100キロの風を手に入れた!!


 バイクの免許を9月10日(火曜日)手に入れた!嬉しくてもう、ルンルンだった。

 なぜ、バイクの免許なんかを手に入れることになったか・・。夏に玉川大学に研修に行った帰りに、なんと家の前で、白バイに追いかけられたからなのだ・・。その理由は、原チャリで、二段階右折をしなかった!!ということで3000円とられた!!

 そして、突然教習所に行った。もう、語りたくもない。忘れたいほど教官に怒られながら、なんとか4時間オーバーしたものの、卒研は一発でクリアー!卒研は、なんと、国士舘のちょっと怖いお兄ちゃんと・・。社交的な私も、話すのも困難な怖いかんじ・・。ところが、同じ仲間だよね・・。怖く見えたのは緊張していたからみたい・・。
 卒研の後、若い兄ちゃんは怒られてくれ、私は誉められた!!でも、2人で卒研受けて、自分だけ受かるのは嫌だ!!どうしよう・・・。
 検定の教官、さんざん怒ったけど、2人とも合格にしてくれたんだ!!!思わず検定の教官に「この人に、蹴り入れたかったら入れてもいいですよ・・ね!!いいよね!!合格したんだったら、蹴りぐらい、いいよね!!!!」

 9月15日(日曜日)小潮・・こんな魚の釣れない日に出かけることは、まずない。ツーリングならば、潮は関係ないので、朝の5時に起きて出発した。前日に、ちょっと練習したけれど、エンストは、たったの10回だった・・。まずまず!!
 家を出発して、すぐに体中が石みたいになっていることを感じる。教官の「力を抜いて」という怒鳴り声を思い出して、力を抜こうとするが無理!!

 西湘南バイパスから高速に入る。自信はなかったが、100キロの風を手に入れるためには、やっぱり挑戦しないと!!死ぬのが怖くて、手に入れられるものは今となっては、何もないのだ・・しかし・・高速って、どうやってお金を払うんだろう・・・。
 思いっきり高速に入る・・。10人ぐらいのライダーがいて、その人たちの仲間みたいな顔をして走った。60キロでも、原チャリよりも、すごいスピードに感じる。80キロになった時に、妙に眠くなる。そういえば、昨日眠れなかったんだっけ・・。メーターを見ながら、スピードをアップする。超怖い!!クソ−−−−−!!!クソ−−−−−!!なんか左がわに海が見えるような気がするけど、そんなものを味わっているヒマはない。90キロになった時に、風が・・・・強い風が・・・・ハンドルが取られる・・・負けるもんか・・・そして・・そして100キロになったのは瞬間だった。一瞬に手に入れた風は、感じる間もなく、ハンドルが細かくゆれたのだ・・・チョ−−−怖い!!!

 しかし、高速を出ると、すっかりその気になっていた。あたしゃライダーだ!!!箱根の山に向う。道は混んでいる。混んだ道は、ちょっと休めてホッとした。しかし・・渋滞の登り坂で事件が起きた・・・

 「キヤーーーッ!!あたし、坂道発進、まだちゃっとできないんだーーー」

 坂道発進を避けるために、トロトロと走ると後ろの人たちが、やたらあおる・・。でも、坂道の渋滞で坂道発進を避けるわけには行かない・・。止まる度に手足が異常に緊張して、クラッチを話すことができない・・。でも、何とか・・何とか・・何とか・・クリアーしていたのですが、とんでもない急な坂で止まってしまった。ヤバイ!!ヤバイ!!と思ったところで、なんとエンスト!!「キャー−カッコ悪い!!」そこで、何がおこったかわからないけど、急にバイクがガクンとなって、傾いた・・・

 「あっ・・・あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 バイクは、ボテッ!!と倒れた。

 あわてて持ち上げようとしたけれど、動きもしない。後ろの車のおばさんが見ている・・。あたしは、かよわくて力がない・・・かよわくて、力が・・・

 その瞬間に、バイクがムクッと起きてくれた。自分の中に隠されていた力が瞬間のあせりと共に出てきたのだ・・・。幸いバイクは無傷・・。
 
 その後ずーーっと「坂道こわーーい!!坂道やだよーーー!!」と、何回言ったことか・・。

 次に怖いのが、曲がりくねった道・・・ギアがあわない・・。曲がりが多すぎると、完全にギアチェンジが間に合わない・・。もう、これは無理!!ところがトロトロ走っていると、後ろの車が、あおるのだ・・・。世界中のドライバーが、みんな意地悪に思えるほど・・。そんなに急がなくたっていいじゃん!!!
 
