第34号(2000年11月)





汚染水が海中へ流出の疑い
≪フェニックス処分場に未処理医療器具を投棄か≫
厳重な調査実施と十分な安全対策を!
フェニックス廃棄物処分場は、回りを鋼矢板で遮水した中へ順に廃棄物を投棄し、海を埋め立てていきます。この尼崎沖の埋め立ては1990年から始まり、主にゴミの焼却灰や産業廃棄物が投棄されています。
ここで問題なのは、この管理型処分場に捨ててはいけない未処理の注射器や廃自動車が捨てられていた可能性が高いことです。併せて処分場内のダイオキシン等に汚染された汚水が、海に流れ出ていた疑いがあることです。
丸尾牧は、90〜93年に処分場で働いていたAさんから、この重大な環境汚染の問題について、証拠写真とともに話を聞きました。
血液の付着した注射器や廃自動車については、Aさんの撮った写真によって、それが事実だろうと確認できます。汚水漏れについては、写真だけではわかりにくいのですが、Aさんと同様に「水が渦を巻いて外へ漏れ出していた」とBさんも証言しています。このように複数の人の証言から情報の信憑性は高いものと思われます。
Aさんは、97年度に尼崎市の担当者に「問題があるがどうするのか」と問いただしたのに対し、市当局は処分場の管理者である大阪湾センターに確認をした上で、「水漏れ、注射器投棄、自動車投棄はない」と答えたということです。
丸尾牧は、指導権限をもつ市当局に対して、「97年度に汚水漏れ等の確認をどのようにしたのか」と質問したのですがその答えは「センターが内水位の確認をし、内水と海水の水質調査結果等から水漏れはありえない」ということでした。しかし、汚水漏れがあるかどうかの判断は、水位を一定に保っている排水処理装置を停止しなければ出来ません。
丸尾牧が調査の内容について行った質問に対して、市当局は納得の行く答えを出していません。車や注射器についても、埋められた場所を掘り起こす確認作業を行った形跡はありません。
さらに、調査主体である大阪湾センターにも、市当局と同様の調査内容を問い合わせたのですが、「担当者が替わっている」という理由で、10月13日時点で何の回答もありません。このような状況は97年度の調査が適切に行われていない疑いを濃厚にするものです。
もしも当時、汚水が漏れていたのなら現在も処分場に海水が行き来している可能性があり、ダイオキシン等が海へ漏れだしていることになります。
大阪湾センター・尼崎市当局ともに、メンツなどにこだわらず、十分な再調査をして安全にたいする万全の対策を講ずる責任があります。
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ごみ焼却炉の入札で談合疑惑
≪企業共同体を提訴≫ 市民オンブズ尼崎
96年8月に、日立造船などJV6社が尼崎市のゴミ焼却施設建設工事の入札に参加し、日立造船JVが106億9千万円で落札しました。予定価格に対する落札価格の比率である落札率は99.17%。驚くべきことです。
公正取引委員会は、上記の尼崎市の入札を含め全国で60件の焼却炉建設工事で談合があったとして、クボタを除く5社に独占禁止法違反の排除勧告を行いました。しかし5社はこの勧告を拒否し、現在公正取引委員会において審判が開かれています。
市民オンブズ尼崎は、談合によって割高の契約を行い尼崎市が落札価格の10%(10億900万円)の損失を被ったとして、その金額を尼崎市当局に代わって企業に返還を求める訴えを起こしました。
尼崎市当局は、今まで談合事件があっても、談合による損失分を企業に返還させていませんでした。尼崎市の入札における談合を無くすため、また尼崎市当局の企業に甘い体質を改めさせるためにも今回の提訴は大きな意味を持ちます。
9月議会では、他のゴミ焼却炉建設工事契約が議会に提案されました。落札金額は約226億円、落札率は90.37%でした。従前の入札と異なり、競争原理が働いたのか落札率が9%程(約22億円)下がっています。市民オンブズが提訴した効果が早くも現れているのでしょう。


ゴミ焼却炉工事入札結果の比較                単位:円
1996年8月 2000年8月
入札予定価格 10,697,597,806 入札予定価格 24,981,237,750
落札金額 10,609,000,000 落札金額 22,575,000,000
落 札 率 99.17% 落 札 率 90.37%
   
日立造船JV 10,609,000,000 タクマ 22,575,000,000
川崎重工業JV 10,866,500,000 日立造船 23,037,000,000
タクマJV 10,918,000,000 荏原製作所 23,247,000,000
日本鋼管JV 11,124,000,000 日本鋼管 23,835,000,000
三菱重工業JV 11,257,900,000 川崎重工業 24,444,000,000
クボタJV 11,330,000,000 三菱重工業 25,305,000,000






「市民を議会へ」 バックアップスクール終る
≪スクールから4人の市議立候補 ≫
  『現在の議会は、住民投票条例を否決するなど時代の流れについて行けず機能不全に陥っている。尼崎市議会も閉鎖的な体質に戻りつつある。その状況を打破するために、普通の市民がもっと政治に関わる、あるいは議員になることが必要である。』
そのきっかけ作りとして、バックアップスクールで約半年間、政策や選挙の仕方を学びました。
 参加者は、実行委員会のメンバーを含め約40名程が全回参加で申し込み、1回参加を含め60名程の人が、講座に出席しました。下は高校生から上は70歳を超した人まで多彩な顔触れでした。
 この企画が成功したことのひとつを皆さんにお伝え致します。それは、この講座参加者の中から来年6月の尼崎市議選に4名が立候補を予定し、西宮市でも一人が立候補の検討を始めたということです。バックアップスクールの目的のひとつは、普通の市民が議会へ入っていきやすくすることですから、卒業生が立候補するということは、その目的の半分が達成できたことになります。卒業生自身の活躍を祈ります。







