小さな星
昨日、私は腰が痛くなってしまいました。それで、昼寝の前に、あんまり痛いので、はるかちゃんに背中を踏んでもらいました。あれで、だいぶ良くなったんだけど、そのあと大変なことがおこったのです。いつものように、ニコニコ笑って、みんなに「さようなら」と挨拶をして、バイクに乗りました。おいしいものを作ろうと思って、スーパーによって、買物をして家に帰ったら、なんか変なのです。なんか、背がとても低くなった気がするのです。いったい、どうしたことかと思って、作ったばかりの入ればをはずそうと思って、洗面所に行きました。
そして、大きな鏡を見ようとしたのですが、なんだか変なのです。うす暗いので、電気をパッツとつけました。そうしたら、私の腰は、曲がってしまっているのです。そして、なんと驚いたことに、髪の毛が真っ白なのです。それだけではありません。顔にはシワがいっぱいなのです。悲しいことに、私は、とつぜん『ばさま』になってしまったのです。
最初は、「あら、どうしましょ。ばさまになってしまったわ」と、鏡を見て、シワを動かして遊んだりしていたのですが、時間がたつと、これは大変なことだということに気がついたのです。だって、もし、私の子供たちが家に帰ってきた時に、お母さんだったはずの私がばさまになっていたら、どんなに驚くでしょう・・・。それに、明日になって、仕事に行ったときに、いつもは美しい私が、ばさまになっていたら、子供たちは、驚くにちがいありません。私はきゅうにあせりました。「たいへんだわ!!はやくもとの美しい自分にもどらなければ・・・」
あわてて、腰を曲げたまま、ヨロヨロとしながら自分の部屋に行き、押入れの奥にしまっておいた誰にも秘密の『魔法の本』を出しました。ところが、また大変なことがおこったのです。なんと・・・なんと・・・目が悪くなっていて、字が読めないのです。悲しくなって、涙がボロボロ出てきてしまいました。しばらく泣いていたのですが、泣いている時間なんてないのです。涙をふいて、カバンの中から魔法の眼鏡(職場で、子供たちに本を読んであげる時にかけている老眼鏡で、子供たちには、本を読んでも眠くならない魔法の眼鏡と言っています)を出しました。そうすると、嬉しいことに、ちゃんと字が見えるではありませんか・・・。
私は一生懸命調べました。何しろもとの自分に少しでも早く戻らなくてはならないのです。みんなの着替えや食事のように、ダラダラしていることはできないのです。
魔法の本には、こう書いてありました。「七色の種を蒔いて、その木を登っていって、小さな星をみつけなさい。その星を食べたら元のMAYAHさんに戻ることができます」
さっきは、どうしていいかわからなくて、涙がいっぱい出ましたが、今度は嬉しくてたまらなくて涙がいっぱい出てしまいました。でも、泣いている時間はありません。ちょうど、この前『やまんば(魔女のバヤちゃんのたったひとりの友達)』に会った時に「いいものみーーつけたーー」と七色の種を持っていたのを、実は、私が持っていたおにぎりと、とりかえっこをしたのを持っていたのです。
いそいで花園に行ってその種を蒔きました。そして、大きな声で歌ったのです。「はーやく芽を出せ七色の種ーーー。出さぬとおまえをふんじゃうぞーー」すると、七色の種は、MAYAHさんに踏まれたら、ぜったいにつぶれてしまうと思って、あわてて芽を出したのです。そして、もう、あわてて、あわてて、空高くのびて行ったのです。
私は、腰が曲がっていましたが、もとに自分に戻りたかったので、一生懸命その木を登りました。でも、空は遠いいので、途中で、もうやめようかと思ったりもしました。でも、やめておりるのも大変なので、やっぱり登りました。途中で、おなかが空いてしまいました。でも、空の真中には、なんにも食べ物がなくて、心の中で「あーーあ、木に登る前に、おにぎりでも作って持ってくるんだったな」と思いました。
そのうちに、ようやく雲の上につきました。そうしたら、なんと!!なんと!!なんと!!雲の上に大きなテーブルがあるのです。そして、そのテーブルの上には、たらこスパゲティーにピザに、チキンのロースとビーフ(そんなもんあるわけないけど、こういうとご馳走みたいだから言ってしまった・・・)とか、私の大好きなエビフライとかが並んでいたのです。私は、ずーーっとおなかがすいたまま木を登っていたので、もう絶対にガマンはできませんでした。でも、問題があったのです。そのご馳走は、誰のものかわからなかったのです。
だから、絶対食べてはいけないと思いました。ところが、おなかが大きな音をしたのです。「グーーー」私は、自分はガマンできるけれど、おなかさんが、苦しんでいるのをほっておくわけにはいかないと思いました。「こんなにたくさんあるんだから、少しぐらい食べたってわかりゃしないわ」そして、まず、一番大好きなエビフライを一本食べました。「おいしーーー」思わず大きな声で言ってしまいました。あと少しだけ・・あと少しだけ・・ピザもちょっとだけ・・・スパゲティーも味見くらいなら・・と言って食べているうちに、私の体は、お月様みたいに、まんまるくなってしまいました。それでも食べ続けているうちに、宇宙に雲より上の空に浮かんで行って、私はお月様になってしまいました。
おっすまい!!!
