旅日記Vol.28
復活した金沢市電に感激!! 2001.10.13


ある日、仕事帰りの帰り道に立ち寄った本屋で「鉄」雑誌を立ち読みした時に、ふと目に付いた記事があった。それは10月に福井でトランジットモール実験が行われる予定で、路面電車が復活するというものだった。福井と武生を結ぶ福井鉄道は、福井市内の一部に道路の真ん中を走る路面電車と同じ線路がある。かつて市電同様に路面区間だけを走る系統もあったが、今は武生までの直通運転ばかりになっている。

地方都市でのクルマ依存というのは全国的な問題。そこで既存の交通機関を見直し、クルマ社会からの脱皮と市街地の活性化を見込んだ交通実験が各地で行われている。今年福井では、かつての路面電車を復活させたらどのようになるか…という実験が試みられることになった。

しかし路面区間だけの系統がなくなって久しく、福井鉄道には路面電車タイプの電車は無くなったのか…いや、1両だけあった。その路面電車はずっと残っていたものではなく、平成元年にイベント用として名鉄岐阜市内線から移ったもので、その後たまに行われるイベント以外は、ずっと武生の車庫で眠っていたというもの。今回はその電車と、さらに名鉄から1両の電車を借りて10月12日から11月4日の期間限定で「すまいるトラム」という名で走らせるという。

ただし、武生で眠っていた電車というのは…もともと金沢市電だったのだ!もっともかつての路面系統も金沢市電から移った電車だったが、こちらはなくなって久しい。…これはもう行って再会するしかないっ!!

● ● ●

 ●福井へ そして金沢市電との対面!

通いなれた北陸道を福井へ。混雑もなく約1時間のドライブでスンナリと福井市内に入り、トランジットモールが行われているJR福井駅前近くの駐車場にクルマを駐める。

トランジットモールになっているのは、市役所前-福井駅前間の通称「ヒゲ線」だ。福井の中心部であるこの通りは、期間中自動車進入禁止の措置がとられ歩行者天国になっている。辺りはLoftや無印良品、だるまや西武といった西武系企業の進出が目覚ましいが、その他にもオシャレ心をくすぐるショップが多く、街も綺麗に整備されていてなかなかいい雰囲気〜。

…としばらく歩いていたら、ちょうど市役所前から福井新に向けて走り出したのは元金沢市電だった!あわてて追っかけるが遅く、少し歩いて足羽川の橋の上で戻ってくる電車を待ち伏せ。しばらくしたら、その電車がやって来た!

足羽川を渡る元金沢市電
足羽川を渡る元金沢市電

なつかしい。金沢市電こと北陸鉄道金沢市内線が廃止されたのは昭和42年2月のことだから、もう34年も前になる。ボクはまだ小学校に上がる前だったが、市電に乗ったのは覚えている。路線の廃止後、「青電車」と呼ばれて親しまれた小さな四輪単車は一部が保存展示された以外は姿を消したが、「赤電車」「ボギー車」と呼ばれたもう少し大きめのこの電車は、多くが岐阜や豊橋で再び活躍を始めた。岐阜に移った仲間はやがて路線の縮小で役目を終えたが、唯一この1両だけが福井に移り、イベント用として使われるようになったもの。豊橋に移ったものも去年役目を終えたが、1両は金沢時代に復元され、アメリカはイリノイ州で保存されたという。

 ●トランジットモールの主役「すまいるトラム」

元金沢市電モハ2200型

名鉄モ800型

こちらは元金沢市電モハ2200型

助っ人にやって来た名鉄モ800型

福井駅前で並んだ「すまいるトラム」

この日はヒゲ線のある通りでイベントが行われるため、夕方まで「すまいるトラム」の運行はお休み。しまった!と思ったら2両の電車はイベント会場近くに並べられ、公開された。電車のドアも開けられ、中に入る事が出来た。こりゃラッキー!!

