北海道親子自転車旅行2002

■8月12日(月) 茅沼→釧路 霧のち晴れ

北海道を自転車で走る最後の日。今年の北海道は寒いが、予想していたより 天気は良かった。最後の1日は、晴れた夏空の中を思い切り走りたい!

6:00

 目が覚める。とうとう自転車で走るのも、今日が最終日になってしまった。 昨夜も星が見えなかったが、今朝の外の景色は霧が立ち込めていた。 連日早起きを続けていたタカヒロも、今朝は起きてこない。
6:30

 タカヒロも起きる。父が「温泉だから、朝風呂に行こう」と、誘うが、 タカヒロは、「今朝は入らない」という。「疲れているんだなー・・・・・」 ただ、窓の外が明るくなり、青空も見えてきた。今回の旅行で、初めての晴天。 最終日の一日は天気もよく、楽しく走れそうだ。
7:00

 朝食を食堂でいただく。小鉢に入った「イクラ」をご飯にのせた「イクラ丼」にして 食べる。タカヒロはご機嫌である。和食にもかかわらず、食後にコーヒーというサービスがあった。 一杯のコーヒーで、親子そろってうれしくなってしまう。
8:30

ホテルむらぎしの前で  チェックアウト。このホテルは、今回、自転車旅行の参考に読んだ『奈々ちゃん、 少し休もうか(父と娘の北海道自転車旅行記)』:(冨山房/佐古氏)の作者が、実際に 宿泊したホテルである。今回、私たちも観光地、釧路までの距離、温泉とプールがある こともあり、お世話になった。 本の親子の話しをすると、とても懐かしそうに当時の話しを聞かせてくれた。 <お父さんだけが元気で張り切っていたこと。娘の奈々ちゃんは、疲れて食事もやっと。 ホテルに着いたときには、泣きそうだったらしい・・・・・・・。> 今日の予定は、釧路湿原。お店や上り坂の情報を教えてもらい、自転車に荷物を載せて いると、ホテルのおばさんに「オニギリを持っていく?」と、声をかけていただいた。 2人で顔を見合わせたが、旅人への優しい心遣いに、遠慮なく甘えることにした。 「湿原の細岡展望台で、湿原を見ながら昼食だー。」と、楽しみが増えた。 また、「朝5時頃に、ホテルの露天風呂まで、エゾシカが来ていたヨ。」と思わぬ話しを聞いた。 こんな民家のあるところまで、エゾシカは来るのだ。 そして、JR塘路駅前に、エゾシカ公園があることも聞いた。
8:50

雌阿寒岳、雄阿寒岳が見える  自転車での最終日の始まり。晴れていても、空気が冷たい。でも、気分は最高。 ホテルを出てすぐ、一気に国道の下り坂からのスタート。 道路は整備されているが、釧路へ向かう車が多い。 観光で走っているレンタカーよりも、周辺の人々のマイカーやトラックが増えた。 地図では読み取れない坂を上ったり、下りたり。想像以上に苦しい。 後方右手には遠く雌阿寒岳と雄阿寒岳が小さく見える。 しばらく走ると、右側にザルボ展望台入り口。塘路湖を左に見ながら、緩いカーブを曲がり、 ふと振り返ると、8台の自転車集団に吸収された。挨拶されながら追い越されると、 2人と同じ、JR塘路駅方面へ曲がっていった。
9:20(8.9キロ)

 自転車の集団も、私たちと同じく、エゾシカに会いに来たみたいだ。 線路沿いには、数頭のエゾシカが金網の中で飼われていた。冬はどうしているのかなー? 自転車集団は、昨日摩周湖で見かけた自転車達だ。タカヒロも見覚えがあるという。 声を掛けると静岡大学のサイクリング部で、リーダーと思われる青年は、昨日、摩周湖にいたこと。 今日は釧路まで走って、明日には苫小牧まで輪行すると話してくれた。 また、駅前で記念写真を撮っていると、駅の仕事をしている方に、「鶴を見せて上げる。」と、 声をかけられた。汽車の本数の少ないホームから、「遠くの木の先の方にタンチョウ鶴の親が、子供に 飛び方を教えているヨ。」と、教えてくれた。何気ない風景の先に、大きな自然が残る北海道。
10:10

塘路駅前で  感動したタカヒロは、ここでもまた標茶で飲んだ飲むヨーグルトを一気に飲んで、 大学生達の後を二人で追った。 塘路駅の先は、すぐに上り坂が続く。これまた結構厳しい坂。周りにはお店も、民家も無い。 頑張って上った先には、今度は急なカーブと下り坂。一気に滑り落ちていく。 しばらく走って、細岡駅の案内標識で、西村商店の手前を右に曲がり、達古武沼を右手に見ながら走る。
11:25(22キロ)

