平成11年・12月議会より

ユーミン記念館と八王子TMO設立に向けて

1999年12月3日


いよいよクリスマス・イブまであと21日。独身女子としては勝負の月。
女性のファッションも街並みも、一年のうちで最も華やぐ季節。
1999年。ミレニアム。

 さて、この商戦華やぐ時期、八王子の商店はどれぐらいの活気、そして売り上げを出せるのでしょうか?
 中心市街地活性化法。TMO設立に向けて。補助金獲得の「戦術」としてはなく。

 東京都の3人に一人は多摩地域在住。その多摩地域の中でも「多摩の心」に位置づけられている八王子。
 その八王子の商店が実のあるものとして輝いてほしい。商店主も商工会議所も、行政も、他に責任を押しつける事なく、一体となって我が街八王子を盛りあげていこうよ。という主旨の質問。
 第一回目の今日は『ユーミン記念館と八王子TMO設立に向けて』。

 今回も半月ほど前から、質問タイトルと主旨をホームページでご意見の募集を募って参りました。
 いつものように、Eメールで頂いたご意見を披露しながらという、立体的な質問構成ですすめて参ります。


 私が唯一ロマンを感じる、歴史上の人物、土方歳三。捻挫・打ち身に効果あり、今も多摩川の河原で取れる牛喀草をホシて作る『石田散薬』それをを籠にしょい、彼が生まれた日野市石田から、行商に来たのが八王子の宿場街。1850年代。歳三が八王子の多くのお嬢さんたちと浮き名を流したという話も、司馬遼の『燃えよ剣』に克明に描かれており、うらやましい限りです。
 その後、みなさんご承知の通り、八王子は、織物の街、商工業の街、ニュータウン、学園都市というわずか100年の間に、時代によって顔を変えることのできた街です。
 歳三が剣術で胸を借りに通った『比留間道場』。所在は千人町。歳三が函館で戦死した 、97年後。わたしはその千人町で生まれました。世が世なら千人町のオヒイと言われたいところですが。お菓子屋と化粧品屋に育ったごく庶民の町娘です。

 当時はニュータウン元年。織物の街八王子ならではの言葉。がちゃっとやれば万もうかる「ガチャマン」や「お仕着せ」という言葉も色あせ。八王子の古き良き時代の旦那衆。ブイブイと肩で風を切ることができなくなったのが、この昭和40年代。
 女性の欠くことのできない永遠の消費欲求。物欲。幼い頃連れられ行く。都心部の日本橋三越や銀座イトー屋も夢のような場所。しかし八王子大丸4階のキティちゃん売り場。八王子伊勢丹でかううっとりするような便せん。緑屋で買う色鉛筆。駅前に出来たばかりの丸井最上階の食堂で食べるグラタン。風林火山のしゃぶしゃぶ。
 高度成長期の終焉、都下八王子の中心街はまだ輝いていました。
 日本、八王子は成熟社会に突入しました。八王子が時代により顔を変えてきたように、世界各国、時代により儲かる商売と、儲からない商売。栄枯盛衰を繰り返してきました。
 日本の生産力がまだまだ低かった時代。生活必需品を生産する企業が儲かりました。戦後の配給当時は石炭と繊維。木綿や絹に代わり、ナイロン、ポリエステルの時代がすぐにやって来ました。高度成長期には家電製品、マイカー。最近の優良株を思えば分かるように、パソコンや携帯電話。新機種が出る度に飛ぶように売れるという、情報化時代が始まったばかりです。


 それなのになぜものが売れないと言われているのでしょうか?
 ごはんが食べられなくなったわけでもない、戦争で生命を失うわけでもないのに。市場は重苦しい雰囲気に包まれています。なぜものが売れないのか?なぜ中心地の商店街が斜陽なのか?
 マイカー反乱で、モータリゼーションの進展。大型店の進出。これは、頭脳明晰、清廉潔白の、役人のみなさんの考え。確かに間違いではありません。
 しかし裏事情は派手にCMや広告を打っている大型店も、ライバル店との競争、競争で、価格割れし利益が少なくアップアップしているのが実状です。
 そして、ここがポイントなんです。不況の中には、消費を控えたために起こった不況と、ものを買う気を起こさなくなった不況があります。
 前者は景気が回復すれば自然と消費欲も出てくるものですが。今の稀有な市場の雰囲気は、後者。よほど社会に大きな変化がない限り定着する冷え込みです。
 経済成長が右肩上りの昭和35年から、64年。市民のみなさんの所得は、ものを買うために向けられてきました。平成不況。物がありあまる世の中となり、お金があったとしてもものを買わない人が増えました。ものを買わなくとも生活に支障をきたさなくなりました。これこそが成熟社会、日本、八王子の21世紀の問題なのです。
 成熟時代になると、市民のお金を使う優先順位が変わってきます。もの離れが激しくなる中、物を売るより、楽しみや喜びを売るエンターテーメントの方にお金を払う人が増えました。

