八王子市議会『平成9年度第1回定例会』にて

〜アタシの質問と市からの答弁です〜

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アタシのQ1

 通告に従いまして、一般質問を始めます。
 テーマは、TBSドラマ「メロディ」にみた、これからの八王子テレメディアです。
 このテーマの質問がきょう、ちょうどタイムリーでした。きのうの夕方のニュース、TBSテレビ「ニュースの森」にて八王子テレメディアが取り上げられました。「シリーズ、行政不信」の第8回として、首都圏の自治体が赤字会社を支援して、そのツケ回り回って市民の負担になるケースとして八王子が取り上げられました。見通しの甘さで40億円の累積赤字、本市からは5億円の無利子融資、11億円の債務保証、共産党の山口議員のテレメディアについて質問している姿やインタビューも放送されました。
 確かに、きのう放送されたことは紛れもない事実です。第三セクターのケーブルテレビ局が抱える問題として重要視しなくてはいけないことだと認識しております。
 しかし、きのうの「ニュースの森」の取り上げ方は、本当にがっくりきてしまいました。わずか5分足らずのコーナーでしたので、とにかく悪いことだけしかクローズアップされてなく、メディアに対する見方が一方的なんですね。あれだけ見ていたら、だれも加入しなくなってしまうような放送でした。私としては、もっとCATVの価値を見出してくれるような、市民のインタビューなども入れて、明るい材料も取り込んでほしかったというのが率直な感想です。

 私の今回の八王子テレメディアに対する質問は、これから確実にやって来るケーブルテレビの新時代を予測し、否定的な意見の多い八王子テレメディアに対するネガティブ・キャンペーンの終結を布告します。議員になる前からもテレメディアのヘビーユーザーである私は、地道ながらも、どうにかして再建、存続してほしい、一緒に考えていきたい、どうにか盛り上げていきたい、言葉は悪いですが、ぐれた息子が大人になって孝行息子になるような成長を遂げるという希望を持ち、批判関係は一切共産党さんにお任せして、私なりのポジティブ・シンキングで考えていきたいと思っておおります。
 同じTBSで明るい材料と言えば、日曜日の夜9時、今、多くの市民の間で評判なのがスピッツの「スカーレット」という曲で始まるTBSテレビ日曜劇場の「メロディ」でございます。ドラマ「メロディ」は八王子のケーブルテレビ局を舞台にしたドラマです。設定としましても、八王子の赤字テレビ局、リバーサイドテレビで働く人々を中心に、恋のバトルあり、涙ありのさまざまな人間模様が展開します。ロケーションもすべて八王子、オープニングテーマとともに毎回流される映像は、八王子のイチョウ並木、多摩御陵、浅川、ドラマの中では八王子駅前、放射線通り、八日市町商店街、ニューグランドホテル、八王子プラザホテル、大和田橋、多賀神社、いちょうホールなどなどです。南大沢文化会館に至りましては、市のお偉方がケーブルテレビの加入者をふやすイベントのため無料で貸してくれたという設定で登場します。メインキャスト、小泉今日子扮する原サチコ、八王子出身でケーブルテレビ局リバーサイドテレビに勤務、その主人公に「青い空がきれいな八王子、このまちが大好きなの。ずっとここにいたい」とたびたび言わせる、まるで提供八王子市というスポンサーテロップが流れるのではないかというぐらいの八王子の宣伝のような、ありがたいドラマです。
 なぜ八王子が、「メロディ」の製作スタッフに聞いてみました。東京近郊で小さなテレビ局をいろいろ調査したところ、白羽の矢が立ったところが八王子テレメディアだったということです。赤字にもかかわらず、明るいCATVの未来を信じて働いている会社と感じたからです。「メロディ」のスタッフも、やっぱりケーブルテレビっていいですよねとたびたび言っていたのが印象的でした。
 日本全国においても、ケーブルテレビにこれまので放送とは違った魅力を感じている生活者、視聴者がふえています。実際、全国的にですが、ここ数年、CATVの加入世帯が急増しています。長い間、採算がとれずに赤字経営を続け、首が回らなくなったCATV局も、ここに来て積極的に設備投資に踏み切るなど、ようやく活気づいています。情報通信産業の規制緩和が進んできたという背景もありますが、八王子を含む都市型CATVの加入世帯は、1996年では300万世帯を突破しました。96年よりも5年さかのぼった91年では、加入世帯数はわずか40万世帯、この数字の変化を比べても、長い間、低迷してきた日本のCATVが今、大きく変わろうとしています。