今回のトランジットモール実験では唯一の元金沢市電1両だけでは足りず、親会社の名鉄の岐阜市内線/美濃町線からの応援電車が1両助っ人にやって来た。こちらは昨年デビューしたばかりの新車。実験直前の10日にトレーラーに載せられて福井入りしたらしいが、なにしろ現役バリバリの電車とあって、来月4日には岐阜に戻るという話だ。
ちょうど同じ頃、相次ぐ正面衝突事故でまだ運転再開にはなっていない京福電鉄の電車代行バスが走っていたのを見たが、何とこちらも親会社から応援の京阪のバスだった。名鉄の電車と京阪の路線バス…なんか変なカンジ。

名鉄のモ800型は、路面電車の岐阜市内線、それに近い性格の美濃町線と、パノラマカーの走る各務原線の新岐阜駅を直通出来る性能を持っている。規格も電圧も違う両線を直通できて、もちろんエアコンつき。足回りは最新のインバータ制御で、さらに低床でバリアフリー化もバッチリというスグレモノだ。でも同時に昭和31年生まれの元金沢市電モハ2200型との時代が生んだ違いも痛感した。

助っ人の名鉄モ800型は、短期間で岐阜に返すため車内外の広告類はそのままになっていて、なんかえらく場違いなのがユーモラスだった。

 ●34年ぶりの金沢市電に感激!

さっそく車内に入ってみた。ああ34年ぶりの赤電車だー!!感激!!母や祖母に手を引かれて乗ったなあ…

ああなつかしの赤電車…

車内の雰囲気もそのまま

大きなコントローラーが

金沢市電時代が蘇る…

車内は殆ど変わっていなかった

年代ものの運転台機器

母の実家は金沢市電の車庫のすぐ近くにあった。ボクが幼かった頃路線が廃止になり市電は車庫に集められていたが、兄やイトコ達とこっそり誰も居ない車庫に忍び込んで本物の電車(笑)で電車ゴッコをしたものだ(笑)。

何度も座ったり立ったりして記憶の断片を探す。

この日はトランジットモール2日目の土曜とあって、数人の「鉄」もいた(笑)。しかもだるまや西武前には、この2両の電車を製造した日本車輛が「日車夢工房」という店を出していて、さっそく物色。先代名鉄『北アルプス』のピンバッジ2種類と、小田急ロマンスカーのマウスパッドを購入。

 ●でも福井もなつかしいな

子供の頃父親の転勤で福井に住んでいた時期もあって、福井の街もなつかしい。「かがみや」で鰊の甘露煮を買って両親へのおみやげにした。そういえば福井鉄道もよく乗ったなあ。(乗せられたなあ…か(笑))

福井鉄道モハ200型

元名古屋市交通局1200系

福井鉄道オリジナルのモハ200型

こちらは何と元名古屋の地下鉄

福井鉄道の電車は武生直通のため郊外型の電車ばかり。これがノソノソと路面区間に乗り入れるのがおもしろいが、それも魅力。だいぶ電車は入れ替わったが、昭和35年製の福井鉄道オリジナルのモハ200型は健在。あの頃は「急行電車」としてスター的存在だった。今は広告車になってしまっているが、なかなか端正なスタイルでボクの好きな電車の一つ。
最近名古屋の地下鉄名城線から電車が移ってきた。三つあったドアの一つは埋められたが、車体は黄色がベースになっていて名古屋時代を彷彿とさせる。

● ● ●

すっかり思い出にひたった後は、武生まで足を伸ばして久しぶりに「かめや遊亀庵」でおろしそば。辛かったけど旨かった。そろそろ帰途ということで武生ICから北陸道に乗り、金沢へ。そのままリーヴへ直行してエアロと筋トレ(爆)。

買ってきた鰊の甘露煮は、翌日鰊蕎麦にして両親に出した。そしてデジカメで撮って来た写真も見せて、福井の味となつかしの金沢市電、そして福井の街の思い出で心からオナカいっぱいになって、すごく喜ばれた。両親も久しぶりに福井へ行きたそうだったし、ボクももう一度福井へ行きたいなあ…などと思ったり(笑)。

記念写真でーす
せっかくなので記念写真も撮りました

トップに戻る