 土方歳三が売り歩いた石田散薬も昭和の薬事法で、効果なしという烙印をおされ廃業。時代変遷により常に商売は変わります。伝統が邪魔していい意味でも、悪い意味でも変わらないのが中心市街地の商店街。物を売る時代はとりあえず一区切りついてしまったのです。
 しかし不況だからといって、どこも嘆いているわけではありません。「勝ち組」「負け組」とはっきり分かれています。女性、子供、家庭の消費欲はとどまることを知りません。
 今座ってらっしゃる、部長さんくらいの年齢になりますと。物はもういい、健康や安定を欲しがっているのではないでしょうか。それよりもお嬢さんやご子息夫婦、お孫さんなどにお金がかかっているのでしょうか。
 50代、60代が、一件自立しているかのように見える30代、20代の夫婦の面倒を見ているの言うのが現実なのです。

 年間の海外旅行者が1500万人を超えています。世のお父さんたちが抱えるように買ってきたレミーマルタンも、円高と価格破壊の酒屋の影響で今では空港では見かけない代物。
 DFSで、シャネルの口紅やエルメスのスカーフを買いあさっていた女子も。DFSでは満足出来ず、パリのカンボス通りのシャネル。ロスのロデオドライブのエルメスじゃないとと、ワンランク上の消費につっ走っています。


 時代の流れを肌で感じた上で、TMO中心市街地活性化法も、取り組んでいかなければなりません。
 バブル崩壊後、ふと気がつくと八王子には大小さまざまなお店が軒を連ねています。もう八王子には何々の店がないから単純に誘致すればよい、という高度成長期の意識ではなく、一つ一つの店をじっくりと育てる時代にきているのです。
 ここでメル友の御殿場市役所にお勤めのYさんからのメール。

 行政関係者として、TMO方式おそるべしと思っています。うちの市の近くの三島市にTMOと近いと思われる方式を導入している自治体があるのですが。建設に1千万円はかかるであろう公園を5〜600万であげてしまったり、管理委託に150万円くらいかかりそうなのに、タダでまかなえたりとか。
 今我々がやっていることは何?ということが現実起こっています。単に金銭問題だけでなく、市民も行政も満足し、企業も「地元貢献」をわかりやすい形でできてよかったと喜んでいるようです。

 TMO構想全体の中での市の役割についておたづねします。 まず、イニシアチブをとる立場に位置づけられている市のTMO全体の中での役割を明らかにしてください。
 そして、市はTMOが最終的にどこまでの機能を持つことを想定しているのでしょうか。企画・調整のみなのか、それとも事業にまでかかわり、採算をあげることまで期待しているのでしょうか。
 企画・調整機能だけにとどまるとすれば、補助金を貰うだけの「戦術」で終る可能性も高いと思います。
 また、事業性・採算性まで考え、商店街に小判の雨を降らせようと思うなら、商店主はもちろん市もそれなりのリスクを背負わなければなりません。八王子の商店街の将来を見据え、どちらが適切であると考えているのでしょうか。
 TMOの主体として、今のところ商工会議所と、第三セクターの街づくり会社が候補として考えられているようですが。それぞれの問題点は?
 そして第三セクター会社、設立の場合の可能性および条件をお答えください。
 八王子市の基本計画には、市の役割のひとつとして、地元が主体となるTMOへの参画及び支援と書いてあります。まちづくり会社設立に向けて市はどのように参画し、また第三セクター会社設立の場合、具体的に何%くらいの出資を考えているのでしょうか。
 以上はTMO構想委員会の副委員長であられる、柳瀬助役の方からお答えいただきたいと思います。


 違った角度からの質問です。今度発足する、TMO構想策定委員会委員名簿には、女性らしき人の名前は3名ほどしかいません。先ほども触れたように、消費のカギは女性が握っています。もう少し女性の感性を積極的に取り入れてもいいのではないでしょうか。
 市の立場では、そのへんはどうお考えですか。

 そしてもう一問。
 TMOは、44ある八王子商店街の代表でもある中心商店街の将来がかかっている大掛かりな計画です。従来の所管で対応するのではなく、新しくプロジェクトチームを組んでみてもいいのではないでしょうか。役所の職員には八王子に強い愛着や誇りを持っている人ももちろん多いと思います。そういう人を抜擢してチームを組めれば、TMOに向けての能率も上がるのではないでしょうか。また、そういったことで、役所のTMOに対する情熱を、市民にもアピールできるのではないでしょうか。
 今や小学生のなりたい夢の職業第一位。イチロー選手でもなく、中田選手でもなく、ここにいる皆さん役人なんです。
 人生の安定を求めることでなく、大きな志を持って、自分の手で某かでもこの街をよくしようと職員になったはずです。夢のあるTMO構想。ぜひオレが、アタシが、やってみたいという職員をピックアップするのも一つの手だと思いますがいかがでしょうか。