 そして、みずからも一家に2回線、テレメディアの加入者であり、時間があれば、ひねもすケーブルテレビのリモコンをぷちぷちと回し、CATVの魅力を完全に把握しているものとして、1人でも多くの市民の皆様にケーブルテレビの価値を知ってもらいたいと心より思っております。

 CATV先進国アメリカでケーブルテレビが始まったのは、第二次世界大戦後の1948年ごろといわれています。戦後のアメリカでは、ABC、CBS、NBC、の三大ネットワークが放送メディアを仕切っていました。しかし、日本の26倍の広さを持つアメリカでは、三大ネットワークでは全土をカバーしきれなく、テレビ放送が届かない地区がふえました。そして難視聴地域の増加、それらをカバーする形でCATVが登場しました。現在、アメリカでは、CATV加入世帯数は、6,500万世帯で、普及率は実に65%、CATVこそがテレビという感覚が多くの人々に浸透している現実です。衛生放送やCS放送などで競争も大変厳しくなっておりますが、CATVはいまだ根強く愛されております。
 私の初めてのケーブルテレビとの出会いは、もう随分と昔になりますが、ロサンゼルスの友人宅です。生まれて初めて見たもので、30以上あるチャンネルにも驚きましたが、チャンネル一つ一つが実にマニアックで、例えば朝から晩までテレビショッピングだけを流すチャンネル、一つの商品に1時間以上もかけてあらゆる角度から説明していく。しかも、商品紹介の最中、電話で買うと、申し込んできた人の人数が表示され、買う人数がふえる率に比例して値段が下がっていくという番組にも、当時は大変驚きました。当時、ケーブルテレビはアメリカだけのものと思っておりましたが、日本でも、あれよあれよという、わずか10年ばかりの間にあちらこちらで見ることができるようになりました。
 日本のCATVに話しを戻しますが、八王子テレメディアだけでなく、全体的に何となく地味だったケーブルテレビが、ここ数年、注目を集め始めました。理由は単純です。CATVの番組内容がおもしろくなってきてからです。最低でも十数チャンネルという多チャンネルサービスをしているので、自分の好み、感性、知識や思想に合った番組をチョイスできるわけです。スペースシャワーTVというチャンネルは24時間ノンストップで世界中の音楽シーンを体験といううたい文句にした音楽専門番組です。今、大変音楽好きの若者の間で人気がありまして、例えば六本木の交差点の誠志堂という本屋さんの前の大きな電光掲示板やWAVEという大型CD店などでも、常時スペースシャワーTVがオンエアされていまして、その前には人だかりができております。これもケーブルテレビに加入すれば自宅で見ることのできる番組です。
 個人的に加入者でよかったと思えるのは、これから開幕するプロ野球です。例えば、日本テレビで放送されている巨人戦を見ています。延長に次ぐ延長、ツーアウト満塁、バッターボックス、3番松井などというクライマックスに、大変申しわけございません、放送時間、あと残り15秒となりました。このまま失礼しますというアナウンサーの無情な声、今までこれで幾度も悔しい思いをしましたが、昨年から八王子テレメディアで日本テレビケーブルニュースを導入したため、速やかにチャンネルを58番に変えれば、チョーさんの笑顔に再び出会えるというわけです。
 数年前に比べましても、テレメディアの番組内容が格段に充実してきました。
 そこで、第1回目の質問としまして、テレメディアの経営の現状を整理するための四つの質問をいたします。
 第1に、7年度末の契約数は、電波障害の世帯を抜いた数のベーシック加入者がおよそ8,000件でありますが、最新件数は幾つになったのでしょうか。加入可能世帯数に対する加入者の割合をパーセンテージでお示しください。それらを当初の計画と比較しては、どうでしょうか。
 2番目に、8年度、具体的にどのような営業をしてきたのでしょうか。
 3番目は、8年度に単年度黒字が出せるというお話でしたが、状況はいかがでしょうか。
 4番目に、間もなく、まちびらきとなります八王子ニュータウンみなみ野シティのCATV事業はどうなっているのでしょうか。
 この4点についてお聞かせください。
 1回目の質問を終わります。

