森の恵みと沢にひたるツアー
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源流fishersのためのropework入門
のようす
ふだんロープなど持たないが、深い山奥に行ってちょっとだけ難しいところを突破するかもしれないとか、大雨やらちょっとしたけが人が出るとかいった緊急事態にも対応できるよう、ロープでの安全確保を練習したいという依頼があり、岩場でトレーニングした。
2010年10月24日(日)
指導方針:ガンガンきびしいところに行くというより、安全のためということで内容を絞った。まずは容易なシチュエーションを念頭に置き、シンプルかつ現実的にした。セルフビレイは必要に応じて取ることとし、いちいち記載していない。
装備 共同で、メインロープ8.0(8.1)mm x 30m(長さは場所に応じて)
個人装備 ハーネス、安全環付きカラビナ、普通のカラビナ、ATC(エイト環)、5mmスリング
各1つずつ。スリングはたすきがけの2倍長。
(スリングは2本あった方がよいが、簡易ハーネス以外ではなくてもできた。1本はテープにすると、まき集めなどによい)
安全環は自動ロックのものがよい

練習内容概略
A.準備 ハーネス装着、支点へのスリングの固定、セルフビレイ
B.登る 一人がなんとか登った後を安全についてゆく
C.懸垂下降
D.その他 他のやり方やら関連技術いろいろ
(lower downをやりたかったができず)
A 準備 ハーネス装着、支点へのスリングの固定、セルフビレイ
タイオフ(ガースヒッチ、カウヒッチ、ひばり結び)

すっぽ抜けない木ならこれでよい
すっぽ抜けそうなど、結び目を動かしたくないとき

タイオフ反転

プルージック
いわし(?)

弱い枝などで力を分散させる
タイオフからひとえ結びを何回か伸ばす
スリングをほどいて木に巻いて結びなおすこともある(長さが足りないとき、残置スリングを節約したいとき)
岩にひっかける

抜けないように注意

岩と岩の隙間なども使える
支点に固定したスリングをハーネスの安全環付きカラビナに入れてセルフビレイにする
B 登る 一人がなんとか登った後を安全についてゆくのを3人パーティ(トップ、セカンド(中間)、ラスト)で説明
基本パターンとして、セカンドはフィックスロープをプルージックで登り、ラストは確保して引き上げる
トップ作業

ロープ末端に作ったエイトノットの輪をハーネスの環付きビナにかけて(以後「ロープをハーネスに付け」と称す)、ロープをひきずって登る

登る前にロープに絡みや結び目がないよう確認するとよい
終了点にスリングを固定し、ビナをかけ、そこにメインロープをインクノットで固定する。後続に、「固定した、登ってよし」と合図する。
(登りルート、確保位置、支点が直線状に並ぶのがよい) 後述のラスト引き上げの写真参照
セカンド作業

「登ります」と声をかけ、プルージックで登る。

メインロープとスリングの相性がある。効きを確認して。
ラストがロープを引いてやるとプルージックで登りやすい
登り切ったら安全なところでプルージックを外す
ラスト引き上げ
トップが余ったロープを引き上げる。
ラスト(ロープをハーネスに付けておく)はロープがなくなったら「いっぱい」と声をかける。
トップはハーネスの環付きビナのATCにロープをセットし「登っていいぞ」と声をかける。

このとき、支点−ATC−登ってくるロープが直線状に並ぶのがよい。

ラストは「登ります」と声をかけて登リ始める。
クライマー(ラスト)と反対側のロープは一時も離してはならない。
写真は左手でロープをたぐりよせながら右手を後に引いているところ。ここで右手をATCのそばに戻すときが要注意。するすると戻せればよいが、その間に墜落したときが不安なので、
いったん左手でロープをつかんで右手をATCの近くに寄せると確実だ。

