連載エッセイ◎第2回
銀色タペストリー
もうすぐ、4月21日には新しいアルバムをリリースする、その子サン。『Replica──雨の日の私──』と題されている
全曲を自ら作曲したこの新しい音の中には、ほのかに彼女流の”居心地”のあり方が見え隠れしているようで、さりげない中に主張が込められています。
第1回ではデビュー当時の打ち明け話を書いてくれた彼女。今回はアルバムのレコーディングの折の買い物にまつわる裏話。
意外に笑える素顔を見せてくれます。スナップの印象とのギャップをお楽しみ下さい。
河合その子
Sonoko Kawai
5月に入ると"Replica Live '90"と題してライブツアーを予定しています
5/12 sat.名古屋クラブクアトロ(問Tel052-263-9115)
5/13 sun.大阪ブーミンホール(問Tel06-344-3326)
5/18 fri.川崎クラブチッタ,5/19 sat.MZA有明
(18、19日共に問Tel03-857-9000)
こんにちは、河合その子です。前号からスタートした私のエッセイですが、無事(!?)何とか2回目を迎えることができました。
さて今回は、知る人ぞ知る私の”買物癖&浪費癖”について書いてみようと思います。とは言っても、あんまり誉められるようなコトじゃないんですけれどね。お友達とかにこの話をすると、たいていの人は”信じられない……”っていう顔をして、アキれてます。
それは、『Replica』のトラックダウンのために、観音崎に滞在していた時のことなのでした……。
トラックダウンの合い間に、スタジオの近くにある”ダイクマ”っていう安売りの店にスタッフの人達と一緒に行ったんです。私、それまで、そういうディスカウント・ショップみたいな所は行ったことがなかったんですけれど、初めて連れて行ってもらって、まぁ驚くこと驚くこと!
とにかく、何でもかんでも安いんです。それこそ3割4割引は当たり前の世界で、たとえば20万円のワープロが、半額の10万円、とか。もっと安いものもあって。
やっぱり、欲しくなりますよね? 誰だって。今すぐ必要ではなくても、いずれは使うかもしれないから、このチャンスに……って思うじゃないですか。それで、”ワープロ買おう♥”と思って手を伸ばしかけたら、スタッフの人に止められてしまいまして。
「せいぜい5千円くらいのものにすれば? 家庭雑貨とか、そういうたぐいのものに」
って言われたんです。まあ、仕方がないから買ったのが、目覚まし時計と土ナベ。
この土ナベがね、凄く品のいい感じのナベで、何と千円という安さ。それで思わず”これにしよう”って買ったんです。買ったはいいけど、結局ほとんど使ってないんですよ。今日に至るまで。
だいたい、私の家っていうのは大勢でゴハンを食べるっていうことがほとんどなくて。せいぜい友達が来て2、3人っていうくらいだから、そんな大きい土ナベはいらないんです。だけど、季節がちょうど冬の始まりだし、ナベものとかもやりたいし、とか思って。1人で食べるにしても大きなのに少しだけ材料を入れてやればいいかなって考えて、すっごく大きな土ナベを買って帰ったんですよ。
家に帰って来てから、近所のスーパーでカセットコンロ(小さなガスボンベみたいなのを使うアレです)を買いまして、母親が遊びに来た時に、一緒に初めてナベものを食べたんです。でも、情けないことに、それ以来、一度も使ったことがないんですね……。ホント、何のために買ったんだか……。全然、意味のない買物になってしまいました。
そう、だから、買ったのがワープロだったとしても、きっと同じことになってただろうと思います。買って、少しだけいじって、マスターする前にアキてしまうとか。(でも、この原稿をワープロで打つことができたかな?)
言いわけするわけじゃないんですけどね。根つめてずっと仕事をしていると、その後にスゴく”バカになりたい〜!”っていう反動って、皆さんにはありませんか? 私、何かとことん狂いたくなるっていうのがあるんです。
だけど、仕事でどこか行くっていう場合、いつも遊んでいる友達と違って、お仕事のメンバーですよね。お金を使わずに気分だけで楽しんだり、バカをやったりするのにも限度があるんですよ。やっぱり皆さん年上の方ばかりですしね……。
年齢によって絶対違うと思うんですよ、そういう”バカになりたい!”って思うペースとか。それに、大人の人達ってお酒がないとそういうことってできない。それじゃ、買物にでも行って、思い切り発散しよう! ということになるわけなんです。
それがですね、私の浪費癖っていうのには1つポイントがあるんです。自分が目的にしてた買物ができれば、それで満足しちゃえるんだけど、そうじゃない場合、持っているそのお金をいかに使い切るかっていう1点にのみアタマが行ってしまうという。とんでもないものなんですね、これが。
都内だったら、まだコム・デ・ギャルソンとか行って、洋服の1枚でも買って”へッ!”ってお金を払ってしまえば気が済むんですけど、ダイクマみたいな安い所に行っちゃうと、あれも、これも、ってことになってしまう。
本当は、その時、14インチのカラ−テレビを買いたかったという、隠れた目的があったわけなんですよ。それが大体3万円くらいの値段なんですけど、もしかしたらいろんな事情があってもう少し高いかもしれないな、と思って、結局、5万円を持って出かけて行ったんです。
ところが、電気製品みたいな高い物はやめればって言われてしまったこともあって、そうなんです。”その5万円を使ってしまおう!”と思い込んだが最後、ナベとかそういう雑貨ばかりを5万円分買ってしまおうとするわけですよ、私という人は。
ホントね、買うのは何でもいいんです。とりあえず5万円分、こんなにたくさん買物をしたんだ、という重みに問題がある。あと、財布の軽さと。何でもいいっていっても、服とかの方がまだいいことは確かですよね。ナベとかを5万円分買ったところで、何も残んないわけですから、結局。
後からそうやって冷静になって考えれば簡単に解ることなんだけれど、千円のナベを、5万円分買うっていったら、単価が安いから、もうひっくり返りますよね、それは。止めてくれる人がいなかったら、きっと大変なことになっていたでしょう。そんなわけで、マネージャーの谷さんには、いつも感謝しております。おかげで私の部屋は”ナベ屋敷”にならずにすみました。
それでは、また来月、お会いしましょう。
──PS。最近、ピーコックで、またナベを買っちゃいました。アハハ。
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