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市のA1

 まず、第1点目の加入契約数でございますけれども、9年の1月末現在では約9,400世帯を超えておりまして、現在のエリア内の視聴可能世帯数から見ますと約11%という状況でございます。
 第2点目の具体的な営業方法でございますが、一つは、平成7年度に再構築しました代理店制度の効果が徐々にあらわれてきておりまして、現在も担当者を張りつけて、その強化に努めております。それから次に、季節ごとにキャンペーンを張っておりますけれども、その際には新聞折り込みとか、またはチラシ、街頭宣伝を行っている状況でございます。また、電波障害や集合住宅で既にケーブルが引かれている家庭でのベーシック化、すなわちモアチャンネル契約の獲得を重点的に進めておりまして、パンフレットの投げ込みと戸別訪問を行っております。このほか、毎月1回には、営業社員だけではなくて、役員も含めた全社員での戸別営業訪問を行っているという状況でございます。
 3点目の8年度の単年度黒字化の見通しでございますが、現在の状況としましては、当初計画以上の黒字が出せるというふうに予測をしております。
 第4点目のみなみ野シティのCATV事業の運営でございますが、この地域は住宅・都市整備公団が首都圏ケーブルメディアという財団を設立しまして、施設を順次、全域に構築しております。電波につきましては、八王子テレメディアから光ファイバーで送信することになっております。そしてNHKの衛生放送までの基本的な部分につきましては首都圏ケーブルメディアが、されにまた15チャンネル以降のモアチャンネル部分を八王子テレメディアが契約をし、電波送信料や施設利用料をそれぞれ負担し合うというような形になっております。また、そのほか維持管理や料金徴収につきましては、八王子テレメディアがこれを受託して代行するという契約になっているところでございます。

アタシのQ2

 1回目の質問は、八王子テレメディアの経営の現状について4項目、質問をしました。
 先日、加入世帯数が非常に多い山梨県は甲府のケーブルテレビ、民間会社ですが、株式会社日本ネットワークサービス、NNSに行ってお話を伺ってまいりました。現在、加入世帯数は12万3,000軒、率は80%の域に達しました。もちろん、私たちの地域条件とは違い、ケーブルテレビに入らないと、NHK以外に映るキー局はフジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京だけという大変加入しやすい条件ではございます。そのほかの加入動機で、雷が落ちやすい環境ですので、多くの住民が警戒し、アンテナを外してケーブルにしたという事情もあります。しかし、80%というのは、営業に力を入れている努力のあらわれでございます。営業方針としましては、例えば電気屋さんなどに加入営業などを頼まず、28人の営業担当で1人が1日1軒以上は必ず加入者をとってくるというポリシー。
 昨年、開局したばかりの日野ケーブルテレビにも先日、お邪魔してまいりました。ほやほやの局ですが、加入世帯数3,700軒と着実に数字を伸ばしているようです。
 NNSの局長さんのお話によりますt,電波障害を除いて加入可能世帯に対する加入世帯数を常にパーセンテージで把握すること、まずは目標15%というのが一つの目安だと言っておりました。
 やはりケーブルテレビの極論は、もう加入者の増加しかないんですね。
 ドラマの「メロディ」ですが、こちらも八王子テレメディアをモデルにしているだけあって、経営難のために、親会社から3月までに契約世帯数5,000軒増を達しないと自主制作番組を打ち切られるという設定です。たびたび出てくるシーンが、ケーブルテレビ加入のための営業活動です。実際にキョンキョンなどがそごうの駅前でビラを配ったり、八日町の商店街を1軒1軒戸別訪問する。ドラマの方では、次回、今度の日曜日の最終回までに、目標達成まであと90軒。どうなるかというところでございます。他社の営業方法など、よい点を模倣するような方法はしているのでしょうか。
 デジタル、多チャンネルの時代を迎えて、さまざまな番組をテレメディアで見ることができるようになりました。やはり、その中でもケーブルテレビが売り物にしていかなくてはならないのが地域情報番組、シティチャンネルです。
 甲府のNNSでは、シティチャンネルのスポンサー収入が1億6,000万円、なかでも高校野球だけで2,500万円のスポンサー収入、これこそ完全な地域密着型で、母校が高校野球に出るから協力してくれというようなのがOBに口コミで広まり、だんだんとスポンサーが集まるようになったというお話です。高校野球に関しては、一番最初の予選からオンエアしていきますので、1回戦で終わってしまった選手も自分のプレーぶりをテレビで見ることができます。しかも、デーゲームの生放送を夜、また再放送するという方式をとっていますので、選手たちも家に帰ってからゆっくり自分のプレーを見ることができると好評なのだそうです。
 八王子テレメディアとしましても、ケーブルテレビなりのスポンサー獲得法というのがあると思います。地域の商店等のCMも、住民にとっては情報の一部であります。地域のスポンサーに対する取り組み方や考え方を教えてください。
 そこで、そう遠くない将来、CATVに対する価値観がドラマチックに変わるという重大事件が起きる予感がただよっています。CATVでインターネット接続サービスが受けられるという朗報です。インターネットやパソコンが生活の一部になっている多くのネットワーカーの間で、最大の悩みは回線料の高さです。世界の中でも日本の通信費の高さは尋常ではありません。企業も生活者も、どうにか日本の通信費を安くできないかと知恵を絞っているところでございます。
 私は、インターネットでネットサーフィンというようなことは、ほとんどしないのですが、それでも回線料が月2万円3万円という状況です。マウスの思うままネットサーフィンをしていたら、送られてきた請求書を見てびっくりという話も至るところで聞いております。
 CATVを使ったインターネットの利点は安いということだけではありません。インターネットの操作をしている方ならおわかりでしょう。実につながるのが遅いんですね。それがCATVの回線になりますと、接続速度が28.8キロビット、現状から比べてみると超高速通信となります。そんな夢のようなことが起こり得るのでしょうか。
 既に先陣を切ったのが武蔵野三鷹ケーブルテレビ、パークシティでございます。パークシティは、長嶋監督でお馴染みのセコムがメインで出資している第三セクターでございます。日本で本格的インターネットサービスは、この武蔵野三鷹パークシティが初めてということでございます。CATVを使うと、4時間まで月額1,860円という信じられないような低コストなわけです。武蔵野市と三鷹市に住むインターネットのヘビーユーザーは、通信料金を心配することなくネットサーフィンを楽しんでいるといううらやましい話です。これからは、インターネットをするならば、双方向、都市型CATVに限るというのが多くのパソコンユーザの声です。何と独身者や学生など独り身で簡単に引っ越しができるユーザーは、わざわざこの地域に移り住むという動きも出ています。
 本当に八王子もこれなんですね。学園都市八王子、この春からも多くの学生が日本全国から集まってきます。ひとり暮らしが始まり、実家から持ってくるものの中にもパソコンが加わるようになってきました。パソコン通信をする学生にとって、月々のやり繰りは非常に辛いものとなります。そこでうれしいのがCATVとなるわけです。回線料は安くなる、数多くのチャンネルを楽しめるという、ひと粒で二度おいしいという利点です。これこそが、ぐれた息子が孝行息子に変身するという一つのきっかけなのではないでしょうか。八王子こそ、このようなサービスが求められていると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 最後に、これからのCATVへの全体的取り組みの方針を市長にお伺いして、私の一般質問を終了します。ありがとうございました。

