撮影テクニック
●絞り値の決定
絞りをカメラ内のオートに任せると、ちょっと明るめの画面になる。どうもカメラじたいがすでにそういうふうにチューニングしてあるようだ。だから時間と気持ちに余裕があれば、オートで計測された絞り値から1絞りぐらい絞って撮るといい。つまりオートの状態でシャッターを半押しして示された値が2.8だったら4に、4だったら5.6にするということ。
露光計がない場合、人物の顔を基準にする。人物の顔にせいいっぱいズームして、そこでオートで計測した値を決定値として「絞り(EE)ロック」するというテもあるだろう。
露出計、それも前述したようにスポットメーター(反射式)を使うのがいちばんだと考えるが、さて、スチールカメラで一眼レフを扱ったことのない人は、露出計を購入してきても何だかさっぱりわからないと思う。
まずはシャッタースピード。8ミリカメラでは、18コマ/秒の場合、シャッタースピードは1/30で計測する。そしてさらに、カメラのシャッター開角度によって補正が必要だ。
シャッター開角度160度=−1/3,180度=−1/3,220度=0
24コマ/秒での場合は、シャッタースピードは1/50。補正は、
シャッター開角度160度=0,180度=0,220度=+1/3
同じフジカのカメラでも、ZC1000はシャッター開角度が 160度で、ZX550は 220度というふうに異なっている。
この補正をいちいち頭の中で計算しているのはつらいので、デジタル表示の露光計の場合、感度の設定を変えてやればいい。
R25 …+1/3の時はASA32 -1/3の時はASA20
RT200…+1/3の時はASA250 -1/3の時はASA160
まあ、ここまで細かく計算して絞りを決めるのは、よほどの狙いがある場合だけだろう。ワタシもふだんは露光計こそ使うが、補正値は瞬時のカンで決めている。
●撮影許可は必要か?
8ミリ映画の場合「学生ですので」とか「趣味で仲間うちで映画をつくっているので」とか言ってごまかせるので、撮影許可はいらないだろう。自衛隊基地の中とか、皇居の中とか、空港の敷地内とかでないかぎり、始末書とお説教ぐらいで済むはず。
私有地内での撮影は、その所有者の許可があれば、度を越したことをしなければ問題は起こらない。
道路などの公有地の場合、本来は所轄の警察署に届け出を提出しなくてはならないことになっている。しかし、映画の撮影で事前に日時を決めてその通り撮影が行われるとは限らない。プロでも適当な日時で一応許可を取って、あとは助監督が事情聴取されている間に撮影を済ますのが常識化している。
もひとつ知恵を授けると、公有地の場合、撮影使用料をとられるケースがある。廃墟などでおおがかりな撮影をする場合がそれに当たる。これは届け出の「使用面積」に基づいて料金が算定されるので、極力小さな面積(例えば廃墟内の一部屋)で届け出を出して、実際の撮影は廃墟全体を使ったりする。
無届けで撮影をする場合、こわいのは住民の通報だ。通報があればいやでも警察は出動しなくてはならない。だから大きな音を出すような撮影、本当の事件と間違える目撃者が出そうな撮影は、悩んだり遊んだりせずに、さっさと撮影を済ましてすぐに立ち去ること。
●ストップモーション
8ミリは劇場映画のようなストップモーションはできない。それでもなんとかしたい人は、次の方法をとるべし。
1、ヴューワーの画面を再撮影する。これは明るさの関係上、再撮影するフィルムはRT200 しか使えない。
2、撮影時にスチールカメラでも同じ画角で撮っておいて、ネガだったら焼き付けたプリントを再撮影、リバーサルフィルムだったら、スライド映写機で映写して再撮影か、8ミリカメラのレンズにくっつけるようにして、マクロ撮影で撮る。
3、スチールカメラで撮っていなかった場合、コピーチューブというアタッチメントで、8ミリの任意の1コマを、写真に撮ることができる。これはもう販売していないが、ワタシのまわりで聞いてみたところ、予想以上に所持している人が多かったので、借りるのに苦労しないのではないか。あくまでもワタシのまわりの話だが。ちなみにこれはロンドという会社の製品で、実売価格で1万円ほどのものだった。一眼レフカメラに取り付けるもので、ワタシが持っているものはキヤノンのマウントをつけてある。
●シネスコ
