東大三鷹クラブ第89回定例懇談会

 講 師 前仙台高検検事長 大塚 清明氏(昭和39年入寮)
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 第89回の定例会は下記の通り、大阪で開催します。講師は大塚清明さん(弁護士・昭和39年入寮)です。同期の荒尾幸三弁護士に紹介文をお願いしました。(以上 平賀記)

 大塚君との運命的な出会いは、昭和39年2月に大学受験のために宿泊した渋谷の宿所の風呂場であった。風呂場の湯槽の中で互いに名を名乗ったのが最初の出会いである。私は兵庫県の加古川市から、彼は愛媛県の松山市から受験に上京し、その宿舎がたまたま同じあったのである。幸い二人とも合格し、4月初めに三鷹寮に入寮すると、彼もそこにいた。この当時は、今と違って地方の出身者は寮に入るのが当たり前という時代で、授業にも出ないでごろごろしていた駒場2年間の入寮中に、大変親しくなった。

  本郷へ進学すると、別に申し合わせた訳でないのに、根津と向ヶ丘に構えた下宿が根津神社をはさんですぐ近くであった。本郷へ進んでから司法試験を目指そうかということになり、受験勉強を親しい四人の仲間で始めたが、現役でパスしたのは一人だけで大塚君と私は落ちた。翌年の9月に幸い二人とも合格したのではあるが、6月の大学の卒業がまたまた大変であった。

 例の東大紛争で、卒業試験の代わりに自由な題を選んでレポートを提出することになったのである。その頃、大塚君は弁護士志望ながら刑事が好き、私は弁護士志望で民事が好きであったから、それぞれが得手の分野のレポートを作り、それを他方が拝借し、多少アレンジして大学に提出した。

   しばらくすると、政治学の辻清明教授(大塚君と同名)、民事訴訟法の三日月章教授などから呼び出しがあり、「君と大塚君のレポートは、言い回しを別にすると大変よく似ているがどういう次第か」との詰問があった。私は、「折角司法試験に合格したのに、ここで落第させられるとさらに親に迷惑を掛けることになる」と事情を打ち明けると、どの教授からもお情けで「可」を貰い、揃って無事大学を卒業した。司法研修所に入るとまたまたクラスが一緒となり、研修所の寮も同じとなった。

 昭和46年に揃って研修所を卒業し、弁護士志望から転向した彼は、検事となって全国各地の検察庁を回った。現場が何よりも好きで常に第一線に立ち、政治的な思惑を嫌い、不正を許さない一途な性格から捜査一筋の道を歩んできた。うまく立ち回ることができず、うまく立ち回ろうなどということを考えない人柄である。

 それから37年を経て、どちらから誘ったということもなく自然の成り行きで、仙台高検の検事長を定年退官した平成20年に、私達の事務所に客員弁護士として迎えた。そこには、かって四人で勉強をし先に合格した益田哲生弁護士も一緒で、三人が揃った。これからは死ぬまで一緒である。(昭和39年入寮・荒尾 幸三)

                  記

 日 時:平成22年3月16日(火) 18時30分〜21時
 場 所:大阪弥生会館(大阪市北区芝田2丁目4番53号 電話 06-6373-1841)
 講 師:大塚 清明 弁護士(前仙台高検 検事長・昭和39年入寮)
 テーマ:
 会 費:5000円(夕食・飲物付き)
  申込先 平賀・干場 Fax 03-5689-8192 電話 03-5689-8182
  有限会社ティエフネットワーク Email:tfn-hoshiba@blue.ocn.ne.jp