手形の実務


手形の実務

得意先の決済が手形である場合も、業種によっては大きくなります。サイトが3ヶ月と
すると、通常4ヶ月分の売上金額が、もし手形が不渡りとなると、貸し倒れることにな
ります。

社長さんによっては、自己振り出しではない他からの受取手形を、支払いの決済として
裏書した場合に、振出先が不渡りになっても、自分は振り出していなく裏書しただけだ
から支払責任はないと思い込んでいる方もいます。

自分のところは手形を発行していなくとも、裏書していれば支払責任は生じます。裏書
した相手先から、請求を受ければ支払わなければなりません。

単名手形(振出人と受取人だけが関与している手形)を受け取った場合には、@統一手
形用紙を使用しているか、A手形の要件が完備しているか、を確かめる必要があります。

もし、白地の部分があれば、直ちに補完する必要があります。振出会社の信用に不安の
ある会社の手形を受け取る場合には、振出会社の役員等に個人保証をさせておくことが大
切です。

保証人のつけ方は、振出人欄に、振出会社と保証人との両名の名前を連記して押印する
共同振出と、手形面上に振出人と並べて「保証人」という表示で、保証人の名前を記載
して押印する方法があります。

又、保証人に裏書させてから譲り受ける方法もあります。この場合には、満期に支払銀
行に呈示しておかないと、不渡りになっても裏書人である保証人に対し、支払いを求め
ることが出来なくなります。

「資金不足」を理由に不渡処分をうけると,それが第一回目であれば,手形交換所は手
形の振出人を不渡報告に載せて加盟銀行に通知します。

第二回目(第一回目から六ヶ月以内に限る)のときは,銀行取引停止処分として,取引
停止報告に掲載します。

こうなるとその後二年間,手形交換所に加盟しているすべての銀行と当座取引や金銭貸
付取引等の取引ができなくなります。

当座取引が解約されると,手形,小切手が使えず,すべて現金決済をしなければならず,
又,銀行融資の返済に迫られ,事実上倒産となってしまいます。

ですから,何としても不渡りを避けなければなりませんが,方法としては二とおりしか
ありません。一つは手形の書換(ジャンプ)で,もう一つは依頼返却です。

@手形の書換(ジャンプ)

手形の所持人がまだ,取立銀行に依頼していなければ,満期を先に延ばした新手形を振り
出し,旧手形と交換したり,あるいは振り出した手形の満期を訂正する方法です。

A依頼返却

手形の所持人が取立銀行に依頼してしまっていれば,こちらから手形所持人に頼んで,
手形所持人から取り立てを依頼した銀行に,手形の返却を依頼する方法です。


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