クリスマスの余興にと、久々にファラ相手にカードゲームをした。 一回戦ずつチップを賭ける賭けゲームだ。 調子よく勝ち続けていると負ける気がしなくなるのが、ギャンブルの怖いところ。 勝負事には勝つ者がいれば負ける者もいるって そんな当たり前のことさえも頭から飛んでいってしまうのだから、 賭けってのは本当に性質が悪い。 誰しもの感覚を麻痺させてしまう不思議な力。 わかっちゃいても、 いつもは勝てない相手に優勢なものだから、もう気分はハイテンション。 どんと来いってなもんになる。 今日こそファラに勝ってやるぞと俺は鼻息荒く意気込んだ。 ──結果。 「……マジかよ」 賭けようなんて言ったのはどっちだった? 何かを買うとかじゃなくて、負けたら身体で支払うだなんて、 そんなルールにどうして俺は頷いたりしたんだろう。 てっきりご馳走作るとか、そうゆう肉体労働が賞品だと思っていたのに。 「何なんだ、これは」 さっきからファラは俺の手首を色とりどりのリボンでぐるぐる巻きにしている。 「見てわからないのか。ご奉仕してるんだ」 「いや、これはどう見てもそうじゃないだろう。第一、何で束縛?」 「リボンってのは縛ってナンボだろ?」 確かにそうだけど。 「ゲームに勝った俺がどうしてこんなことされなきゃならないんだよ」 これじゃあまるで俺が負けたみたいじゃないか。 「黙って見てろ。縄抜けのコツを教えてやる。いざって時に役に立つぞ」 なるほど。それが賞品ですか。 そう来られてしまうとこちらとしても言い返す言葉がなくなってしまう。 「確かに知ってて損はないけどさあ」 ファラがふんふんと鼻歌交じりにしゅるしゅるとリボンを結んでゆく。 ご奉仕する側がそんなに楽しそうでいいんだろうか? 「おい。マジにキツイぞ。ホントにコレ、ちゃんと解けるんだろうな」 「使徒星の住人たち」シリーズ moro*on presents
|