「こんなにわくわくするのは、ほんとうにひさしぶりでな。つれあいも
鍬をふるう力もなくしたけれど、神様は最後にこんなにすばらしいおく
りものを……ウホッ、ウホウホッ……」
パルフォは話しながら、のどの深いところでかわいた重たい咳をしま
した。
シニファンははっとして、すぐさまパルフォのくびすじをさすります。
(このネコはもしかしたら、もう……)
シニファンはいやな予感で、心臓が石のように重くなりました。
「心配しなさるな。だれもがくぐる門だ」
そういって笑ったパルフォじいさんは、それまでのやさしいおじいさ
んではなく、力強いおとなのオスの顔をしています。
シニファンはおどろきました。が、すぐさまパルフォじいさんと同じ
ように力強い笑顔をつくりました。
(パルフォさんはもう、神様への答えをきちんとみつけたんだ)
シニファンにはパルフォじいさんが、ほんのすこしだけうらやましく
思えました。