贅沢の極み


「おい、俺を癒せ」

刹那、ファラが背後霊のようにぶら下がってきた。

「う、冷た……」

どことなくやつれたように哀愁が漂ってるのがすごく不気味。

「どしたの?」
「寒い」

「へ?」
「暖を取らせろ。クソ寒い」

あの、ファラさん?
あなた、さっきアイスにむしゃぶりついてませんでしたっけ?

「いくら風呂上りだからって、この寒い日にあんなの食うからだよ」
「わかってないな。冬にアイスがオツなんじゃないか。これぞ贅沢の極み」

「それで俺で暖を取ろうだなんて、どの口が言うんだか」
「俺の趣味だ。文句言うな」


「使徒星の住人たち」シリーズ



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