JAC ハドソン


バトルマスターIII
M3A1 グリースガン


フレームを共用し、栄光無き名銃となっていったこの2丁の銃があった....
その名はM3A1グリースガン

●ハドソン グリースガン
 コッキング式そして、カート式エアーソフトガン。残念ながらこの銃が発売されたのは時代がガスガンに移行しつつある過渡期であった。カートリッジ使用のコッキングガンは時代に乗り遅れた一昔前のエアソフトガンだったのだ。さらにこの銃にはもう一つ問題があった。
 実銃がそうだからしょうがないのだが、この銃はコッキングボルトが省略されていて、ボルトに空いている穴に指を突っ込んでコッキングするという方式だった。実銃はフルオートだからそれほど問題はない。しかし、コッキングのエアソフトガンはそうはいかない。一回一回指を突っ込んでエアコッキング用の強いスプリングなど引ける物ではなかった。もちろんこのグリスガンには実銃にはないコッキングボルトがついてきたが、ボルトから出た太い棒はそれは銃の美観を著しく阻害させる物でしかなかった。グルーピングも抜きんでて優れたわけではないこの銃はあっという間に生産中止に追い込まれた。

●JAC グリースガン
 スターリングに続くフルオートガスガン第3作目「バトルマスターIII」はハドソンのグリースガンを利用した物であった。この「バトルマスターIII M3A1グリースガン」はJACでは初の「フルセット販売」という形で販売された(定価は26,500円)。つまり本体、マガジン、フロンガス、ブースター(ガスを効率よく気化させるもの)、ブースター用空缶、ブースターフック(ブースターをベルトにつけるフック)、チャージャー(弾込め用の道具)、スリングまでついたフルセットであった(チャージャーが別売という今までのラインナップの方が問題があったのだが)。ちなみに販売チラシには「もってかえってすぐ撃てる」と大きく書いてあったことから通称「もってかえってすぐ撃てるセット」などと呼ばれていた。また、スーパーサイレンサーという大型のサイレンサーがアクセサリーとして用意されていたりした。
 ところが、モデルの銃のその無骨なデザインが受けいられなかったか?それとも急づくりでフルオートユニットを入れた作りが受け入れられなかったか?グリースガンは余りよい売れ行きは見せなかった。さらに追い打ちをかける事件があった...JACフルオートガスガンの野心作UZIの登場である。
 軽量コンパクトなユニット設計は耐久性をやや落としたものの、フルセットで18.800円という低価格を実現したUZIはヒット作となった。グリースガンはますます影が薄くなり生産中止に追い込まれた。

 生産期間が短かったこともあり、M3A1グリースガンは今ではめったに見られない幻のモデルである。

M3A1グリースガンはしまぷさんのリクエストをもとにして掲載いたしました。また、イラストはJACのグリースガンをもとに書いた物です(右端にあるのがスーパーサイレンサー)。写真はモデルのベースになったハドソンのモデルガンのグリースガンです。写真はふぁるさんよりご提供して頂きました。