「これ、やる」 「お、チョコレート。気が利くな」 ジャックと選んだ箱を渡すと、ファラがいそいそと包装紙を破きだした。 ファラは甘いものでもイケルクチだ。 お茶の時間にお菓子を出せば、必ず手を付ける。 それがわかっていたからこれを選んだんだけど。 ちらっとジャックを見やれば、<うひひ>と羽根を細かく揺らしている。 そうして続く予想通りの「うっ」と漏れたうめき声に、してやったりと頬が緩むのが止まらなかった。 「あ、言い忘れたけどそれ、石鹸だから」 ぺっと焦げ茶色の物体を吐きだしたファラが乳白色の瞳を潤ませて睨んできたが、 ざまあみろと舌を出して応戦してやった。 「いつも俺をおもちゃにしてくれてありがとう」 たまのたまにのお礼参りだ。 遠慮なく受け取ってくれ。 「使徒星の住人たち」シリーズ moro*on presents
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