 左にウインカーを出して、車たちに先に行ってもらう・・。

 芦ノ湖に行き、箱根の小涌園に行く。すごい人・・。これなら水着になってもはずかしくもないわ・・。沢山の風呂に入るけれど、どうもオシッコに入っているような気がしてならない・・。死海の風呂とかいう塩の風呂もあった・・・。

 そして「花の里」というホテルへ・・。青年の家??と思えるようなホテルで、持ち込み禁止!!スーパーで、刺身を買って、夕食は簡単に(シャケだもんな)部屋で刺身に白ワインを飲んで、温泉にタップリ入って9時には眠る。

 次の日は5時に起きて、1人で温泉にゆっくりつかる・・。今は冬かな・・と思うぐらい寒いけれど、体が気持ちいいほどあったかくなる。雨も大丈夫そう・・

 卵とアジと味噌汁だけの朝食をすませて、富士五湖まわりをする。途中から雨が降りはじめ、カッパを着る・・。

 そこでまた事件なのだ・・。普通の皮の靴を履いて行ったのだ・・。何しろ靴の中に2センチぐらい水が入ってしまって、ジャブジャブ・・・。足は氷のように冷たくなって感覚がなくなる・・。クラッチを踏む感覚がない・・・どうしよう!!!!

 でも、よく寝て元気だったので、山中湖・川口湖・西湖・精進湖・本栖湖をまわる。

 そして・・・「天ぷらが食べたい!!!」と、叫び続ける・・・

「砂場」という天ぷらと手打ちソバの店があった。たまたまよったが、目の前でソバを打ってくれ、天ぷらも超おいしかった!!店も混んでいたし・・・。

しかし・・・そこでグッドアイディアが浮かんだ・・。リュックの中に、ゴミ袋があったのだ。45リットルのゴミ袋を手で縦半分に切った。そして、濡れた靴下を脱いだ。新しい靴下をはいて、ビニールを足に包んで足首で結ぶ。そのうえに、濡れた靴下を履く。濡れた靴下を履かなければ、すべって靴が脱げてしまうからだ・・。

 それは、すばらしいアイディアだった。その後は、足も冷たくならず、不快も消えた。

 帰り道は、超込んでいた。そこで、とりあえず「スリヌケ」(車のわきを抜ける)の練習をした。渋滞の高速では、スリヌケが(車と車の間を走る)必要とのこと。スリヌケも、どうにかできるようになり、上の原からは高速に入ることにする。

 あたりはもう暗くなっていた。

 雨の夜の高速かーーーーーーーー!!でも、渋滞で、クラッチを握りっぱなしで、手にマメができてしまっているし、もう、どうにでもなれや・・・と思っていた。
 
 高速に入ると、渋滞だった。スリヌケは、下の渋滞にくらべれば、簡単簡単で気持ちがいい・・・。ルンルン気分でいたところ、車が空いてきて、高スピードに・・・。強い雨がメットにガンガン降って前が見えなくなる。少し下を向いて風でヘルメットの水滴を飛ばすようにしながら・・。ところが超怖いことが再びあった・・。対向車が来ると、ヘルメットについた水滴が光って前が見えなくなるのだ・・・。
 「キャー−−ッ!!怖い!!でも、何て美しい!!!」

 雨・・・。ヘルメットから他の車を見ると、赤いランプがキラキラと輝いて見えて、見える世界全部が、まるでクリスマスみたいなのだ・・・自分と共に赤いランプたちが止まっていて、地面だけが走っているようにも思える・・。いや、確かに自分は走っているのだ・・。風がある・・

 「メー−リークリスマス!!」

「メーリークリスマス!!」

そう叫びながら、土砂降りの高速を100キロでつっぱしった。

雨も風もよるも、すべてが、あまりにも美しく・・・・・
 
 

そして・・・私は、生きていた・・・。
死ぬかと思った瞬間は、沢山あった・・・。
でも、生きていた・・・

その瞬間は、何もかもが自由!!!
全てのものからの開放!!!

また行きたいな・・・。雨の夜の高速に!!!