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連載エッセイ◎第10回 銀色タペストリー
月日の経過するのは早いもので、10ケ月があっという間に走り去った。 | ||
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河合その子 Sonoko Kawai ”銀タペ”も今回で終了します。 TYOが休刊するからではなく、 実は最初から、今年いっぱいで、 という話し合いのもとに この連載は始められたものなので いずれにしてもお別れです。 機を同じくしてCBSソニーから 彼女のベスト盤『sonnet』が 12月21日にリリースされます。 初CD化となる過去のシングル曲 「夢から醒めた天使」 「落葉のクレッシェンド」等を 含む全14曲で構成された 今年最後の贈り物になります。 |
こんにちは、河合です。今回、10回目をもちましてこの ”銀色タペストリー」も最終回となりました。このエッセイをスタートするにあたって ”とにかく、10回は頑張って続けたいよね”と話していたんですが……その記念すべき10回目がTYO休刊となる号にぶつかってしまったのにはちょっとビックリしています。 同じ時期、デビューの頃かなりお世話になったDUNKもお休みをすることになったというお話を聞きました。私のように、こうして芸能活動をお休みしている立場の人間でも、お付き合いのある人達からその世界の話題はひんぱんに耳に入ってきます。 今回、このエッセイの最終回を迎えるということで打ち合わせをしている時に ”アイドル”に関してのいろいろな話や考え方が飛び出してきました。それはあくまでも雑談の中での話題だったんですが、”当事者だった人間が客観的に見られるようになった時の物事のとらえ方って、メディアの人間が分析するよりもずっと面白いね”などと言われてしまいまして……じゃあ、その辺のことを書いてみようかな、と思う次第です。 他のアイドルの人達のことは別として、私が突然お休みをしたりしてきた背景ももしかしたらここで皆さんに見えてくるかもしれません……ね。 よく、”おニャン子クラブからアイドルに対する意識が変わった。おニャン子がアイドルだって普通の女の子だっていうのを見せてしまった”という言われ方をしていますが、それは全てそうだとは言い切れない気がします。 たしかにグループ全体の流れとして考えれば、そうなのかもしれません。特に途中段階からの動きや、学業優先という形での高校生が多かったことでは、”シロウトがTVに出て、それに火がついてしまった”という感じなのかもしれません。 でも少なくとも初期はそうではなかったし、これはもう皆さん充分ご存じかと思いますが、CBSソニー軍団に関しては ”夕ニャン”のオーディションを受ける前に何らかの手続きを踏んでいる人ばかりですから(もちろん私も含めて)一概に決めつけることはできないんですよね、本当は。 ごく初期のおニャン子クラブは、”アイドルは夢を与える”的な昔のノリを引き継いでいた管理された世界でした。最初に私達がハワイに行ったときは外出は絶対禁止、そのうえ、それぞれの部屋から他の人の部屋に行くのも禁止、消燈と言われたら即、寝なくちゃいけない。アイスクリームを夜中にこっそり買いに行ってスタッフと非常口で出会ってしまい大目玉……それこそ学校みたいな管理だったんです。私も既に20歳でしたし、初期の高年齢組は ”どうしてそんなに管理されなくちゃいけないの!?”という反発心から ”アイスぐらい買えなくてどーするの”的な一種のゲームみたいなことをやったりしてたんですけど。 ですから、私達が卒業していって、”後期はもう全然変わってた”とかいう話を聞いたりすると信じられないと思ってしまうほどです。過保護だとかぬるま湯だとか……とんでもない! とにかく全てが団体行動中心でしたから、世間の人達が思っているほどみんないい加減になんてやっていなかったはずですよ。 ”おニャン子から〜”と言われてしまう一連のことは、メンバーが決めていたわけでも何でもないし、単純に大人達の方法論だっただけですから。 私個人でも、今考えると ”おかしいぐらいにアイドルしてたよね”という感じになってしまいます。デビュー当時からずっとお付き合いのあるライターの人は ”昔はいつ会っても初対面みたいな感じだったよね。変われば変わるもんだよね”と私のことを言って笑いますが、結局そういう風にならざるをえなかったところってあるんです。 とにかくインタビューとかで質問を受けても、何をどう答えたらいいのかが解らなかった。たとえば仕事をしている時のことでなら言える、でもそれでも言っていいことと悪いことがある。そういうことの出し方が凄く難しかったし、”普通、お休みの日は何をしてるの?”とか聞かれても、”ああ、私はアイドル的な立場だから1日寝てるとは言えないし”とか ”うちにはヌカ床があるなんてとっても言えないから……”なんてそういうことを考えていると結局何も言えなくなっちゃうんですね。そのうえ、キティちゃんのカンカンを持たなくちゃいけないとか、ちょっと普通では考えられない20歳かな、と。 やっぱり、どう考えても常識を持っている人は芸能界ではやっていけない気がします。その世界でしか通用しないルールが強力にあるし、芸能界のルールというのは一般人の感覚で言ったらどうにも納得いかないものが多いわけですから。 私は時々 ”そういう世界に疲れたの?”と聞かれるんですが、疲れたんじゃなくて出来なかったんです(ルールとか全く知らなかったし)。口八丁手八丁、社交的な人の方が長く生きられるんじゃないかしら。質問には虚と実をうまく使い分けてニコニコ答えられるぐらいの……私は実を話さないで虚を出すという簡単な立ち回りが出来なかったんですよね。いつだって私は、”この状況をどうやってもっていけば、普通のちゃんと地に足が着いた生活が出来るんだろう”って、そんな事ばかり考えていましたから。 お姫さま扱いを受けていると、それを嬉しがるより先に、どうしてもその理由をたぐりたくなる。そういう風になってしまう私のようなタイプの人間は、やっぱり、いわゆるアイドルには不向きなんじゃなかったかと思っています。 今は外側から ”その世界で頑張っている人達”の活躍を、ミーハー的に楽しんでいます。外から見ると、こんなに面白い世界は、そうありませんからね……。
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