平成7年・9月議会より

一般質問 『Kick Off! 〜芝生のサッカー場建設に向けて』

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1995年9月

第1回目

 通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。生まれて初めてこの場所に立たせていただきましたが、ここに立たせてくださいました八王子市民の皆様に感謝いたしまして、改めて身の引き締まる思いでございます。この緊張感を持って、まちのため、市民の皆様のために働きたいと思いますので、議場にいらっしゃる皆様、先輩議員の皆様、市民の皆様、どうぞ心より御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。

 皆さん、ジーコという名を御存じでしょうか。スペルは、ZICO、ジーコでございます。国際サッカー連盟主催、4年に1回開かれるもっともレベルの高いサッカー選手権大会、ワールドカップ、そのワールドカップに3回出場、サッカー王国ブラジル出身、神様ジーコとまで呼ばれたスタープレーヤーです。[「ペレだよ」と呼ぶ者あり] ペレは王様でございます。

 子供達にとっても、鹿島アントラーズで活躍したジーコが思い浮かぶでしょう。その子供達のお父様方にとっても、青春の熱い気持ちを芝生の上で全うしてくれたジーコに、子供達よりも熱い思い入れがあるのではないでしょうか。いつもジーコは言っています。サッカーというスポーツは子供達が大人に成長していく上で必要な様々な要素をすべて含んでいると。そのジーコが、今、世界中を回って子供達にサッカーを教えています。そして、何と来る10月10日、体育の日、この八王子市でもジーコサッカースクールが開かれます。キーステーションの放送局が主催、後援が八王子市、そして八王子市教育委員会ということで、開催されることになりました。後援の御理解にあたっては、波多野市長はじめ関係各位の皆様、御理解と御協力をありがとうございました。

 さて、八王子でのサッカースクール開催にあたりまして、実は、ひとつ、大きな問題がありました。肝心のジーコが出したたったひとつの条件です。皆さん、何だと思いますか。CATV八王子テレメディアをごらんのモニターの前の皆様も御一緒に考えてください。それは、高いギャランティーではありません。それは、こちらです。これは、私が先日、市政調査研究費を使わせていただきまして、380円でムラウチホビーで購入いたしました。本当は天然芝を使いたかったんですが、ちょっと値が張るので、大切な研究費を節約いたしまして、今回は人工芝で失礼させていただきます。それはさておきまして、ジーコの条件はたったひとつ、天然芝の上じゃないと教えないよという条件です。そこで、あえてて市内の芝生のサッカー場をさがしました。市の職員の方に聞くと、八王子には滝ガ原グラウンド、川町グラウンドと、幾つかのサッカー場といわれているものを教えていただき、早速見に行きました。しかし、残念ながら、芝生のサッカー場と言えるものではありませんでした。四隅に雑草が生えている土のグラウンドです。

 いったんは諦めたんですが、企業や大学を探したらどうだというサゼスチョンをいただきまして、結局は、中央大学サッカーグラウンドを貸していただけることになりました。こちらは、残念ながら市の施設ではありません。改めまして、八王子市のサッカー場のお寒い現状を目の当たりにしました。私の家の近所の七小サッカークラブに所属しているサッカー少年のこんな声を聞きました。ジーコにサッカーを教えてもらうのも嬉しいけれど、芝生の上でボールをけるのはもっと嬉しい。初めて芝の上でボールをけれるよ。テレビでは緑の上でやっているのに、僕達はいつも土の上だね、ということです。

