いを行く電車をカメラに納められないものかと考えていたが、果たして思うショットが撮れるかどうか。

少し周辺を歩いて…立ち並ぶ緑と架線柱、そこへやって来た総武線の電車。街路樹の間から夏の生き生きとした緑の向こうに電車。駅近くに戻り神宮の森に消えていくようなイメージで。まあこんなもんだろう。汗だくになったのでこの辺りで退散。都営新宿線で目指すは神保町の書泉グランデなのはいうまでもない(笑)。

金沢では有名な書店でも鉄道関連となると全くトホホな状況。雑誌は1日遅れ、シリーズものはなかなか店頭に並ばず、写真集などに至っては…。たまに東京か大阪へ行くと、まるで仕入れのようなものだ。

かれこれ小一時間品定めして気になっていた3冊を購入。やっぱり来ないとダメだな。やがて集合時間も近づき再び上野へ。半蔵門線で三越前、銀座線のりかえ。

神田駅で離合 外濠沿いを 緑と電車 神宮の杜へ
神田駅で 外濠沿いを行く総武線の電車 緑と電車 神宮の杜へ

#2と待ち合わせの東京都美術館へ急ぐと、まあスゴイ人の数!!マウリッツハイス美術館展はチケットを買うにも長蛇の列、さらに入場制限まで行われていて、とてもゆっくり観覧するどころではなさそうだ。ホワイエで待っていた#2と落ち合うと、こちらの展示は後日神戸でも開催されるのが決まっていて、そちらへ行こうという話に落ち着いた。

お昼は前回同様、JR上野駅アトレにあるつばめグリル。とろけるようなハンバーグはこのお店ならではのもの、東京へ来ると必ずと言っていいほど寄ってしまう(笑)。

 ★すみだ水族館へ

さて午後は…エアロな買物ばかりというのも芸がなく、せっかくの機会なので上野からも近い東京スカイツリー辺りへと電車で移動。再び銀座線の人となり浅草、東武線に乗り換えてひと駅で東京スカイツリー駅だ。もっとも我々鉄にとっては歴史のある業平橋の駅名が消えてしまったのが感慨深いところだ。

隅田川を渡る
車窓から見た隅田川

電車は浅草駅を出てすぐの急カーブをゆっくり進み、隅田川を渡る。この光景、なかなか風情があってボクは好き。橋を渡り終えると終着を目前にした特急『スペーシア』とすれ違った。リニューアルされパープルの帯をまとった編成だったが、「デラ」ことDRC以来の高い設備水準は、私鉄特急の雄の一つ。いつの日かこの電車で日光や鬼怒川温泉を訪ねてみたいものだ。

電車を下り、すぐにスカイツリーが目に飛び込んできた。高い。ものすごく高い。

でも最近すっかり水族館がお気に入りのボク達にとって、気になっていたのはスカイツリーよりも隣接するソラマチにあるすみだ水族館。足が向いたのは半ば当然だったかもしれない。さあ、どんな魚たちが迎えてくれるのだろう。ちょっとワクワク。

すみだ水族館
すみだ水族館に来たよ

幸い待ち時間もなくチケットカウンターも空いていた。しかし館内はそれなりの入り。すぐに迎えてくれたのは「水のきらめき〜自然水景〜」の淡水熱帯魚。大きな水槽には水草が茂り、その中を気持ちよく泳ぐネオンテトラなどの魚たちは、まるで木が生い茂る中を飛び回るようなカンジだ。

淋しくない熱帯魚 ハリセンボンの笑顔 アヒル隊長
群れをなし泳ぐ熱帯魚たち ハリセンボンのお顔 こちらはアヒル隊長??

飼育を行っている「アクアラボ」ではクラゲの生態を見せてくれていた。生後間もないクラゲが日に日に大きくなっていく様子が珍しい。またNTV系で放映されている「鉄腕ダッシュ!!」のコーナーもあって、番組内で取り組んでいる自然保護の様子も紹介。お馴染みアヒル隊長もいた。「ゆりかごの連なり〜アクアギャラリー〜」には小さな魚たちの愛らしい姿がいっぱい。

幻想的なクラゲ 綺麗なエビたち
幻想的なクラゲ水槽 赤と黄色のエビ
ツートンカラー タイだよ 泳ぐマンタ
ツートンカラーの海水性熱帯魚 斑点模様が珍しいタイ  マンタの姿も 