アナモルフィックレンズというものがある。これを撮影時にカメラのレンズ前に固定させて撮り、映写の時にも映写機のレンズの前に設置する。そうすれば、8ミリでもシネスコは可能だ。映写の時に、標準サイズよりも暗くなってしまうのが欠点だが、横長画面はそれを上回る感動がある。
●人間三脚の極意
人間三脚というのは、手持ち撮影なのに三脚に乗せているかのようにカメラが揺れない撮影を言う。極意というほどのことはないが、息を止めること、これに尽きる。タバコを吸う人や酒を飲む人はダメという説もある。ワタシも若い時しかできなかった。
商業映画は三脚にカメラを乗せることを基本としているので、手持ち撮影の方が多い8ミリでは、手持ちでありながら三脚のような動きをすることに美学があった。どうでもいいことと言えばどうでもいいのだが、ビデオから入ってくる人には息を止めるということがよくわからないようなので、ここに記しておく。
●ピン送りのテク
商業映画では撮影助手がピント送りをするが、8ミリ映画ではひとりで何でもこなさなくてはならないケースがほとんどだろう。そこで、ファインダーを覗き込みながらピントを送るテクが必要になる。
これも結論から言えばローテク。送る先のピントの位置に合わせて、2本に折ったマッチ棒などをカメラのレンズ軸に貼り付ける。ピントを送る位置になった時にそれが直線になるようにすれば、指の感触で感知できるのだ。それだけの話。1カットの中で2カ所以上ピント送りをしなくてはいけない場合は、マッチ棒の数を増やせばいいわけだ。
●「撮影の基本」と言われているものは8ミリにもあてはまるのか
あてはまらない。無視していいだろう。それは「パン(カメラを横に振る)する時はゆっくりと」などに代表される、どうでもいい事柄なのだ。スポーツでは基本は大切だろうが、映画のように歴史の新しい表現行為では、まだ基本と呼べるようなことはそれほどないと思う。
商業映画ではなく、あくまで個人のレベルでつくられる映画がこの20年のうちに発見してきたことは、あくまで撮ることの快楽に忠実であっていいということだ。これがフィルムに刻み込まれれば自動的に他者にもその快楽は伝わる。ピントが合っていなかったり、映像がブレていたりすること、そこがじつに美しいという映画(映像)はたくさんある。映画はライブではないから、撮りたいように撮って、それから編集で追い込めばいい。まずは作家が撮ることに集中すべきであり、あとはわけのわからない力によって、映画が勝手に育っていく。そんな感じでいいと思う。伝統芸能ではないはずだから、守るものなどない。ただ切り拓いていけばいい。個人的にもそんな映画が観たい。
●18コマ/秒と24コマ/秒はどう使い分けるか
8ミリ映画は18コマ/秒でつくられることを想定して機材が設計されているように思う。だが、24コマ/秒という選択もある。
劇場映画は24コマ/秒である。もうちょっとくわしく言えば、16ミリ映画と35ミリ映画は24コマ/秒で固定である。だから、将来的にブローアップしてみようと考えているなら、その時の処理も含めて最初から24コマ/秒で撮っておいた方がいいだろう。
もうひとつ、アクション映画など、素早い動きの多いような映画をつくるなら、24コマ/秒が適している。1秒に映し出す絵の数が多いほど、細かい動きは滑らかに認知されるからだ。どちらにするか、この選択は慎重におこなうべきだろう。
●フィルムは途中で取り出してもいいか
もちろんOK。ただ取り出した部分が前後1秒ほど感光する。つまり真っ白になってしまう。
フィルムの種類が2つしかないとは言え、使い分けのために入れ替えることもあるだろう。その場合、フィルムの箱などに何メートルまで撮ったかをメモっておくと便利だ。残りがどのくらいあるかわからないフィルムカートリッジが増えて混乱することは避けたい。
●多重撮影
シングル8はフィルムの巻き戻しができるので、2重にも3重にも重ねて撮影することができる。Pで始まる型番のものは特別なアタッチメントが必要だが、Zで始まるカメラはZ2以降は巻き戻しのレバーがある。
全然別の映像を重ねて撮る場合は、何の操作も加えずに撮ればいいが、例えば「透明人間」ショットを撮りたい時は、そのままで撮ると背景を2回撮ることになるので、露出がオーバーになる。そこでちょっとしたテクが必要だ。これは2通りの方法がある。
1、露光計で計測して出した適性値から1絞り絞る
2、シャッター開角度を1/2にする
●ファインダーでの見た目と実際に写る範囲は違う?
