北海道親子自転車旅行2002

■8月9日(金) 網走→川湯温泉 曇り一時小雨

 北海道自転車旅行の本当の意味でのスタート。天気は晴れるのか?  走っている時は寒くないのか? 事故も無くゴールの釧路まで走りきれるのか? 不安なまま北海道最初の夜は明けた。

5:00

 起床。天気が気になって寝ていられない。すぐに窓から外の様子を確認する。曇り、寒い。 今日の行程を復習しながら、朝食までの時間はテレビを見ながら、出発の準備を始めた。
6:30

 小雨が降り出した。初日のスタートからカッパを着ることになるのか・・・・。 「雨の中走ることになるかもしれないが、安全運転で行こうー」と、父はタカヒロに話しかけた。 タカヒロは、いつもと変わらない。雨を気にしているのは、父だけなのかもしれない。
7:00

 朝食。ここのホテルは和食である。バイキングでないホテルの朝食も久しぶりだ。 普段より多めに食べておこう。今日のお昼は決まった時間に食べられるか?  また、外の雨も気になる。 初日の走行予定距離は61キロ。峠越えも控えているので出発は早めの8:30に決める。 チェックアウトを済ませ、ロビーでカッパを着ることになった。
8:30

かに本陣友愛荘の前  ホテルの方々に雨の中見送られてのスタート。カッパ+靴の上には、 靴カバー(コンビニ袋)で北の雨に立ち向かう格好。ホテル前の坂を走り下り、 すぐ近くのコンビニで飲み物(麦茶+アクエリアス)とオニギリとおやつを蓄えた。  
8:45

 コンビニから再スタート。網走刑務所前を通過し、網走駅前を通過。 雨は相変わらず小雨状態。早速、交差点でツーリング中のバイクと「ピース」サイン であいさつをかわした。タカヒロに、あいさつの仕方を教える・・・・・。
9:10

 父の後方で、「ガシャーン!!」と大きな音がした。振り返るとタカヒロが 歩道のアスファルトに転がっている。脛(スネ)をぶつけたらしいが、 濡れた路面をカッパを着ていたことで、 滑走したことにより、大きなケガにならなかった様だ。 タカヒロは、「道路の油でタイヤが滑った」と言う。新車のMTBにも損傷は無かった。 改めて無事故で走り切れるように祈り、慎重に再スタートを切った。
9:40(10.9キロ)

鱒浦駅前の休憩  鱒浦駅前の「入丸水産」さん前で休憩。 今年の冬、父が流氷見物に訪れた際、「タラバガニ」を買ったお店だ。タカヒロは生きた カニを見せてもらった。お店の人には、「カニはこれからがシーズンで、今は価格が高いよ!」と アドバイスをいただいた。最終日までには、何か良いお土産を買わないといけない。 昆布の打ち上げられた海岸線を2台の自転車は走り、白鳥の飛来する塘沸湖を過ぎる。
10:50(21.7キロ)

小清水原生花園前  雨も上がり、カッパを着て走っていると蒸れて暑い。 サウナスーツを着て運動をさせられているようで不快な気分のまま、小清水原生花園へ到着。 ここはJR原生花園駅前にあるというより、原生花園の前にJRが駅を作ったのが正しい。 タカヒロの夏休みの自由研究のためにも、じっくりと時間を取る計画だ。 駅のすぐ脇のゆるい坂を登ると、 「ハマナス」「クサフジ」「月見草」が咲き、目のまえにはオホーツク海が広がる。 父は何度も北海道に来ているが、「ハマナス」を見たのは初めてだ。 「ハマナスは、バラ科の植物なんだ・・・・・・・。」と、タカヒロは記憶した。 車やバイクには無い、のんびりとした自転車の旅のお陰かもしれない。 売店で、ハマナスソフトを食べ、揚げジャガを食べた。売店のおばさんに自転車で旅を していることを話すと、タカヒロにこっそり牛乳をサービスしてくれた。 タカヒロは、「ご馳走してくれたネ」と言った。旅人に優しい人々に出会って心も体も元気に なった。
12:20

 浜小清水駅(道の駅:はなやか小清水)へ到着。原生花園から20分。 ほぼ予定通りでの昼食を食べる。原生花園で食べたばかりで、あまり食が進まないが、 私は天ぷらうどん。タカヒロはえびカレーうどんを食べる。「麺は手打ち」で、おいしかった。
13:00