 ちょっと話は違いますが、私が小学校3年生だった、今からおよそ20年前。スポーツといえばプロ野球。王、長島選手だけがヒーローの時代でした。私の父親ぐらいの年齢になりますと、「おう、金だ、拾おうか」などのギャグもはやりました。いまではバラエティ豊かに、サッカー選手のヒーローが続々と誕生しています。そして、少年のサッカー人口も驚くほど増えています。吉本議員率いるサッカー協会によりますと、八王子市のサッカー人口は現在8,000人。すぐに1万人にもなる勢いでございます。こうした時代の変化に応じて、当然、市でも、国民的スポーツとしてサッカーをとらえて対応していかなくてはいけないのではないでしょうか。ちょっと脇道にそれてしまいましたが、きょうは、この芝生をキーワードにしてお話ししておりますが、ジーコが、サッカーは芝生の上でやるものと言ったとおり、ブラジルやヨーロッパのサッカー先進国では、子供の頃から芝生の上でボールと戯れる感覚を身につけています。サッカー、アソシエーション・フットボールが生まれたのは、イギリスにて11世紀といわれています。日本に入ってきたのは明治11年、1879年、116年前です。この歴史の差を考えると、しようがないことかも知れません。日本の場合には、芝生入るべからずと昔から教えられてきました。芝生は大切なものと昔から教えられ、芝を実用品として扱うサッカー先進国に比べ、日本ではあくまで芝生は観賞用、見て楽しむものとされてきました。でも、ちょっと考えてみてください。いま、日本で主流のスポーツは、ゴルフ、そしてサッカーです。芝生、芝生と言っているのは、何も外見的なことだけではございません。芝生の上でプレーするのは、けがが減るという安全面でもすぐれています。けがを恐れず、思いきったプレーができるということで、技術の向上にもつながります。そして、芝生の上にボールがあるということは、芝生がクッションになり、このように地面から1センチ浮いているかどうかで、とても蹴りやすいんですね。ボールも高く上がります。そしてボールの弾み方も安定するんですね。ゴルフのプレーを思い浮かべて下さい。土の上でボールを蹴るということは、常にバンカーの砂の上でショットしているようなものなのです。ハンディキャップゼロ、プロ顔負けの波多野市長ならお分かりでしょう。やはりゴルフでもフェアウエーで、芝の上で、ちょっと浮いている状態でナイスショット、ピンそばに寄せたいものです。残念ながら、近辺のサッカー少年達は、常にバンカーショットを強いられているというわけです。とても残念なことですね。

 さて、ここからが本題です。インフラストラクチュア、下水道などの生活をしていく上での基本的な設備が優先されるのは、仕方ないことでしょう。でも、八王子市は都心のアスファルトジャングルではありません。緑豊かなまちです。将来、八王子市出身のスタープレーヤーが、私の育ったまち八王子は芝生の上でプレーするのが当たり前のすばらしい街だった、なんていうインタビューを聞ける時代が来たらいいですね。目に見えるように増えるサッカー人口に応じて、私の願いは、一つでも多くの、市民がいつも利用できる芝生のサッカー上があったらということです。そこで質問です。例えば、滝ガ原グラウンドをリフォームして、つまり、整備して芝生化すると、幾らかかるのでしょうか。私、佐野美和は、八王子市議会最初の提案としまして、滝ガ原グラウンドを含め、今ある土のグラウンドを芝生にするということを提案いたします。これらについてはどうお考えでしょうか。サッカー少年に希望の持てるお答えを期待いたしまして、第1回目の質問を終わります。

