ノストラダムス予言集 百詩篇補遺第十二巻 |
ノストラダムス予言集の百詩篇第十二巻のテクストの初出は1605年に刊行された版本とされるが、表扉に使われた図版や出版者の記載もないことから年代を偽った偽版の可能性がある。ノストラダムスの死から2年後の1568年に出版された予言集完全版とされるブノワ・リゴー版には載っていない。それから26年も経たのち1594年のジャン・エメ・ド・シャヴィニーの著作『フランスのヤヌス第一の顔』で、わずか11編が収録されているのみだ。十二巻の四行詩のナンバーは連番ではなく、4番から71番までバラバラに配置されている。これが本物であるとすれば、少なくとも71篇の十二巻の四行詩の自筆原稿が存在していたはずだ。もちろん予言者がまず四行詩を書いてその後で番号を付した可能性も考えられるため、はじめから書いていなかったともいえるだろう。いずれにしても11篇の四行詩が本当にノストラダムスの作品であるかどうか専門家の中でも議論が分かれている。エドガー・レオニは恐らく本物であろうとコメントしているが、高田勇は、『ノストラダムスとルネサンス』の中でシャヴィニーが付け加えた四行詩の信憑性は論外と一蹴している。この11篇はその後の予言集に組み込まれて以来、ノストラダムスのテクストとして受容され今日に至っている。 |
4 | Feu, flamme, faim, furt, farouche, fumee Fera faillir, froissant fort, foy faucher : Fils de Dente. toute Prouence humee. Chasse de regne, enrage sans cracher. |
火 炎 飢え 盗み 野のけむり 信仰を変えるために激しい打撃で失敗し 神の子よ! 全地方をのみくだし 王国から追われ カギにひっかけずに激怒して (大乗和子 訳) |
24 | Le grand secours venu de la Guenne, S'arrestera tout aupres de Poictiers. Lyon rendu par Mont Luel & Vienne, Et saccagez par tout gens de mestiers. |
ギュイエンヌ地方から来る大救援が ポワチエの間近で止まるだろう。 すべての職業軍人に荒らされる モンリュエルとヴィエンヌを経てリヨンに行くだろう (高田勇 訳) |
36 | Assault farouche en Cypre se prepare, La lamre a l'?il, de ta ruine proche : Byzance classe, Morisque si grand tare, Deux differents, le grand vast par la roche. |
キプロス島に猛攻が加えられる 間もなく絶滅するものたちを思い 私は涙する トルコと北アフリカの艦隊は 大きな損失を強いられる 両艦隊とともに 自ら岩に乗りあげる (中山善之 訳) |
52 | Deux corps, vn chef. chaps diuisez en deux, Et puis respondre a quatre ouys, Petits pour Grands. a pertuis mal pour eux. Tour d'Aigues foudre, pire pour Eussouis. |
二つの胴体、一つの頭 場所は二つに分かれる、そして四つが一対になる 小さいの対大きいの、穴は彼らにはよくない エーグの塔はイナズマに打たれ、ユーフォビにとってはより悪い (五島勉 訳) |
55 | Tristes conseils deslovaux, caoteleux, Aduis meschant, la Loy sera trahie. Le peuple esmeu, farouche, querelleux : Tant bourg que ville. toute la paix haye. |
悲しい忠告 不信と悪 悪い忠告により法はうらぎられ 人々は動かされ 残忍な騒動が いなかでも都市でもその場所はひどくきらわれる (大乗和子 訳) |
56 | Roy contre Roy & le Duc contre Prince, Haine entre iceux, dissension horrible. Rage & fureur sera toute prouince : France grande guerre & changement terrible. |
王が王に、公爵が王子に対抗し、 彼らの間に憎悪と恐るべき不和。 狂躁と狂熱が全地方をおおう。 フランスでは大戦と恐るべき変化。 (高田勇 訳) |
59 | L'accord & pache sera du tout rompue : Les amitiez pollues par discorde. L'haine enuieillie, toute foy corrompue, Et l'esperance. Marseille sans concorde. |
調和と約束はすべて破られ 友情は分裂によりけがれ にくしみはいつまでも すべての信頼はこわれ 希望は一致せずマルセイユに (大乗和子 訳) |
62 | Guerres, debats, a Blois guerre & tumulte, Diuers aguets, adueux inopinables. Entrer dedans Chasteau Trompette, insulte. Chasteau du Ha, qui en seront coulpables. |
戦争と口論 戦いと騒ぎがブロワで 数人が期待できない知識をもって かれらはトロンペット城に入って虐待し ハーの城のなかへいき だれがせめられるべきだろうか (大乗和子 訳) |
65 | A tenir fort par fureur contraindra, Tout c?ur trembler. Langon aduet terrible Le cuop de pied mille pieds se rendra, Guirond. Garon. ne furent plus horribles |
彼はその狂気によってあらゆる人びとを敵にまわし、 震えあがらせるだろう。ランゴンで恐ろしいことが起こり、 遠くまで荒れ狂うだろう。 ジロンド河とガロンヌ河のほとりにこれほど恐ろしい出来事はないだろう。 (高田勇 訳) |
69 | Eiovas proche, esloigner lac Leman : Fort grands apprests, retour, confusion. Loin des nepueux, du feu grand Supelman, Tous de leur suyte. |
サヴォワ地方とレマン湖付近から離れねばならぬ。 きわめて大がかりな準備がなされ、混乱をよびもどすだろう。 孫たちからも、レマン湖畔の火からも遠ざかねばならぬ。 万人がそこから脱れる。 (高田勇 訳) |
71 | Fleuues, riuieres de mal seront obstacles. La vieille flame d'ire non appaisee, Courir en France. cecy comme d'oracles : Maisons, manoirs, palais, secte rasee. |
大河と小川は悪をせきとめ ふるい怒りの炎はまだあらわれず フランスを通ってはしり 予言としてうけいれ 家 領地 宮殿 派閥はくずれるだろう (大乗和子 訳) |
このページの最終更新日は 2004/06/26 です。 |
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