違う。これはカメラによってさまざま。基本的には見た目よりもちょっとだけ広く写るようだ。ただしこれは、映写機の側にも個性があって、フィルムに写っているぎりぎりまで映写するものもあれば、ややまわりをカットして映写するものもある。
写り込ませたくないものがある場合は、自分の使っているカメラが、どのぐらいの範囲まで撮れるものか、テスト撮影して感じをつかんでおくといいだろう。
●寒冷地ではカメラの回転数が落ちる
乾電池は寒さに弱い。気温が零下になるような場所で撮影していると、耳で聞いていて明らかにモーターの駆動が遅くなっていくのがわかる。こうなると人物の動きなどがパタパタとコミカルになってしまう。
ZC1000の場合は、電池が専用ケースに入っていて抜き差しできるので、寒冷地では常に2つ持ち歩き、ひとつは胸の内ポケットに入れておいて、1カットごとに差し替えるという方法をとっていた。
その他のカメラではちょっと面倒だが、内部の電源端子からリード線をひいて、必要本数ぶんの電池ホルダーと結線し、ホルダーは自分の体の熱であたためられるところに入れておけばいい。
寒冷地でそれよりも怖いのが結露だ。あたたかい部屋から急に寒い外に出るとレンズが曇ったり、内部に水滴がついて故障の原因となる。
●バルブクランクの自主製作法
バルブ撮影というのは、手動などでカメラを回して、好きな時間だけ1コマに露光する(シャッターを開いている)という撮影方法。よく写真などで、星が北極星を中心に円を描いていたり、夜の道路を走る車のヘッドライトが光の直線になっていたり、滝を落ちる水が白いクリームの柱みたいになっているもの、これがバルブ撮影されたものだ。それが動画でもできる。
バルブ撮影ができるシングル8用カメラはZC1000とZ800のみ。その他の機種はカメラ内をいじくって、改造するしかない。ここではZC1000, Z800のための正規バルブクランクの代用品のつくりかたについて記述しよう。
金子丈男さんからの情報では、バルブクランクは100円ショップで売っている習字用の小筆で代用できる。小筆は竹なので中が空洞だ。これがちょうどバルブクランクを入れる穴に合う。切れ込みを入れなくてはいけないのが面倒だろうが、 100円で済むなら気が楽だ。竹なので切れ込み部分から割れ目が拡大するおそれがある。そこでタコ糸を巻き付け、アロンアルファなどを塗って補強してからやるといいだろうけれど、使い捨て感覚でもOKかと思う。
高原一さんがこの方法で作ってみたところ、グラグラとして安定しないという欠点が判明した。そこで彼はホームセンターで売っているアクリル製の細い筒で、クランクを入れる穴にぴったりのものがあると発見。これで安定させることに成功したそうだ。
ちょっとグラつくようならセロテープを巻いて、ちょうどハマるくらいに調節していけばいい。これなら習熟していけば、ネジの切り込み方向が間違っていて、はずれやすいという欠陥を抱えている正規品よりも使い勝手がいいかもしれない。
●ファインダーからの光の写り込みに注意
ファインダーを覗き込まないで撮影するケースで、ファインダーに太陽光線などの強い光が入り込むような場合、この光がフィルムに露光してしまうことがある。ワタシの経験では、ZX550ではこのようなことが起こりやすい。現像が上がってきて映写してみると、満月のような丸いものが映像にかぶっているという結果になる。カメラによっては、ファインダー用のキャップがあったり、ファインダーを閉鎖できる仕掛けになっているものがあるが、それはこのための機構なのだ。ファインダーを覗き込まないで撮影し、かつファインダーに太陽やライトの強い光線が入り込んでいる場合は、てのひらでファインダーを塞ぐように気をつけるべし。つけ加えておくと、この効果を利用してつくられた実験映画はすでに存在する。
●インターバルタイマーはEOS用を改造
インターバル撮影というのは、何秒とか何分に1コマという間欠撮影をすること。イメージしやすいのは、花が開く映像とかセミが羽化する映像とかだろう。サンキョーやチノンのスーパー8用カメラの一部には、その機能が内蔵されているものがあるが、シングル8用カメラにはない。わずかにZC1000用のアタッチメントとして発売されたインターバルタイマーがあるが、最大で65秒に1コマまでと、使い勝手が悪かった。