社会教育部長

 芝生のサッカー場の整備につきましての御質問でございますが、現在、本市のサッカー場といたしましては、川町運動場および椚田運動場にそれぞれ専用の少年サッカー場がございます。また、滝ガ原の運動場には一般用のサッカー場が1面ございますが、これらのグラウンドにおきましては、年間約5万人の市民が利用しているのが現状でございます。そのような中で、芝張りのご要望につきましてもご意見が出ているところでございますが、芝生のグラウンドの維持管理につきましては、大変難しい問題がございます。現在あるグラウンドのうち、川町あるいは椚田のサッカー場におきましては開設当初におきましては、前面芝張りのグラウンドでございました。ところが、サッカー人口が年々増加する傾向にある中で、これらのグラウンドの使用頻度が非常に高い為に、グラウンドを休ませて芝生を養生する期間がほとんどとれない状況でございます。従いまして、芝生の傷みが重なりまして、現在では芝生がほとんどないグラウンドとなってしまっているのが現状でございます。従いまして、芝生のグラウンドを良好な状態で維持していく為には、一定の養生期間を設定しなければなりません。そういたしますと、その期間は当然の事ながら使用できないことになりますので、今ある限られたグラウンドの中で多くのサッカー人口に対しまして、これらのグラウンドをどのような条件で活用していくのがよいか。一定の使用制限をしながら芝生を維持していくのか。あるいは、フルに活用していくのか。大変難しい問題でございます。したがいまして、芝生の整備につきましては、今後の研究課題と考えているところでございます。滝ガ原のサッカー場を芝生のグラウンドにする場合の工事費でございますが、概算で約2、000万円程度の工事費が必要になろうかと思っています。

第2回目

 1回目の質問にお答えいただきまして、ありがとうございました。いろいろ大変だと思いますが、一層前向きの御検討をお願いしますとしか言えません。芝生については、費用がかかることや、芝の扱いの難しさというのも承知しております。芝生が傷んでしまうので、使用頻度も、おっしゃった通り規制しなくてはならないでしょう。それは仕方のないことです。サッカー少年達も、今の現状にくらべれば、たとえ年に一度使えるだけでも満足だと思います。きっと少年達は、そのサッカー場でプレーできる日を、高校野球でいえば甲子園に行くような、一種シンボリックな感覚でとらえ、その日のために練習に励むのではないでしょうか。

 今回の質問をするにあたって、そのきっかけとなった一つのエピソードがあります。それは、子供達が、芝生のサッカー場が欲しいと駅頭にたって署名運動をしていたのを目撃したことからです。そんなところでビラを配るななどと駅員さんに怒られたり、とおり往く人に拒否されたりするのを怖がって、最初はもじもじしてしまた子供達の姿を見ました。それはサッカー協会の吉本会長もよく御存じだと思います。同じ気持ちだと思います。そこまで健気にやっている子供達の期待にこたえられる市議会でありたいですし、八王子市でありたいと願います。

 そこで、2回目の質問です。これはぜひとも波多野市長にもお答えを願いたいのですが、96年度予算で、ひとつでも、今あるグラウンドを芝生にするメドはないのでしょうか。そして、なおかつ、八王子21プランの上柚木公園、その中に予定されるサッカー場の進捗状況、芝生の完備やナイター設備についてもご答弁ください。さらに期待の持てるご答弁をお願いいたします。八王子も子供達に負けず、芝生のサッカー場建設に向けてキックオフ。お願いいたします。以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

社会教育部長

 上柚木公園の整備状況でございますが、現在、東京都で建設中のこの公園内には、すでに自由広場あるいはソフトボール場等が完成いたしておりまして、供用を開始しているところでございますが、この公園内に計画されております陸上競技場には、サッカーグラウンドも整備されることになっております。このグラウンドには芝生を張りまして、芝生のグラウンドとする予定でございます。また、ナイター設備につきましては、この建設計画の当初には入っておりませんでしたが、サッカー関係者からのご要望もありまして、現在、東京都へ要望し、協議をいたしているところでございます。この競技場が完成いたしますと、市へ移管されまして、以後、市で管理運営をするわけでございますが、芝生につきましては、良好な状態で維持するよう、一定の利用条件等を考えながら管理をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。

波多野市長

 サッカーについては、私、十分に知らないわけでありますが、私はゴルフの方ですけれど、サッカーは我が後藤助役が先生でありますし、監督でもありますし、そういう中で、今のご要望の芝を張るということは、上柚木大運動場にはまずできるわけでありますが、その芝を保存するということは大事なようでありますから、後藤助役の専門家と十分今後も検討しながら、ご要望におこたえできるように努力をしていきたいと、こんなように考えております。