mori's Page 低周波音・超低周波音
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プラントにおける低周波音・超低周波音の測定(発生機器の特定と確認)
(1)苦情・問題点の確認・把握 苦情発生地点においてどのような問題が起きているかを把握し、問題を起こす周波数とレベルの確認を行う。 周波数分析はオクターブ、1/3オクターブ、1/nオクターブ他にFFT分析があるが、周波数分解能が高いFFTや1/24オ クターブ分析方法が効果的である。図1はコンプレッサが稼働時に民家近くで周波数分析(FFT)を行ったもので、図中 に建具の振動を起こすレベルを示している(小林理研)。本例では20Hzが建具の振動を引き起こしそうである。実際に は民家の建て付けの条件により変わる可能性がある。 図2は同様に低周波音の閾値と1/3オクターブバンド分析結果を比べたものである。この例では殆ど低周波音は感じ られないと思われるが中には特定の周波数に敏感で実験によると通常人より10倍(20dB)も閾値の低い人がいるので 注意を要する。 ![]() プラントから発生する低周波音は線スペクトル成分が多く、発生源も同一周波数のものが1台とは限らない。このような 場合若干の周波数のずれにより、図3に示すようにレベルが干渉により変動し1周期が数10分におよぶことも事もある ので注意を要する。 ![]() ![]() このため民家などでは長時間の測定が望ましい。図4、5はFFTの連続分析結果を表したもので時間的な変動が把握 しやすくなる。 また同一周波数の発生源がある場合、干渉により空間的にするどい指向性が発生する。 ![]() ![]() 図6、7は4基の大型トランスの空間的な指向特性をシミュレーシュン(100Hz)したもので鋭い指向性が生ずることがわ かる。 このような測定を行った後、時間的変動で運転状況の把握(運転・停止などの発生状況の確認)し、どの程度の対策効 果が必要か検討する。 ![]() ![]() 風の影響:低周波音はレベルの低い場所では風の影響が大きいので注意を要する。図8はFFTによる風速別のスペ クトルを測定した例である。低い周波数ほど影響が大きい。 ![]() (2)機器近傍での測定 (問題となりそうな機器そば) 苦情地点での測定が終了し、レベルや周波数などを把握できたら工場内で問題を引き起こしている機器を探すことに なる。闇雲に探すのではなく、民家で把握したデータを元に発生状況などを考慮してあたりをつける事が必要である。 低周波音を発生する機器は主に大型の機器より発生する場合が多い。 発生源と思われる機器が特定できた場合、機器と民家間での距離を測定し、距離減衰カーブの作成を行い、音源の パワーが民家対して影響を与えるレベルか確認する。 最終的には問題と思われる機器を止めて確認したほうが確実である。図9に距離減衰カーブの例を示す。FFT等の周 波数分解能が高いものが理論値と合致しやすい。 ![]() (3)位相差を利用した音源の探査 大きな広い工場で音源を闇雲に探すのは大変で時間もかかる。このような場合2つのマイクロホンでの位相差を利用 して音源の方向を知ることも行われている。(図10参照) 2カ所以上で方向を探知し、交点が音源の位置となる。(図11参照) ![]()
実際に現場で測る場合、風による揺らぎや暗騒音の影響で位相差を測るのは困難であるので、電気的に位相情報の みを取り出し平均化する事が必要となる。図12は2マイクロホンによる音源方向を探知するシステムの例である。図4 は外観写真である。 2本のマイクロホンで方向を探す場合はマイクロホンの位置を動かし位相が0または最大の位置を探さねばならない が、最近はコンピュータにより高度な計算が瞬時で行えるため、3,4本のマイクロホンを使用してマイクロホンは固定 したままで3次元で方向を探知出きるものも発表されている。
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