場所柄大きな水槽は少ないが、それでも多彩な魚たちの姿は見る者を飽きさせない。「光と水のはぐくみ〜サンゴ礁〜」「つながるいのち〜東京湾・東京諸島〜」と進むにつれ徐々に南の海に棲む魚が増えて、いつも逆立ちしているヘコアユや、ニョロニョロでお馴染みチンアナゴ、睨みを利かせるキジハタ…。

ヘコアユ チンアナゴ キジハタ
いつも逆立ち ヘコアユ 縞模様のチンアナゴ キジハタに睨まれた

世界遺産に登録されたのも記憶に新しい小笠原。その海は「いのちのゆりかご・水の恵み〜東京大水槽〜」の大きな水槽で再現されている。マンタやサメが存在感を示す中、ウツボの泳ぐ姿が見られたのは珍しかった。これまだどこの水族館でも筒の中に収まっていたからだ。

サメ… 愛らしいペンギン
サメの存在感はイチバン 愛らしいペンギンたち

すみだ水族館で一番人気はたくさんのペンギンが飼われている「水といのちのたわむれ〜ペンギン・オットセイ〜」。上部がオープンになっていて、吹き抜けになっている上のフロアから眺めるもよし、下のフロアから近づいて見るもよし、いずれにせよカワイイ姿を披露してくれる。子供たちにはアイドル、大人には癒しの存在なのは間違いない。ちなみにこの写真のように立ったままじっとしているのは、実は寝ているのだそうだ。

ミュージアムショップでは塩ゼリーや塩サイダーがスタッフおすすめグッズ。アレ??のとじま水族館でお馴染みじゃないか。もちろん石川県産。思わぬ水族館繋がりでニンマリ。

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そろそろ時間も迫り、ソラマチを少しだけ散策して東京を後にすることに。その時点でスカイツリーの天望デッキの当日分は40分待ちという表示だったが、見た目では長蛇の列。人気は全く衰えない様子だった。改めて見上げると、その高さに人類の叡智を感じざるを得ない。

高い!!スカイツリー
高いなあ…スカイツリー

 ★慌ただしく帰途に

帰りは押上から浅草線。京急直通で乗り換えが少ないのが理由だ。京急1500形の三崎口行きの特急が来て、しかも空いてたので座れたのは歩き疲れた身体にはありがたい。浅草線内は各駅停車だが、ついウトウトしてしまってあまり停まったカンジを受けなかった(笑)。品川からは京急らしい高速運転を堪能。最近はこの景色を見ると金沢に帰るのを実感するようになった。
高架化が進められている京急蒲田で空港線に乗り換え。まだ横浜方面は地平ホームのままだが、空港線は高架ホーム。早く完成しないかな。足取りが重い。

押上からほぼ1時間で羽田空港国内線ターミナルに到着。チェックインを済ませたのは便出発35分前…(爆)。セキュリティを通り、それでも搭乗口で家族にお土産を買う余裕はあった。程なく搭乗のアナウンスがあり、機内へ。乗った便にアサインされたB777はこの春にデリバリーされたばかりの-281ER(JA741A)。本来は国際線用の機体だ。まだピッカピカで機内も独特のニオイがしなかった。新型のシートもなかなか心地良い。

なかなかドアクローズしないと思ったら、どうやらノーショウ(チェックインしたのに搭乗口に現れなかった)があったようで、手荷物の取り降ろしなどで5分のディレイ。それ以上待たされることもなくプッシュバックが始まった。向かった滑走路は16L。風向きが変わったようだ。離陸待ちは1機でB777-281ERは続いて東京の大地を蹴った。

しばらくそのままクライム、左にターンしてKANEK2 RNAV DEPARTURE。だんだん夜の帳が下りて機窓は暗闇に包まれた。フライトタイムは40分前後、これじゃその前に乗った電車よりも短いじゃないか(笑)。水平飛行に移りドリンクが配られても、カップの回収の頃はもうディセンド中…。
ベルト着用サインが点灯。ファイナルアプローチはR/W06へのヘディング。前方の風景はスクリーンに流れなかった。

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慌ただしい旅だったが、久しぶりに機上の人になった。次は京都と神戸かな。ロングドライブになりそう。

取材日 2012年9月13日 
カメラ  Nikon D3100 
レンズ   TAMRON 18-270mm F/3.5-6.3 DiUVC PZD