名台詞・名場面

「敵は多いな、滝‥‥ いや‥‥‥大したことはないか‥‥
 ‥‥今夜はお前と俺でダブルライダーだからな」
単行本1巻 46P
「摩天楼の疾風」
 ライダーとして戦うも力及ばず、満身創痍でくずおれる滝。その前に現れた本物の仮面ライダー・本郷が、滝の肩に手をかけて語りかける場面。
 作品通じてもベストシーンと言っても良いと思います。村枝氏自身も気に入っているシーンで、「こういう台詞が出来てくるとうまくいく」そうで。また、『AERA』誌01/7/9号でも、リアルタイム世代の仮面ライダーファンの「テレビや原作を何度見直しても満たされなかった思いに、ようやく決着をつけられた」との声が紹介されていたのがこのシーン。まさにこれまで叶わなかったファンの想いに応えてくれたシーンと言えるのでは。

「正義 仮面ライダー2号」 単行本1巻 102P
「たった一人の戦場 前編」
 診療所を襲うグィン将軍の前に立ちふさがる2号。「キサマの作戦目的とIDは!?」と問われて。
 その前に、診療所の女医・真美の「正義でも悪でも殺し合う人はみんな悪魔よ!」との台詞があるのですが、それでも曲げられない正義があると言うかのように、敢えて「正義」と口にして将軍に立ち向かう。ここで「!」を入れず静かな台詞がまた、表情のないマスクにもかかわらず煮えたぎる怒りを秘めた様を感じさせて実に格好いいのです。このシーンの2号、惚れました。

「‥‥‥なあ 聞いてくれるか‥‥
 お・れ・は・み・か・た・だ」
単行本1巻 122P
「たった一人の戦場 後編」
 内戦のさなか殺し合う大人を信じることができなくなった子供達。一文字隼人は、顔に怒りの印である手術跡を浮かび上がらせながらも限りなく優しい微笑みで語りかけ、子供達の目の前で変身してみせる。
 これまた村枝氏お気に入りの「仏の変身シーン」。隼人の表情にやられました。泣くって、ココは! 変身シーンの衝撃は1号編やストロンガー編の方が上だったのですけど(カラーだし)、自分にとってのベストオブ変身シーンはこれです。場面としての良さはライダーマン編と迷うのだけど…やっぱり2号編。
 なお、「仏の〜」というのは、この場面の舞台となっている寺院の仏像の慈愛の微笑みにかぶらせているのですね。仏像は…恐いのだけど。

「ゴメンな‥‥雪子‥‥‥
 俺はまだいけないよ‥‥」
単行本1巻 186P
「熱砂のプライド 後編」
 ピラミッドの王妃によって冥界へと送られた風見志郎の魂は、死んだ両親と妹に再会する。この場面は後編の冒頭と繋がり、一度は妹・雪子の手を取るが、その手を離して変身ポーズを取る。
 変身ポーズのカット割りが、寂しそうな雪子の顔、それを見つめながら変身を続ける志郎、解っていると言うように微笑む雪子、腕越しに見える志郎の涙、と、交互に描いていく演出が光ります。そして次のページ、変身したV3の目元に涙が光るカットへ…。

「また‥‥償うために生き返ったんだな」 単行本2巻 29P
「右腕の記憶」
 記憶を失った結城丈二に、彼を追うデストロン捜査官・アンリエッタは結城の研究のために多くの人間が殺されたことを告げ、死んで償いをしたつもりだとしても遺族は許さないと言う。アンリが「罪人の腕」と呼んだ異形の右腕を見つめながらの結城の台詞。
 番組中では、結城の「償い」というスタンスはあまり描かれなかったと思うのですが、ライダーマン復活に対しての村枝流の答えと読みとれるところでしょうか。「償い続けるために」──そう考えるとライダーマンが死な(ね)なかったのも道理という気がしてきた! 歴代ライダーの中でも唯一、自ら悪の組織に荷担していた過去を持つ結城丈二の苦悩を象徴するシーンだと思います。

「刺しちがえるなんてやめてくれよ オヤジ‥‥」
「オヤジ‥‥だと‥‥
 お‥‥おい その‥鉄仮面をぬいでみろ‥‥」
「‥‥いや‥‥ダメだよオヤジ 俺は一度死んだんだ」
単行本2巻 108P
「機鎧の海 後編」
 銀の魔物を操る魔女の正体が息子の嫁・ロッサと知った老人は、身を捨ててロッサ=バラロイドに挑もうとする。Xライダーは老人をオヤジと呼んで留め、死んだ老人の息子の芝居をする。
 敬介の父親への想いと、老人の息子への想いが交錯する場面ですが、ここでXライダーが自然に老人の前に表れる銀の仮面を使った演出が上手い! という訳で、X編は敬介が心情を見せる変身シーンよりもこちらの場面を一押し。