ではどうすればいいか。回答は「キヤノンのEOS用のインターバルタイマーを改造すること」。設定では23時間59分59秒で1コマまで可能。実売で1万3千円弱。
改造はEOS専用ジャックを切り取る。すると3本のリード線があらわれる。1本は不必要で、あとは+と−だから、ミニミニモノラルジャックを用意して、使用する8ミリカメラに接続してどれとどれを結線すればいいかを実験して確かめてから結線するだけ。
なお、あくまでカメラ側に1コマ撮りの機能があり、かつリモートコントロール機能があるものに限られる。つまりZC1000とZX550はOK。ZXM500やZ800はNGということになる。
●フィルターを自作する
フィルターは自作も可能だ。ケンコーから発売されているホルダーを使用することが前提となるが、ホームセンターで売っている「アクリル板」を切って、着色したり、傷をつけたりしてオリジナルのフィルターを作ることができる。アクリル板はホルダーにおさまる厚さのものを買う。厚さ1ミリぐらいが使い勝手がいいだろうか。
これを通常のカッターで切ることもできるが「アクリルカッター」という製品があり、安価なので、同時に購入することをオススメしたい。
着色はマジックでも可能だが、アクリル板専用の塗料もある。ここらへんは工夫しだいだろう。クレヨンでもいいわけだし。
傷をつけるのは、軟調(ソフトフォーカス)を狙うためだ。市販のフィルターでは、画面全部とか、半分の効果をつけるものに限定されるが、自作なら自由自在というわけ。軟調の強弱も傷のつけかたによって自在に変更できるはず。
試みるだけならとても簡単なので、オリジナルフィルターを駆使して「自分にしかできない映像」にチャレンジしてみてはいかが。
タイトル/クレジット撮影
かつて8ミリ専門誌『小型映画』が発行されていた頃は、タイトルの撮り方だけで一冊のムックが発行されていたほどだ。なのでここでもあえて一項目設けさせてもらおう。
パソコンでのノンリニア編集であればアニメーションするタイトルや字幕を自在に入れることのできる時代だ。しかし8ミリにはそんな「お手軽マシーン」はない。
ここの項目では「文字やロゴやイラストのみが撮影される場合」と「スーパーインポーズ字幕のように、映像に重ねるかたちで文字などが入る場合」のふたつにわけて記述しよう。しかしながらどちらにしても応用はケース・バイ・ケースで多岐にわたる。例を上げていけばきりがないので、ここではごく基本的なテクにとどめることを了解願いたい。
●照明の当てかた
照明は2灯を左右から当てる。1灯で正面から当てると照り返しが発生するのでさけたい。
見た目では均一に当たっているようでも、たいていはムラがあるものだ。露光計で計測してムラなく当たるようにするとベスト。
タイトルのペイントに使用した塗料によっては、どう照明を当ててもテカってしまうことがある。この場合はタイトルを床置きにして、写真用品の「無反射ガラス」を乗せればいいだろう。もしくは偏光フィルターを使用するという手段も考えられる。
●背景映像なしの場合
手書きでもいいしパソコンでつくった文字でもいい。タイトルはその映画の表看板のようなものだから、シンプルであるのもよし、凝りまくったものであるのもよし、ここれは作者のセンスが問われるところだろう。
紙に印刷されたり書かれたものを撮る場合、タイトルボードを床に置いて三脚で固定したカメラを真下に向けて撮ってもいいし、壁に貼って撮ってもいい。ただ壁に貼った場合はボードを止めた画鋲やテープが映り込まないように注意すること。これは基本。
ファインダーでは見えなくても実際にはフィルムに映り込んでいることがある。ファインダーで見えている範囲よりも、実際に映っている範囲が広いカメラ(フジカZC1000もそうなので注意)が大半だろう。だからこそ、ファインダー内の四隅に矢印をつけて撮影し、現像して実際の撮影範囲を知ることが大切なのだ。フィルムの余った部分ですればいいから、一度はやってみるといい。自分の使っているカメラが、どの程度ファインダーと実際の映像に誤差があるか、一度アタマに入れておくことはきっと役に立つ。
