【黄昏】
オレンジ色の光が眩しい
暖かくて
淋しくて
哀しくて、背を向けた
明かりを点けない部屋に夕陽が影を落としていた
風の音すらも聞こえない
怖いほど続く無機質な静寂……
影は一層深くなった
くっきりと
鮮やかに――
紫紺の闇が静かにやってきた
ゆっくりと
確実に
全てを覆い尽くしていった
急に部屋が明るくなった
「わっ!」
聴き慣れた声
「・・・うん? ・・・ああ、お帰り」
「和葉、おまえ何しとるんや?」
「・・・ん、平次が帰って来るの、待ってたん」
ぼんやりとまどろんだ瞳
うっすらと浮かんだ淡いもの
「・・・ほんなら明かりくらい点けて待っとれや」
ぽん、と頭の上に置かれた大きな手
―――――――――――ほんわか、心が温かくなった。
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