≪公共工事≫ 財政再建 市民に負担を言う前に
改革が遅れている尼崎市の入札制度
尼崎市の現在の入札制度では、競争原理が働いていないことを、議会の場で何度も指摘し「ほうれん草通信」でも皆さんにお知らせしてきました。その苦労の甲斐あって、市民からの強い意見が出され、やっと宮田市長が重い重い腰を少し上げそうなので、入札制度についてまとめてみました。結果は以下の表のように、尼崎市がこれまで制度改革に極めて不熱心なのがわかります。
しかし、尼崎市の財政状況は呑気なことを言っている状況ではありません。99年度末決算見込みで市債残高が過去最高で約2,123億円(市民一人あたり約45万円)になり、さらに今後財政状況はますます厳しいところへ追い込まれます。
いま仮に入札制度改革が進み、入札における落札率が10%下がると、2000年度予算で普通建設事業費約296億円なので、その部分において最低でも年間30億円程の予算が浮くことになります。市民に更なる負担を押し付けないためにも、入札制度改革はただちに実行しなければなりません。建設業界から多額の献金を受け取っていた宮田市長さん。目を覚まして下さい。


            入 札 制 度 比 較 表               2000年10月現在
  鎌倉市 横須賀市 座間市 広島市 尼崎市
制限付き一般競争入札対象工事 1億5千万円以上 全て 1億5千万円以上 10億円以上 10億円以上
工事希望型指名競争入札の導入 × 公募型 ×
低入札価格調査制度の導入 × ×
入札前の参加業者名非公表 ×
見積もり内訳書の提出 × ×
工事箇所の事前公表 × ×
入札回数 2回 1回 2回 2回 無制限
談合情報対応マニュアル作成  ○
設計金額の事前公表 × ×
設計金額の事後公表 × ×
入札予定価格の事前公表  × × × ×
現場説明会廃止
登録業者のランク公表 格付け廃止 × ×
入札会場公開 × × ×
注 : ○は実施、△は一部又は例外的に実施、×は不実施          作成 : 丸尾 牧
                            
工事希望型指名競争入札: 登録業者のうち希望する業者が全て入札に参加できる入札。行政の恣意的な指名がなくなる。
低入札価格調査制度: 入札において業者が最低制限価格より低い札(価格)を入れたときに、行政が調査した上で落札者を決める。
入札前の参加業者名非公表: 一般的に入札前に参加業者名を公表するため談合がやりやすくなっている。
入札回数: 一般的に業者は設計金額等かなり高い精度で積算しており、入札は2回程度で十分だと言われている。尼崎市の一般競争入札の入札回数は3回。
入札予定価格の事前公表等: 事前公表することで、業者や政治家が予定価格を聞き出すことがなくなり犯罪は減るが、入札で高止まりする懸念もある。
現場説明会廃止: 行政側の呼びかけによる業者が一同に会する機会がなくなり、談合防止に役立つ。
登録業者のランク公表: 行政側の恣意的な指名が減る。


市民自治・環境・福祉のまちづくりを





子供を救え!「小児救急体制の充実を」
議会生活福祉委員会
 インフルエンザ脳症により子供を無くした母親から、医療センター休日夜間急病診療所(1次救急)の、夜間開設時間の延長など小児救急体制の充実を求める陳情書が、議会へ出されていました。
 議会の委員会では、陳情書を採択することに否定的な意見もありました。しかし、最終的には、「医師会等と協議の上、小児救急の充実に努めること」との意見を委員長がまとめ、市当局にその意向を伝えました。
 これまで小児救急体制の充実に積極的ではない市当局が今後、前向きに取り組むことを望みます。


       

【今後の課題】 いつでも診療が受けられるように
病院、診療所が閉まっている夜間(19〜22時)、早朝(6〜9時)、土曜日(12〜22時)の空白時間帯について、診療所の時間を延長すること。
空白時間帯について、どの病院に行けばよいかを、市民に分かりやすく広報すること。
救急告示病院における 小児科医師の空白時間帯を作らないこと。
輪番病院( 2次救急 : 持ち回りで救急の受け入れをしている病院 ) を市民に公表すること。
救急車が 今まで以上に現場に早く駆けつけられるようにすること。



小児科等の診療時間の現状
≪空白時間に危急事態が起こると大変!≫
医療センター休日夜間急病診療所  TEL. 6436-8701
 内科・小児科 平日  午後10時〜翌日午前6時  1次救急:軽症患者
休日  午前9時〜翌日午前6時  2次救急:重症患者
 耳鼻咽喉科 休日  午前9時〜午後4時  3次救急:重篤患者
 眼    科 休日  午前9時〜午後4時  


救急告示医療機関 (1次・2次救急、24時間対応)
昭和病院(小)、岡田病院(小)、近藤病院、安藤病院、大原病院、牧病院、県立尼崎病院(小)、神崎病院、尼崎中央病院(小)、合志病院、大隈病院、田中病院、青木診療所、杉安病院、立花病院、西武庫病院、県立塚口病院(小)、ヒトラ外科病院、東青木診療所、アイワ病院、おおくまリハビリテーション病院

  ◆(小)は小児科のある病院、但し24時間小児科医が常駐しているのではない。

 

3次救急病院
兵庫医科大学付属病院、関西労災病院、県立西宮病院


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