(この後、子供たちのブーイングで、部屋が大騒ぎになる)
「ちょっと、静かにしなさい!!静かにしたら、話の続きをしてあげるから・・・」
お月様になった私は、とてもいい気持ちで眠ってしまいそうでした。でも、眠ってしまう少し前に気がついたのです。「大変、お月様のまんまでいるわけには行かないわ。何しろ私は元の美しい私の戻らなければならないんだもの」
そして、私は、小さくなるために思いっきり息をフーーーッと吐きました。そうしたら、シュルシュルシュル・・・と元のばさまの私に戻ることができました。不思議です。さっきはばさまになったのが困っていたのに、その時は「良かった、ばさまに戻れて」と思ってしまいました。でも、ばさまに戻れたことを喜んでいる時間はありません。小さな星を探さなければならないのです。朝になったら、星は消えてしまうはずです。もし、星を探せなかったら、もう二度と保育園のかわいい子供たちに会えないのです・・・。
腰を曲げたまま、ヨロヨロ歩きながら、歩きにくいフワフワの雲の上を歩き続けました。何時間歩いたでしょうか・・・。もう、少し休もうと思いました。そして、雲の上にドサッと座ったのです。すると、目の前に小さな星がキラキラと輝いていました。「よっこらしょ」と立ち上がって、その星を捕まえようとしました。ところが、小さな星は、チョロチョロチョロと逃げてしまうのです。あわてて、こんどはもっと早く捕まえようとしました。でも、また小さな星はチョロチョロチョロと逃げてしまうのです。
私は、どんどんその小さな星を追いかけて行きました。すると驚いたことに、むこうから、もう1人の私が歩いて来るのです。思わず私はむこうから歩いてきた私に「ねえ、あんたはいったい誰よ」すると、むこうから歩いてきた私はこう答えたのです。「あんたこそ、誰よ」
なにしろ時間がないのです。朝になっては大変です。その人と話しをしている時間なんてありません。私は今度はもっと早くその星をつかまえようとしました。すると、むこうから歩いてきた私も、星をつかまえようとするのです。私は頭にきました。「これは、私の星よ!!」すると、むこうから歩いてきた私もこう言うのです。「何行ってるの。これは私の星よ」
こんなところで、喧嘩をしている時間はありません。だから、しょうがないので、ジャンケンをすることにしました。そうしたら、私が勝って、私がが負けたのです。ということは、1人の私は、若いMAYAHさんに戻れて、もう1人の私は、ずーーっと雲の上で、ずーーっとばさまのMAYAHさんでいなければならないのです。
それは、困った問題でした。でも、小さい星は、一つしかありません。ジャンケンに勝った方の私は、さっきよりも、もっともっと早く小さな星をつかまえて、大きな口をあけて「パクーーン」と小さな星を食べてしまいました。すると、お腹の中が、ちょっとキラキラしたかと思うと、いつもの私に戻ったのです。
「わーーいよかったーーー」と、いそいで家に帰ろうとしました。ところが、大変なことがおこりました。小さい星を探して、雲の上をあちこち歩いたので、登ってきた木が、みつからないのです。雲の上は、どこまで歩いても真っ白でした。
私は悲しくなって、泣きました。「ウエーーンエンエン!!ウォーーンオンオン!!!ウエーーーーーン!!ウエー−−−ン!!!「ウエーーンエンエン!!ウォーーンオンオン!!!ウエーーーーーン!!ウエー−−−ン」
すると「ジリリリリリ・・・・・・・・・・・・・・・・・」と大きな音がしました。
私は、おふとんをめくりました。「あーーーあ。なーーんだ夢だったのかーー」と目覚まし時計を止めました。
おっすまい!!!
(ある子が、布団の中で「よかった・・・夢で・・・。MAYAHさんどうなるかと思った・・・」そうつぶやいて眠りました・・・・)
なんと、この数日後に、本当にギックリ腰になってしまったのだ!!腰を曲げられない私に、子どもたちは「小さい星を食べればいいじゃん・・・」と言っていました。そこで「小さい星を食べたら、今度は腰が曲がらなくなっちゃったんだよーーー」とグチを言っていました。
でも、いつもいばっている私が弱っている時は、みんなとても優しかったです。座って立とうとすると、誰かが肩をかしてくれ、外に行く時には靴を出してくれ、帰って来ると何も言わないのに、靴をしまってくれました。「ありがとう!!」と嬉しくて泣きそうな私に、「どういたしまして」という子供たちのかわいい笑顔は、私にとって、小さな星(つかまえようとすると、逃げるしね・・・)でした。
小さな星たちのおかげで、ギックリ腰は、なおり、元の美しい??自分に戻れました。
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