「俺だって、いつまでもガキじゃないんだからさ。お目付役はもういらないよ」
「わかってないな。ガキじゃないから、だろ?
俺が威嚇してなきゃ、おまえ、今頃どっかに連れ去られてるよ」
ま、そんなことになるとしたら、俺が真っ先にそうしてるだろうけど。
母親似の目鼻立ち。口元は父親似。
肌の色は母親と同じ。髪と瞳は父親そっくり。
歳を重ねるごとに、童顔が目立つ。
やっぱり父親がそうだった。
男だからか、滅多やたらに注目されない。
それがまだ救いだな。
「じっと何、見てんだよ。言いたいことあるなら言えよ」
まったくなあ。
じっくり見たら、実は目が離せなくなる顔立ちだってこと、本人、全然自覚がないからマジに困る。
「何黙ってんだよー。ファラさあ、もうちょっと素直になったら? おまえ、言葉足りなさすぎっ」
「その言葉、そっくりそのまま返してやるさ」
でもまあ、おまえが言葉がほしいと言うのなら。
とりあえず、
「頼むから、あちこち無駄に愛想を振りまくのはやめてくれ」
今はそれだけ言っておこう。
「使徒星の住人たち」シリーズ
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