ラングストン・ヒューズ

1966年に出版された一冊の詩集を古本屋で購入した。
ラングストン・ヒューズは、音楽をバックに、即興詩を唱えていた人だとい
う話しを聞いたことがある。どんなふうに・・・そして、どんな店で・・・どん
な時代に・・・人の心は、どんなであったか・・・私は何も知らない。 
  

この本の中に、1枚のメモが入っていた。

私は推理する・・・

ある、ブルースの好きな男がメモを書いた。
そして、自分を理解してほしい女にこの本を貸した。
しかし
その女は、ブルースというものを理解できなかった。
そして、男と女は別れ
不用になったこの本は
古本屋へと売られた・・・・・・・

そして、1枚のメモは、私のてもとにやってきた・・・・


「ブルース!心が痛むとき、ひとびとがつくる歌、
それがブルースっていうもんだ。悲しくておかしい歌
おかしがるには悲しすぎ、悲しすぎるにはおかしすぎる」

こんなふうに、『君は自由になりたくないか?』
(1937年に書かれたヒューズ作の一幕物)の登場人物の1人が
ブルースを定義する。その人物はつづけて次のように云う。
「黒人たちが、ブルースをつくりあげたんだ。
それで今は、みんなそいつを歌う。
おれたちは、貧乏で孤独で。家庭は破滅し、絶望し、
文なしになってブルースを作ったんだ」

       助言 (ヒューズ詩集より)

みんな、云っておくがな、
生まれるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよー
んだから、掴まえろよ 
ちとばかし 愛するってのを
その間にな。  

    また惚れるブルース(ヒューズ詩集より)

あたいの 人生なんざ ただもう
わけのわからんことの つみかさなりなの
あたいの 人生なんざ ただもう
わけのかわらんことの つみかさなりなのさ
つぎから つぎへと あたいの手に
はいってるものってや かさなる難儀さ

あんたが 手にはいって あたいや
天使と いっしょだって 思ったわよ
あんたが 手にはいって
あんたが 悪魔だって わかったんで
あたいや 狂ったように なっちまったんだよ!

ね、ね、何で
惚れるっての こんな ひりひり痛いの?
ね、何で
惚れるっての こんな ひりひり痛いの?
そいつは のぼせさせといて 引き裂いちまうー
でもね あんたら また 惚れるんに
きまってるんよ。

ラングトン・ヒューズ