じゃがいも街道の風景  午後の部スタート。後は川湯温泉に向けて一気に走り切るのが今日最後の課題。 浜小清水からは国道を少し離れ、「じゃがいも街道」を走る。この周辺はカルビーのポテトチップ用 のじゃがいもを栽培しているらしい。また、ロール状の乾し草も多く北海道らしく、 歩道も広く走りやすい。ただし、走っても走っても平地ではなく、徐々に坂を登っている 様な抵抗を感じる道でもあった。
14:05(36.3キロ)

 市街地に入り、子馬とダチョウが目に止まり休憩を取る。 これからは最大の難関「野上峠」を目指すため、水分とお菓子を補給。 事前の調べでは、55キロ前後が峠になると予想していた。残りあと約20キロ。 ホテルへの到着時間を考えると余裕もなくなってきたが、長めの休憩を取る。
14:30

 覚悟を決めて、野上峠を目指してスタート。 交通量は少なく、路面を転がるタイヤの音が辺りに響き、道路脇の景色もいつの間にか 林間コースに変わっている。 空気は寒いが、Tシャツ1枚でちょうど良い。雨でカッパを着てこの坂を登るとしたら、 雨で濡れるよりも蒸れて濡れる不快感で思うように走れなかっただろう。 そしていつしか、ペダルを漕ぎ、「シャー、シャー」というギアの音も止まった。
15:40(50キロ)

 とうとう漕げなくなった。二人して峠道を押し始める。 歩いていても寒さを感じるほどだ。 車はどんどん走り去って行く。「峠まではあと5キロ位かな?」とタカヒロに声をかける。 スピードメータの距離計を何度も見るが、自信はなかった。 時々振り返ると、後ろには転げ落ちる様な下り坂が広がっている。 押し続けて約1時間。鼻には硫黄の臭いを感じ始めた。川湯や硫黄山からの臭いか、 間違いなく峠が近いことを感じられる様になった。
16:45(55.7キロ)

野上峠征服  野上峠到着。標高351m。高さはそれほどでもないが、 やはり上り坂には違いがなかった。売店もトイレも無いただの峠。達成感・満足感を味わい ながらも、ホテルへ急がなければならない時間になってしまった。 屈斜路湖と硫黄山を見ながら、急な坂道を延々と下る。ペダルを漕がず、ブレーキをかける だけで、ますます寒さを感じる。 「寒いなー、温泉で暖まりたいなー」 「ウン」 峠を下りきったあたりで温泉街までは2キロほど。
17:30

 川湯温泉:御園ホテル着。なんとか無事に走りきった。今日は温泉でゆっくりと 疲れを癒そう。ここのホテルでも、親子が自転車で来たため、また優しく出迎えていただいた。 大切な自転車はホテルの玄関の風除室に置いて、いたずらされない様に気遣ってくれた。 盗難の心配だけでなく、冷え切った体には建物の中で、荷物を降ろせ暖かく作業が進んだ。
18:00

 まずはホテル自慢の温泉へ。今日は川湯温泉。しかも草津温泉と並んでの名湯らしい。 温泉に入ると体は温まり、肌はスベスベ。お湯が目に入るとしみる。 二人で温泉のお湯を飲むと、思わず「酸っぱーーーい!」と、目を細めて叫んだ。
19:00

御園ホテルの夕食  夕食。テーブルには刺身、鳥肉の陶板焼き、石狩鍋、 白身魚の天ぷらと続く。 本当の意味で、道内初走行の無事を祝い 「乾杯だー!」
21:30

 2回目の入浴。露天風呂に入ると小雨が降っている。また明日の天気を心配 しなければならない。天気が良ければ今晩は「摩周湖星紀行」で真っ暗な摩周湖第一展望台 で天の川や流れ星を見る予定でもあった。夏休みの自由研究その(2)は、 悪天候のため中止になった。 入浴後、売店で絵葉書を買い、タカヒロは友達に旅先から残暑見舞いを書いた。
22:20

 就寝。タカヒロはすぐに眠りについた。私は今日も、なかなか眠れない。 疲れてはいるが、緊張しているためだろう。羽毛布団を掛けて眠るが今日はちょうど良い。  

■本日の走行距離:64.7キロ

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