旅日記Vol.57  ゴヤ展 at 国立西洋美術館   (全ての写真はクリックすると大きくなります) 2011.12.3 東京

 ★1通のメールから

11月のある日の夜、ANAから送られてきたメールに目を通し、HPでふとマイレージの有効期限を確認した時に、この旅は始まった。

来年1月以降、30,000マイル以上溜まったマイレージが、毎月約1,000マイルずつ無効になっていくコトが判明。これではいつもの買い物が水泡に帰するのと同じじゃないか。だったら旅に出よう!!せっかくだし東京で何か美術展でもと調べてみたら、国立西洋美術館で「ゴヤ展」が行われているという。それもスペインのプラド美術館から多くの収蔵品が来日したらしい。これはもう行くしか。日頃夜勤ばかりで#2には寂しい思いばかりかけてしまっているので、せめてもの罪滅ぼしを、「いっしょにマイル割」で。これならおトクな旅というものだ。

●  ●  ●

 ★雨の中を出発

12月3日。この日はあいにく気圧の谷が全国をすっぽり覆い、小松どころか東京も雨。冬だというのに珍しい。フライトがキャンセルになるような荒れ方ではなかったのは幸いというべきか。

雨をついて空港へ向かい、チェックインを済ませる。「いっしょにマイル割」はチケットレスではないのがやや面倒だが、自動チェックイン機にカードをかざせばオッケイ。あとはセキュリティを通り、待っているB777-281に乗るだけ♪
土曜の朝の便とあって、客層は家族連れが目につく。エマージェンシーデモが始まり、そろそろプッシュバックだ。今日はR/W24からの離陸。エンジン音が徐々に高まり、グランドスタッフに見送られてR/Wエンドへと進んでいく。俄かにショートホールドすると離陸許可が下りたようだ。ローリンクテイクオフの加速が気持ちいい。センター表示の少し手前でリフトオフした機は、そのまま真っすぐの針路でクライムを続けていく。


まだスクリーンには機のカメラが捉えた地上が…と思った矢先にやっばりタービュランス。大型機の範疇に属するB777でさえ揺さぶられる程、気流が乱れている。雲の上に出たが、もうひとつ上に雲がある。さらに上昇を続け、やがて機窓には青空が見えてきた。ベルトサイン消灯。短い水平飛行に移りドリンクサービスが始まった。

ここでコクピットからアナウンス。巡航高度はいつもより高い約9,500mをリクエストしたという。この後パワーが絞られディセンド開始。地上の様子が全く判らないので場所を特定出来ないが、もう伊豆辺りだろう。

機は雲の中へと入っていく。また揺れだした。でも以前、台風の近づく沖縄へ行った時はもっと揺れたと記憶している。今日はまだ全然マシなほうだ。雲の下に東京湾が見えたかと思ったら、もう羽田空港R/W34Lにタッチダウン。前方のスクリーンは悪天候のため着陸の様子を見せてくれなかった。東京は金沢より雨が強いようだ。

第二ターミナルに並ぶ機体はB777が多い。B747-481Dの姿はホントに少なくなった。隣のスポットに駐機していたのは今の主力機B777-381。全長はジャンボより長い。


出発準備中のANA B777-381

●  ●  ●

早速向かった先は上野。モノレールとJR線。前回東京に来た時は開業直前だった国際線ターミナルが眩しく感じる。この時間は近距離国際線が多いが、こちらもジャンボは大韓航空のたった1機。あの華やかりし頃は夜のスポットにジャンボがズラリと並び、ナローボディのDC-8やB707が申し訳なさそうに駐機していたのを思い出す。雨はまだ止まない。

 ★ゴヤ展at国立西洋美術館

上野のエキナカで諦めて傘を買い、ついでにゴヤ展のチケットも購入。美術館は長蛇の列と混雑を予想していたが、雨も手伝ったか予想ほどではなく、スムーズに入館出来た。

国立西洋美術館(本館)はル・コルビジェの作品 中庭は紅葉がキレイ 文化会館と大きな銀杏

ゴヤ展はスペインのプラド美術館収蔵品が多数来日し、かなりの見ごたえ。「着衣のマハ」はゴヤの女性描写の中でも有名なものだが、写真のなかった頃にナポレオンの侵攻を描いた作品もまた伝わってるものがあった。たっぷりと堪能。常設展も鑑賞しつつ、コルビジェの作である本館も味わってきた。

外に出ると、雨はもう殆ど上がっていて傘もいらない位。いつまでも時雨が残るこの時期の北陸とは違うなあ。


上野公園の晩秋

雨上がりの上野公園。大きな銀杏が存在感を示していたが、その足元に出来た水溜まりには役目を終えた黄色の葉が浮かんでいた。時折落ちてくる滴。晩秋のひとコマ。

●  ●  ●

ちょうど昼も過ぎ、JR上野駅のアトレにある「つばめグリル」でハンブルグステーキ。アルミホイルの中でふんわり焼き上げられたハンバーグとソースのビーフシチューが好き。久しぶりの味。食べたかったんだもん。さあ、エアロな買物。外に出ると雨どころか青空も見えてきた。そして来春オープンの東京スカイツリーがその威容を見せてくれた。雲の上に届いている。高いなあ。

東京スカイツリーが見えた ビル街と首都高 御徒町駅と山手線の電車

 ★お買いもの

アメ横の反対側の高架下を少し歩くとスポーツジュエン アネックス。ここはエアロのウェアやシューズなどが豊富に取りそろえられている。競技用のレオタードもある位だ。しかもたまたま全品20%オフセール中!!早速#2が可愛いトップスやパンツを見つけた。ボクは…ソックス2足だけ(笑)。

