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日本酒の味分類

日本酒を日本酒度に基づき、プラスの数値が大きくなるほど辛口、マイナスの数値が大きくなるほど甘口にあると一般的に説明されていますが、実際に飲んでみるとそうとは思えない場合が良くあります。酒造技術指導の第一人者であった、故上原浩先生はこのことについて次のように言っております。
「日本酒度と酒の甘辛が比例しない一つは、酒の甘さを呈する成分が糖分だけではないということであり、もう一つの理由は酸度との関係にある。」

酸度と日本酒度の関係

酸度は酸味の度合いを表し、数値が大きいほど酸味も強い。一方、日本酒度は糖分を中心とした、エキス分の含有量を示すもの。こちらは数値がマイナス方向に大きいほど、豊潤な甘口になる。
ただ、日本酒度がマイナス値でも、酸度が高ければ甘味を消して辛口に感じられる。ふたつの数値と、味の相互関係を示したのが次の図表(上原浩著の「純米酒を極める」から抜粋)です。しかし、それぞれ酒が独自の風味を持っており、また辛口、甘口などの捉え方は人により様々であり、これらの数値だけで4タイプに分類することは難しい面がありますが、この分類は敢えて4分類するとした場合の参考とするのであれば有効だとされています。

「日本酒度」

人によって感じ方が異なる甘口や辛口などを数字的に表した尺度で、日本酒の比重を表しています。これは4℃の時の水の比重を±0とし、これより比重が大きいさけに−(マイナス)をつけ、比重が小さい酒に+(プラス)をつける。甘口ほど比重は大きく、マイナスが大きくなり、辛口ほどプラスが大きくなります。

「酸度」

酒に含まれるコハク酸、リンゴ酸、乳酸などの酸の量を表します。酸度が高いほうが、こくのあるしっかした味わいに感じられ、日本酒度がマイナス(=甘口)だとしても、酸度が高ければ辛口に感じられることがあります。一般的に1.0〜1.8が平均値。柑橘系フルーツのような酸味でなく、旨味をともなった酸味が日本酒の持つ酸の特徴です。

上原浩著の「純米酒を極める」(発行所 光文社)より。


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