2003年12月26日 今年の有馬記念の見所はシンボリクリスエスとタップダンスシチーの 対決だろう。言うまでもない事だが、この二頭、何から何まで対照的である。 シンボリは言わずと知れた関東の藤沢厩舎所属、クラシック路線から 中距離路線で常に脚光を浴び、天皇賞秋連覇、有馬記念優勝の実績の 持ち主。過去に跨ったジョッキーも岡部、ペリエなどそうそうたる面々である。 近年パッとしないとはいえシンボリの冠と岡部藤沢ラインの組み合わせだし、 調教もいっつも併走馬なりとかのよく分からない名門の香りがぷんぷんするし、 ダービー2着なのにあっさり菊花賞から天皇賞に向かったりするし、威圧感が あるというか高圧的で偉そうである。 それに比べてタップはすごく地味である。シチーの馬というだけで弱そうで あるし、名門ではあるがいまいち地味な関西の佐々木厩舎所属である。 新馬勝ちこそしたもののその後はぜんぜん勝てず、条件戦をうろうろしていた 下積みの時期が長かった。朝日CCが初重賞というのがまた哀愁を誘う。 それでも頑張って去年の有馬記念で2着に粘り、一流馬の仲間入りをした のに今年の始動レースがただのオープン特別だというのに至ってはため息が 出てしまう。ジョッキーも男前の四位が主戦だったころもあったが、今では 上手いのかなんだかわからないが地味な佐藤哲である。 だらだら書いてしまったが、タップが自身こんな感じのだらだらしてしまりのない 馬生を送ってきたのである。 この2頭の初対決は去年の有馬記念。 シンボリは一番人気こそ逃したものの凄まじい追い込みを見せて快勝、逃げた 人気薄のタップが粘りに粘り2着という結果だった。 エースが期待に応えて勝利した裏で、誰にも期待されずに粘っていたのが タップだったのである。 それから1年弱。シンボリは宝塚記念で人気を裏切ったものの天皇賞を圧勝、 タップは連勝で挑んだ宝塚記念でシンボリには勝ったもののヒシミラクルの ミラクル劇の前にたいした印象も残さず春を終えていたが、秋の京都大賞典を 快勝していた。 そしてJC。結果はタップの歴史的圧勝であった。スポーツジムのランニング マシンの上からみたタップの衝撃は一生忘れられないであろう。 あれから4週間、シンボリはぼろ負けしたのに一番人気間違いなし。 タップも今度ばかりは二番人気だろう。逃げるタップ、追うシンボリという 予想はレースの展開予想であるが、馬生の上ではタップがようやくシンボリ への挑戦権を得たところである。 シンボリはこのレースで引退が決まっている。ここで負ければ種馬勝負でも 勝ち目はない。タップの正念場である・・・。 そんな人々の思いとはまったく無関係にタップは走るのであった。 という訳で予想はタップとザッツの一点である。 馬単ではなく馬連で、というのはここには書かなかったザッツの馬生、 忘れられたエースの復活、にも期待しているからである。当たっても 外れてもわれわれには明日があるが、JCを勝っただけの晩成の長距離馬と なってしまってはタップに明日はないかもしれない、という事実を深く受け止め、 タップを応援したいと思います。 |
2002年1月1日 明けましておめでとうございます。 ギャンブルは人生の縮図と言われます。 人生を麻雀に見る人もいれば、競馬に見る人もいます。 どちらも楽しい遊びですが、やはり競馬に惹かれるのは、 私の運命ですか? 麻雀においては自分の意志で自分の運命を変えられる ように見えます。競馬はどうでしょうか。 悩んで考えて我々は馬券を買いますが、その過程は結果に なんら影響を及ぼしません。 競馬においては運命の流れの前に意志はほぼ無力なのです。 そういう意味において、麻雀は対話であり、競馬は独白だと 言えるでしょう。終わりのないモノローグ、意志の届かぬ運命。 そして残る自意識の残渣。 自分の意志で人生を切り開くのだと意気込んでいた時もありました。 馬券が一瞬で紙屑になってもそれも運命かと思うようになりました。 それでも将来に思いを馳せ、予想紙を必死で読み、あえぎ苦しむのが 人間の良いところ。 諸行無常の現世、今日から二〇〇二年です。 一応午年ですので馬ネタでした。 今年も宜しくお願い致します。 --------------------------------------------- Naohiko Matsumoto |