せっかくなので新宿のオシュマンズも行ってみようと再びJR線。神田で中央線快速に乗り換え、久しぶりの東京ドームを見ながら二人で「今度はいつストーンズが来るのかな…」などと。
窓の外はすっかり紅葉していて、都心でもこうして手軽に紅葉狩りが出来るのは魅力かも。いや、それ以上にゆるい鉄道写真を撮れそうな場所がいっぱいあるんじゃないのかなあ。昔はただがむしゃらに構図もヘッタクレもなく電車だけを撮っていたし、最近はレイル・ストーリー取材用の写真ばかり。再び一眼レフを持つようになりこうして振り返ってみると、一度ゆっくり場所を探しながら気に入った写真など撮れたら…と、ふと思った次第。


紅葉の上野公園とE231系

以前なら絶対撮らなかったのが上の写真。ただ電車が通っただけで先頭車の「顔」も入っていない。でも情景の中にE231系のダブルデッカーを一つの帯として入れ、公園の木々を絡ませ雨上がりの青空と対比させ、駅周辺を歩く人々、古い駅舎。これまではそんな瞬間を切り取ってみることは全く考えてもみなかった。
新宿に着き、着々と変貌を遂げていく西口と南口に圧倒される。フラッグスのオシュマンズでは最近のフィットネスの傾向か、ランニングとヨガ関連ばかり…エアロといえば相変わらずレッスン用のCDは取りそろえられているものの、ウェアなどはだいぶ勢力が衰えててガッカリ。結局フラッグスでは#2に可愛いバッグを買ってあげただけ。

神保町へ移動。都営新宿線で乗った10-000系は久々に乗る直流モーターの電車。インバータ制御の交流モーター車が主流となった今では珍しい存在でもある。回転を増していく音がいかにも電車らしくて小気味いい。近くのスタバで#2にはしばし小休止してもらい、その間に書泉グランデで鉄な本を品定め。ブームが需要を呼んだか、フロアが全部鉄な本に変わっていた。ムフ。

●  ●  ●

冬の陽は短い。外はもうすっかり暗くなり、あと少し、スポーツ店を流しているうち、そろそろ羽田空港へと向かうことに。

 ★帰途に

神保町からは都営三田線を三田まで乗り、後は都営浅草線〜京急。乗り換えた三崎口行き快特はステンレス車体の1000型。京急は2100形以来ドイツのジーメンス製インバータが独特の音を発する「ドレミファ電車」で有名だったが、この1000形は国産品が搭載されていて、あの音は聞かれない。また2100形や1000形初期車もインバータの更新が進められていて、もはやドレミファは風前の灯なのだそうだ。残念だなあ。
京急蒲田で空港線に乗り換え。高架化工事が行われている中、空港線のホームは高架と地平の両方が使われていて、高架ホームへ大急ぎで階段を駆け上がる。ふー息が切れた(笑)。快特の1本後の急行が直通だったけど、あの韋駄天走りを体感したくて、つい…。

ちょっと早めに空港に着き、展望デッキでつかの間のスポッター。この日北海道方面は大荒れで欠航が相次ぎ、数を減らしているANA B747-481Dを見ることが出来た。本来なら新千歳空港へ向かっていたのだろうか。

ジャンボが2機並んでいた B767-381

晩ゴハンは第二ターミナル3階でタイ料理のフォーと生春巻。提供が素早く、また美味しいのがイイ。吹き抜けとなっているチェックインカウンターの喧騒を眺めながら、しばし今日の旅を振り返ってみたりする。そろそろ出発だ。

●  ●  ●

セキュリティを通り向かった先はバス出発ラウンジ。広くなったはずの羽田空港なのに沖止めとは…。既に搭乗案内中で、そのままバスに乗り機へと案内される。このバスの中で聞かれる金沢弁、「帰るんだ」と思う瞬間。あまり好きではない。帰りの便もB777-281。定刻を少し過ぎ、ドアクローズ。

朝とは風向きが変わり、R/W16Lからの離陸だ。滑走路が増えて離陸待ちの渋滞がないのは嬉しい。力強く大地を蹴ったB777は、そのまま真っすぐに上昇してKANEK2 RNAV DEPARTUREを左ターン、飯能上空辺りで雲の中に入ってまたタービュランスが。でも程なく揺れも収まり水平飛行に移った。ドリンクサービスに続いて機長のアナウンスがあり、今度は高度約6,800mをリクエストしたという。
サービスの途中で早くもディセンド開始となり、CAさんはカップ回収と機内販売などで大わらわ。ベルト着用サインが点灯して小松空港へと降下を続けていく。

揺れが収まり、雲の下に出た辺りで見えたのはアピタ松任の灯り。どうやらHIMRO RNAV ARRIVALでR/W24へ向かっている。というコトは、自宅からも見えたのかもしれない。そこで降ろしてくれたら…というのはウソ(笑)。こちらは雨が降っているようだ。
やがて前方スクリーンには小松空港の灯火が見えてきた。やや右からの横風を受けながらのファイナルアプローチ。ストロボライトが流れている。進入角2.5度の浅めのグライドパスは共用空港ならではのスリリングさだ。タッチダウン。すかさず機首を正対させ機のスピードを落としていく。相変わらず雨の止まない中、マシャラーさんのパドリングでスポットイン。

●  ●  ●

たった1日、そんな時間しか取れず、雨にも降られたが#2との旅、久しぶりの旅だった。結婚25周年の来年こそ、ちょっとはのんびり出来る旅をしたいものだ。

取材日 2011年12月3日 
カメラ  Nikon D3100 
レンズ   TAMRON 18-270mm F/3.5-6.3 DiUVC PZD