 若い世代の八王子を愛する商店主のみなさんは、TMO構想に燃えています。
 その意思を組んで、イニシアチブをとる市も、これはあくまでも民間主体の話といわず本腰を入れてやっていただきたいです。TMO構想は、市、商工会議所、商店主と、三位一体とならないといけないのです。お互いどこまでミゼニをきるかという、腹の探り合いでは結局うまく行かない可能性が大です。市がどのくらい金銭面でかかわるかによって、国からの補助も違うようです。
 市の先手の決意表明も必要なのではないでしょうか。
 人が街に増えると、風紀が乱れる、ゴミが増えるなどと、新たに成熟した悩みが生まれます。八王子放射線の夜の悩みは、渋谷センター街の悩みと同じ。成熟社会の悩みなのです。
 しかし商店街というのは、人が集まってナンボ。八王子は成熟社会の悩みをのりこえ、解決していかなければなりません。人が集まるところに文化は生まれていくのです。

経済部長 長崎幸夫

 最初の質問について、助役の答弁を求められておりますけれども、いくつか私の方から先に御答弁させていただきます。
 まず、TMOの役割でございますが、法的な役割といたしましては、TMO構想の認定があります。これはTMOが具体的にどのような機関で、どのようなプロジェクトに取り組んでいくか。TMOとなろうとする機関が策定するTMO構想に盛り込まれる必要があり、これを市が認定することによって決定されるわけでございます。
 次に、市の策定については、活性化基本計画に掲げる時期を具体的に実施するTMO組織の早期設立に対する支援が考えられます。
 また、TMOの機能は何を想定しているのかということでございますが、TMOの役割といたしましては、さまざまな主体が参加する街の運営を横断的、総合的に調整し、またプロデュースすることといわれております。みずからが事業主になることも当然想定されております。
 市の活性化基本計画におけるTMOの位置づけといたしましては、商業活動等の活性化のための事業主体、実施主体としての役割も担っているところでございます。
 また、TMOの主体としての商工会議所、第三セクターがということでございますが、TMOになろうとするものとしては、商工会議所、第三セクターの特定会社などが想定されておりますが、いずれの場合にも地元の商業者のコンセンサスの形成が、運用資金、事業資金、事業効果の確保、またTMOにかかわるタウンマネージャーの確保、育成など重要になってきているところでございます。現在、会議所におきましてTMO構想策定委員の発足を見たところでございますが、今後商工会議所が主体となって、御質問者のおっしゃる内容について具体的に討論していきたいと、そのように考えています。
 また、TMOの主体となる商店主、商店会の役割でございますが、市の考え方といたしましては、商業の活性化という観点からも、女性の感性やご意見を取り入れることは大切なことと考えております。こうした意見につきましては、再三市の考えとして意見を申し上げた経緯はございます。今後、TMO構想策定委員の委員選定についても、八王子商工会議所がそういう点を十分考慮されて選定されたと考えていますが、作業部会のこ今後そういった組織もできるようですので、そういった中にも女性の参画を促すように進言していきたいと、そのように考えております。
 それと、TMOの推進に向けて新しいプロジェクトチームの考え方はないかということでございますが、TMOはエリア内の商業活動の高度化、活性化することが目的でございます。具体的な事業といたしまして、地元のコンセンサスの形成など、地元の商業等に精通していることが重要なことと考えております。市といたしましても、必要に応じて関連書間を交えた対応でこのTMOに協力していきたいと、そのように考えているところでございます。

助役 柳瀬幸雄

 中心市街地の活性化の問題で御質問いただきました。昨年、中心市街地の活性化基本計画を策定いたしたわけでございますが、東京大学の太田先生を会長といたしまして、多くの市民の方にも参画をさせていただきました。ほとんどが住民の代表、あるいは地元の大学生も入っておりますけれども、多くの皆さんにご協力をいただきまして計画が出来たわけでございますけれども、私どもやはり、いきいきゆめ街道という考え方で、あの中心市街地を何とか活性化させたい。そういうことで、いわゆる伝統、歴史のある甲州街道、かつては宿場まちとして大変栄えたわけでございます。何とかそれを取り戻そうということでその計画をさせていただいたわけでございますけれども、そこで、この計画の中で一番議論になりましたのは、今御質問ございましたように、TMOの議論でございました。そのTMOのいわゆる立て方でございますけれども、これはやはり中心市街地活性化法の趣旨にもありますように、やはり商業者自ら、あるいは地元自らが主体的にこの推進をしていこう。そういうのが法律の趣旨でもございます。しかしながら、わたしどもやはり市といたしましてはこれを積極的に支援していく必要があるということでございまして、先ほど部長からも経過の説明がございましたが、商工会議所を中心にいたしましてTMO構想策定委員会、そういうものも組成をされております。そして、TMOの構想につきましてもかなり具体的な議論をさせていただいておりますが、これが出来ますと、いわゆる認定行為といたしまして、私ども認定をいたしまして、その具体的な支援に乗り出すということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、その辺の推移を見ながら積極的な支援も必要かと考えております。
 また、出資の問題もございましたけれども、この支援の内容につきましては、今申し上げたように、TMOの規模あるいは構成等、そういった議論が明確になった段階でさらにまた検討させていただきたいというふうに考えておるところでございます。そして、庁内のプロジェクトチームの話もございましたが、そういった経緯を見ながら私ども積極的な体制を組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。