 JR釧網本線の線路を渡り、細岡駅で観光客で満員の「湿原列車ノロッコ号」を見送った。
12:10(24キロ)

雄大な釧路湿原  細岡展望台駐車場に到着。ここから歩いて展望台まで進む。 駐車場には、先ほどの大学生達の自転車が止まっていた。 タカヒロが、「キタキツネー!」と、叫んで、カメラを持って走った。 道路脇からキタキツネが現れた。人に馴れたキツネかと思いきや、口にはエゾシマリスをくわえていた。 「エゾシマリスから血が出ていたよ」と、即座に観察し、自然界の厳しさを学んでいた。 父は、自然と闘って生きているキタキツネと会って、「ホッ」と、したのが本音である。 展望台でホテル・むらぎしのおばさんに作ってもらったオニギリで昼食。 細岡ビジターズラウンジで湿原の情報を集め、ホットドッグとピザでさらにお腹を一杯にする。
13:00

 ゴールの釧路駅を目指してスタート。来た道を戻らず、岩保木山方面の林道へとそのまま 走る。荒れた路面と聞いてはいたが、MTBではそれほど苦にも感じなかった。 途中、道路脇の草が「ガサガサッ」と音がし、キタキツネに会えるか期待したが、 大きな発見もなかった。本当は遠矢手前の仮監峠を避けようと、荒れ林道を選んだのだが、 意外に距離も遠回り。峠道も今や新道が開通し、それほどでも無かったのかもしれない。
14:30(38.1キロ)

 遠矢町のコンビニで休憩中、またも先ほどの大学生集団が手を振って通り過ぎた。 休憩後、すぐに集団を追った。 ここからゴールまでは約10キロ。 本当にゴールを迎える。交通量も多く、歩道を自転車で走る。まだまだ走っていたい気持ちと、 疲れとお尻の痛さから走りたくない気持ちが複雑に交じる。オホーツ海を背にして走り続け、 とうとう太平洋側の町:釧路に入った。天気も雲が出てきて、走っていると寒さを感じた。 「あと5キロ」、「あと4キロ」、「あと3キロ」と、1キロ単位のカウントダウンが始まった。 もうすぐゴール。釧路駅前の通りに入った。父は「茶色の駅ビルが目に入る。 ゴールが見える!」と、タカヒロを励ます。 無事に網走から走って来た。「もう走らなくていい・・・・・・・。」 「よく走ってきたタカヒロ・・・・・・。」
15:30(48.2キロ)

ゴールの釧路駅前で  釧路駅前。「やった、良かった。」感動のゴールである。完走した喜びに感動! そして記念写真。そして、静岡大学の学生と駅前で再会し記念撮影。 「本当に良かった・・・・・・。」
15:45

 感動の余韻を味わう暇も無く、駅前のホテル:釧路ロイヤルインへ自転車を押して歩く。 今日の夕食時に外出できるよう、すぐにホテル前で自転車の梱包作業 を開始。 今日中に発送しないと夕飯を食べに出かけられないのだ。父はただ焦る。 (梱包作業:所要時間2時間。まだまだ練習が必要かな?)
18:00

 無事完走できたことを自転車に感謝する暇も無く、父と子の自転車はそれぞれの 輪行袋で眠りについた。 しかーし、ヤマト運輸さんに電話をしたが、「いつ行けるかわからない。」と、受付の女性に言われた。 2人に緊張が走った・・・・・。この自転車を送らないと、寿司がたべられない。 結局18:50まで、部屋で待機しながら、ヤマト運輸さんを待った。
19:00

釧路の寿司屋  寿司屋へ向かう。駅前を歩き約10分。3件目の寿司屋で、旅の最後の夕食を 食べた。二人でたくさん食べた。そう、金額は言えない。 ホテルへ戻る途中で、閉店間際のお店でアイスを買った帰った。 部屋ではNHK−BS放送で白黒の鉄腕アトムが流れていた。 北海道最後の夜は、ホテルのバスタブに湯を貯め、全ての旅の疲れを洗い流した。 少し寂しい気がする。
22:00

 就寝。テレビの明日の天気予報は、雨。もう走らない、雨でも何でも平気だ。 カッパを着る必要もなくなった最後の夜。静かな釧路の夜だった。

■本日の走行距離:48.2キロ 全走行距離:205.7キロ

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