困るのはファインダーでは真ん中に見えても、左や右に寄っているケース(ワタシの使用カメラではフジカZX550が顕著)や、傾いてしまっているようなケースだろうか。これもフィルムの余りでテストしてみて、自分なりに修正しながら撮るしかない。プロ機材と違って8ミリは「どうせおもちゃでしょ」という感覚で設計されているのだろう、ここらへんはいつも機械としての甘さを感じる部分ではある。
自主製作映画では(ワタシも例外ではないが)タイトルが傾いていたり、画鋲が映り込んでいるものがけっこう見られる。それと同じくらい、タイトルがピンボケだったり(これはピントを合わせればいいだけなので論外)、黒の部分が妙に明るく映ってるものがある。
タイトルに色をつけるなら話は異なるが、白と黒だけのシンプルな場合、絞りをオートにして撮るとこういうことが起こる。考えてみれば当然だろう。黒い部分が多ければ絞りは開くだろうし、白い部分が多ければ絞りは閉じる。これは反射式の露光計があれば、暗い部分と明るい部分を計測し、その中間の絞りの値で撮ればいいのだが、露光計がない場合はどうするか。
一部の機種を除いて、たいていの8ミリカメラにはオート時の絞りの値がファインダー内に表示される。なので暗い部分にズームしてその値を書き留め、明るい部分にズームしてその値を書き留め、手動(マニュアル)でその中間の絞りにしてで撮ればいい。フジカZ450の場合は手動調整ができないので、決めた中間の絞りになる部分をどこかカメラを振り回して捜して、そこで「絞りロック」をかければいい。
ここまでが基本。あとは創意工夫でどうにでもなる。それぞれの映画的記憶と、使用するカメラの機能を駆使すればいいだけの話だろう。
●動画映像に文字等を挿入する場合
要するに重ね(多重)撮影ということになる。
撮った映像を現像に出す前に巻き戻して他の映像を重ねて撮影するということになるので、スーパー8ではできない。またやり直しもできない。一発勝負になる。かなりの芸当が要求される。
フジカZC1000の場合、フィルムの1コマに対応するカウンターが側面についているので、撮影中にこの表示を見てインとアウトのタイミングをつかむことができる。その他のカメラの場合は、フィルムを挿入する側に丸い窓があり、そこから見える巻き取り側のフィルム軸に打たれた白い点が何回転したかが手掛かりになる。
ところが自主製作映画でそれを見ていてくれる撮影助手がいることはめったにない。ファインダー内には表示されないので、ひとりで撮影しているような場合はお手上げだ。そこでビデオカメラの出番なのだ。ビデオカメラで、ZC1000のカウンターなり、その他のカメラの丸窓部分をクローズアップ撮影してしまえばいい。タイミングはファインダーを覗いている作家の声で指示する。そうすれば正確ではないものの、まるで間違えるようなことはなく、巻き戻して重ね撮りをすることができる。
このテクはこの項目に書いたが、じつは8ミリ特撮に応用できる。あとは各自で考えるべし。
●どうしても字幕を入れたい
こんなケースはめったにないだろうけれど、セリフやナレーションのある8ミリ映画を、外国でフィルムのままで上映しなくてはいけにハメになってしまったとしよう。さあ困った。
フィルムにあとからの操作はできない。そうなると映写パフォーマンス的に外国語の字幕を入れるしかない。どうするか。方法はいくつかあるが、現実的なものを2つだけ。
1、スライドで字幕映像をつくって同時に投射する。スライドはけっこう光源が明るいので有効な手段だ。テープに入れた信号に同調して動くスライドプロジェクターを使えば、例えば2トラックが空いている場合、そこに信号を入れておけば自動的にスライドの字幕が投影されることになる。
2、ビデオプロジェクターの併用。昨今のビデオプロジェクターもやたら明るいので、スライドなみに使えるようになった。基本的には?と同じように同時に映写して字幕を投影すればいい。
これでもダメならば「ブローアップ」の項目を参照して、16ミリなり35ミリにして映画のように字幕を打ち込んでもらうしかない。まあそこまで行く作品なら、そんなことを行う予算は簡単につくものでしょう。