「宝塚記念の日に」 梅雨の合間の晴れた一日、空は青く晴れ渡り、夏の訪れが近い ことを感じさせた。 阪神競馬場は7万の人を集 めている。今日は宝塚記念である。 私はいつもは決して持たない程の大金を持ち、阪神競馬場の パドックにいた。天皇賞で1着2着を分け合った テイエムオペラオー とメイショウドトウが人気である。 宝塚記念と私は余り相性が良くない。今年も馬券は当たらないかもな と考えながら競馬新聞と周回する馬とを互いに見やった。 テイエムの仕上がりは最高としか言い様がなかった。大阪杯でみた 馬体も素晴らしかったが、その時とは天地 の差である。この馬を外す わけにはいかないな、と観念し、他の馬に目をやった。 昨年の準三冠馬エアシャ カールは入れ込みも目立たず、黒光りする 素晴らしい馬体だった。偶然にもテイエム・エアの組み合わせは馬連で 4−8、私の誕生日と同じ組み合わせになる。買わずには置けまい。 その2頭以外に私が買う馬はもう決めてあった。大阪杯でテイエムを差し 切ったトーホウドリーム、同じく大阪杯でテイエムに競り掛けて行き、3着 に敗 れたもののテイエムには勝ったアドマイヤボスである。 この2頭を加えた4頭はどれもパドックでは素晴らしい馬体に映った。 どう言う訳か、メイショウドトウは全く目に入らなかった。 マークシートを塗りつぶし、発売所で馬券を買った。かつて賭けた事の ない金額の馬券だった。 スタンドで二杯目のビールを買い、馬場へ出た。人数は発表ほど多く感じ ない。強い日差しの下、馬場まで出 てくる酔狂な観客は少ないのだ。 汗が全身から噴出す。暑い。地面に腰を下ろし、ビールを少しずつ口にし、 タバコに火を点け、額の汗を拭いながら宝塚記念の発送を待った。 ファンファーレが鳴り、私も腰を上げた。観衆がざわめく。ゲートが開き、 馬群が目の前を走り去る。明らかなスローペースが3コーナーで動いた。 メイショウが仕掛ける。テイエム以下の差し馬も徐々に追い出す。先頭が 4コーナーを回った。テイエムはメイショウのはるか後方にいる。エアもトウホウも アドマイヤもメイショウに大きく水 を空けられた。 観衆が騒ぐ。ドトウだ!ドトウだ!メイショウの足色は衰えない。テイエムはもう 届かない。他の馬ももう一杯だ。 最後にテイエムが目の覚めるような末足を繰り出した時にはメイショウは既にゴー ル板の向こうにいた。 私の馬券はかすりもしなかった。 馬場から単車置き場へ歩きながら、何の感慨もないことに気づいた。ほんの 何年か前には何千円かでも負ければ悔しくて悔しくて仕方なかったものである。 その10倍以上もの大金を一瞬で失ったにもかかわらず、私は何の悔しさも悲しさ も感じなかった。 何度も何度もこの場所へは足を運んできた。勝った日もあるし負けた日もある。 浮き沈みを繰り返しながら、それでも勝てば嬉しかった。負ければ悔しかった。 今日の私は悔しがる番であったが、何も感じなかった。 かつての私は永遠に失われてしまっていたのである。 そのことに気づき、私は切ない気持ちが胸に満ちてくるのを意識した。 今年の宝塚記念は終わった。私のちっぽけな感慨なぞ知らず、来週も馬は走る。 もうすぐ夏が来る。 |
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