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市のA2

 第1点目の他社の営業方法等の問題でございますが、地域の特性のようなものもございますので、必ずしも同じようにできるとは限りませんけれども、営業部門とか制作部門別に多摩地区の研究会も定期的に開催されております。そういう中で互いに情報交換をしながら、採用できるものについては極力取り入れて、また実施をしているという状況でございます。
 それから2点目のCMの関係でございますけれども、地域の商店コマーシャルというのは、これは地域情報の一部だというふうに考えております。そういう意味あいも含めまして、高校野球であるとか、八王子まつりの生中継では、地域の商店からもテロップコマーシャルというようなものもいただいておりますし、現状では、徐々にいろいろな企業がCATVを使ったコマーシャルというようなことにも興味を持って相談に来られる会社なども出てきておりまして、できる限り私の方でも採用させていただいているという状況でございます。
 ただ、CMの効果ということにつきましては、まだまだ視聴世帯が少ないという状況のなかでは、やはりいかに加入者を増加させ、それによってCMの価値を高めるかということが必要であろうというふうに考えております。
 そういう中で、スポンサー全体につきましては、種類とか金額、まちまちではございますけれども、番組提供料、それから放送料、それからCM料というようなことで、全体では約20団体から収入がございますし、先ほど申し上げました高校野球とか祭りの中継でのテロップコマーシャル、約40社からいただいておりまして、年間、7年度のトータルで約5,000万円という収入になっております。
 それから第3点目のインターネット事業への取り組みでございますが、CATV回線の持つ双方向性、それから高速性というものを考えますと、この分野への進出というのは、利用者、それからCATV事業者、双方にとって非常に大きなメリットがあるというふうに考えております。そこで現在、技術的、または経営的な観点からも、問題点というようなものをどのようにクリアできるのか、慎重かつ前向きに検討しているという段階でございます。
 【市長】
 八王子テレメディアにつきましては、ただいま質問者に対してお答えをしたとおり、徐々に経営内容が改善されまして、平成8年度は単年度黒字にこぎ着けたという、大変な努力を私は評価したいと思いますが、まだまだ必ずしも私どもの期待どおりではありませんので、八王子市のテレトピア基本計画というものがございますので、こういったものをやはり充実していく意味で、私どもも八王子テレメディアには市の政策として応援をしながら、もっと多くの市民に御利用していただくような努力を、私どもも一生懸命支援をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。




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