売上の調査


現金商売以外の売上の調査について取り上げます。卸売、製造業等の場合には、
商品、製品等の物の流れとお金の流れが必ず相反する方に流れて行きますので、
物の流れをたどっていけばお金の流れも推定できるわけです。先ず、決算期末
近くの仕入、若しくは製造された製品について、どれか一つを例にとって期末迄
に売上げているか、それとも棚卸に載っているかを仕入帳、売上帳、棚卸表とその
原始記録である納品書(控)、請求書(控)で丹念に調べていきます。仕入や製造
されたものは、必ず売上か棚卸のどちらかに載っているはずですから、これがもし
何処にも載っていないとなると、売上を除いたか、棚卸に載せていないか、あるいは
仕入や製造原価が架空であるかになって来ます。商品や製品が種別や番号別になっ
ていれば、かなりはっきりと調査が出来ますが、その区分がなくとも個数や重量等
でその調査は可能となります。

ですから、物の販売を業とする会社の調査では、アトランダムに商品や製品の必ず仕入
から売上までを通して、どう流れているかを調べることになります。 ただ、一般的に卸売
や製造業の場合には、取引相手は会社が殆どですから、資料せんが廻りますので、売上を
除外しようとしても単独ではすぐ見つかってしまうので、取引相手と通謀するケースが殆どです。
一般的には、売上先に頼んで納品書の金額を低くしてもらい、残りの金額を現金でもらうか、
他の仮名名義の銀行に振り込んでもうとかします。これですと、売上先では買った金額が全額
損金に出来なくなってしまうので、売上先はこの話に通常乗って来ません。

この方法で脱税しているのは輸出企業です。輸出企業の得意先は海外の法人ですので、日本の
税務当局は治外法権で相手の会社に反面調査に行くことが出来ません。輸出企業は外国
の得意先と共謀して、もし脱税に協力するなら通常よりも安く売ろうと持掛け、合意
した値段よりも安くした金額でインボイスを作り輸出します。その金額で送金されて
来て売上に計上します。残りの脱税した金額はスイスの銀行に振り込ませます。スイス
の銀行に振り込まれれば、一切税務調査があっても拒否しますので、隠し金を発見される
心配はありません。ただ、会社の資金繰り上、お金が必要となっても、スイスの銀行
から日本に送金しますと、外国為替の資料せんから発覚するおそれがあるので、実行
出来ません。従って、年に何回もスイスに行って現金をおろし、現金のまま日本に持ち
帰ることをやっている脱税者もいます。もちろん、税関で外国為替管理法違反で捕まる
危険を冒してですが。 国際的な情報交換や調査委託等が行われてくれば摘発が可能と
なります。日本で調査していて、本当の売上金額についての契約書や念書が必ずある
はずで、それの発見に努めること,スイスの銀行の預金通帳なり証書が必ず何処かに隠
してあるはずで、それを発見することです。これを見つけ出すのは至難の業ですが、
少しでも不審点があれば、相手国の税務当局に調査依頼をして調べてもらうことが出
来ます。こちらの売上金額と相手側の仕入金額を突合してもらうことや、相手もこちら
の売上金額に合わせて仕入を計上していても売上除外分については何かの経費で落と
しているはずで、そういった不審の送金等を調べて行けば、脱税が解明されて行きます。


税務調査の仕方

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