通常トップはどんどんロープを引き上げる。テンションがかかっていれば墜落してもほとんど衝撃はない。たるんでいるほど衝撃は大きい。
ラストは必要に応じ「もっと引いて」とか「ゆるめて」など声をかける
終了
ラストが安全なところに来たら、「ビレイ解除(サンキューとかごくろうさんでもよい)」
トップはATCからロープを外し、ロープ末端のエイトも外す。支点のビナやスリングを回収する
ラストもロープを外し、ロープをまとめる(セカンドでもよい)。
もう一人がロープの絡みをなくしながら送り出してやるとよい
B' 一人ずつ引き上げてはロープを投げ下ろす
低い段差のときはこの方が早い。特に登るのが難しいとき。
B'' ロープ中間にエイトノットを作ってセカンドを確保。4人以上ならピストン
ロープの半分以下の長さのルートで。泳ぎでもよく使う。
ルート上にブッシュがあったりして投げられないときに使う。
B,B',B''のどれでやるか、トップが登る前にパーティで合意しておくこと
C 懸垂下降 転落が心配ならセルフビレイを取って作業する
C-1 ロープのセット
木(など)にスリング(残置する)を固定する
そこにロープの一端を通し、他端と結ぶ
結び目からロープをまとめてゆき、ロープが真ん中で折り返すようになったら、まとめて投げる
C-2 下降
(下側の手に)手袋をはめる
ATCにロープを通す
体重をかけて効きを確認してから下る

グリップ力とロープの屈曲角度でフリクションを調整する
下側の手は絶対離さないこと 落石注意
下りたらATCを外す 手を離してしゃがんでゆるめてから外すとよい
上に「(次)いいよ」と声をかける
念のため下でロープを持ち、引けるように待機するとよい
C-3 ロープ回収
全員降りたら、末端の結び目をほどき、一端を引く
もう一人がその端からロープをまとめ始める
D その他いろいろ
エイト環とATCはどちらがいい? ほとんど変わらないのでどちらでもよい。ATCの方がじっと持って止めるのにやや楽だ。ATCもエイト環もいろんな形のものがあり、ロープとの相性もある。どれかひとつに習熟するのがよい。
ハーフマスト(イタリアンヒッチ、ムンターノット) ATCなどがない(なくした)とき
懸垂下降も確保もできる

ロープが傷むが、制動力は十分だ
ゲートにロープが触るセットはよくない。ゲートが開くか、固く締まって開かなくなる。

こうならないよう、やり直す。

結構練習したが苦労していた。
簡易ハーネス
腰はスリングを背中側に当て、両側と股下から引き出してカラビナで連結する。長いときはスリングをしばる。
チェストは(写真の場合)スリングを右手に通し、背中を回して左脇から前に出す。これをしばって(シートベント)腰のハーネスとつなぐ。
これで懸垂下降もできるが、少々痛い。
<登り関連>
アッセンダー
アセンションは重いが、ぐいぐいつかんで登れて楽だ

タイブロックは効かない状況もあるので要注意だが、軽くてプルージックよりセットしやすい
支点に確保器をセットする方法もある
支点が完全に信頼できるときはハーネスからでなく支点のカラビナにATCをセットして確保してもよい。
墜落時に確保者に衝撃が来ないので楽だ。

引かれる方向と立ち位置によって、クライマーが墜落したときにATCでの屈曲が少ないと効かないので、注意。
トップの確保 ちょっとだけやってみた
中間支点を取ると、その上で墜落してもそこでロープが引っかかって止まるというわけだが、相当墜落するし、支点も確保も万全というわけでもない。トップは落ちてはいけない。
じゃ、難しいときは?カラ身で登ってザックを引き上げるという方法がある。
荷揚げ(1/2)
上でロープの一端を固定し、荷物(写真では人)に付けたカラビナで折り返して上で引く。
このときは軽くならなかった。
ボルトに直接かけたカラビナを通してロープを引いていたのだが、カラビナが固定されて摩擦が大きくなったのと、その前の岩の摩擦で、1/2効果が出なかったようだ。
適当なところに支点がないと工夫が必要だ。
<懸垂関連> 7mmでもOK
エイト環を落とさずにセットする方法

こうしてからセットする
下から引けば止まる
あと、ロープのまとめ方やハーケン打ちを少々。ロワーダウンやお助け紐、支点なしや肩がらみビレイもやりたかったなあ。