「世界一の頭脳があったって‥‥世界を自由にできたって‥‥
 一人ぼっちの世界じゃないか!!
 アマゾンは‥‥アマゾンは‥‥
 ボクだけのために来てくれたんだぞ!!」
188P
「密林の破壊神 後編」
 「仲間になればこの世界を自由にできる」とのサラマンダー=トカゲロイドの誘いに、遺伝子操作によって造られた天才少年・ビクトルは「世界なんかいらない」と拒絶する。
 このエピソードを集約するビクトルのこの台詞、戦闘中のアマゾンは吼え声しか上げないんで、その分も代弁しているかのようで。それまでのビクトルが子供らしくないだけに、「ボクだけのために来てくれた」という素直な言葉がイイなあと。

「そいつは十分すぎるほど闘った
 『仮面ライダー』を名乗る事もねえ
 岬ユリ子はもう ただの女だ」
単行本3巻 46〜47P
「彷徨の雷鳴 後編」
 ユリ子の墓を前に、「その者もお前と同じ仮面ライダーなのか」と訊ねる改造人間部隊コマンダーへのストロンガーの返答。
 ライダーマン編と同様、タックルが「仮面ライダー」にカウントされない事への村枝流の答えでしょうか。力の限り戦い、死とともに戦いの宿命から解放されたユリ子は「ただの女」として安らかに眠らせたい。仮面ライダーの宿命の重さをも語る一言。ストロンガー…漢だ。

「オヤっさん 命にゃあ懸け時ってやつがある‥‥
 あいつも‥‥そうだったんだ」
単行本3巻 71P
「彷徨の雷鳴 後編」
 コマンダーの両肩に手刀を打ち込んだストロンガーの意図を察し、止める立花藤兵衛にそう答えて、ストロンガーは超電子パワーでタックルの使った自爆技・ウルトラサイクロンを放つ。
 上の「岬ユリ子はただの女だ」の台詞といい、この回はタックルへの想いが溢れまくり!!

「それでも俺は人間を信じる‥‥人間のために闘う
 俺は‥‥それだけでもいい」
単行本3巻 145〜146P
「約束の蒼空 後編」
 筑波洋や実の妹・フレイアを「バケモノ」と呼んだプワゾン=ドクガロイドを許せず、無謀にも戦いを挑むがんがんじい。そして毒を浴びて倒れながらも「洋はんもフレイアはんも人間や」と言い続ける姿に、ドクガロイドの「人間は弱いから裏切り、殺し合う」との言葉を思い返しスカイライダーは独り呟く。
 本当は、がんがんじいの台詞の方を単独でも名台詞に数えたかったんですけど、こっちのシーンにかかってくる所でもあるので。斜め後ろからのスカイの横顔のショットが印象的なこの場面、前期ED「はるかなる愛にかけて」の歌詞を踏まえての台詞はスカイ編としておおいに納得。

「大丈夫だぞ 絶対に大丈夫だ
 あんたらにはスーパー1が!!
 仮面ライダーがついているんだからな!!」
単行本3巻 226〜227P
「流星の神話 後編」
 時空魔法陣によって地球目前へと転移させられた月面開発チームのシャトル。スーパー1は船外に出て大気圏で燃え尽きようとするシャトルをたった一人で支える。その危機的状況で交わされるシャトル−国際宇宙研究所の通信に、谷源次郎が乱入して、開発チーム班長・セルゲイを励ます台詞。
 ここでは、研究所の人々も、セルゲイ達開発チームも「仮面ライダー スーパー1」のことを知らない訳ですが、「仮面ライダーがついている」と言われれば、読者は「そうだ、だから大丈夫!」と頷かずにいられない場面。燃えます。

「だが俺は拳法家である前にサイボーグS-1として生まれた
 人の夢の為に生まれた
 この拳‥‥この命はその為のものだ」
単行本3巻 237P〜238P
「流星の神話 後編」
 大気圏突入しボロボロの姿のスーパー1。堕ちた拳聖アスラ=アメンバロイドが人間の脆さを嘲笑し、「拳士ならば力は己の拳のためにあるのではないか」と問うのに対して、灼けたシャトル上に立つスーパー1が赤心少林拳の構えを決めながら答える。
 他の仮面ライダーが悪の組織の関与によって改造されているのに対して、唯一、惑星開発という人類の夢のために改造されているスーパー1.そのスーパー1ならではの背景に焦点を当てたエピソードですが、その象徴的な台詞。中編の沖一也の「俺はまだ‥‥人類が未来をつかむ姿を見ていない」も捨てがたい。

うーん…最初に載せたのがアレなもので、本当に代表的シーンでないと載せられなくなってしまったような。
細かいものも拾っていくとキリがないというか、どこまで載せたものかと。
もう少し…載せてみたいと思います。


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