木曽谷ハナノキの自生地
奥原弘人氏調べ
木曽谷の南部は、伊郡谷の南部ハナノキの自生地と共に調査されている。
自生地は、何れも山麓の緩やかな傾斜地であり、湧水湿原でミズゴケ、スゲ類など、伊那谷の自生地と共通する植物も見られるが、暖地性の湿地植物が混生しているのが待徴である。横内斎氏は、美濃三河地域系として、ハナノキ、ベニマンサク、ヒトツバタゴ、キソイチゴ、ミ力ワバイケイソウ、シデコブシ等をあげられている。また、ハナノキ、ヒトツバタゴ等は北アメリカ東岸と共通なモクレン型分布を示している、とも言われている地域である。
主な分布を上げると次のようである。
大正12年 河野齢蔵氏 調べ
長野県に於いては岐阜県に近き木曽の南部神坂村字大林、田立村千旦林正兼、大桑村長野鹿子山等に自生し、長野をもってこの分布の最北限とせり。その標高は5百mないし6百m内にあり、 ・・
1、神坂村梵天山の東南山麓字大林
地籍 牧野金三郎所有地、勝岡幸太郎所有地1438坪
産地 梵天山の山麓東南に向かえる緩傾斜地にして、東南は水田に接して花崗岩質変磨岩の巨岩散在せり。樹林はハナノキ、ウリハダカエデ、シロモジ、ミズ、ノリノキ多く、スギ、ソヨゴ、モミ、アセビ、イヌツゲなどの常緑樹を交える。ハナノキは主として湿地に散生し、この中の一株は目通周囲約2、9m、高さ約28mの巨木なり。
、 ・神坂村荒町 牧野勲所有地
目通約2m高さ約12m。近くに小木数十株あり。
2、田立村正兼 松川鶴三郎所有地、小幡芝助所有地
産地 南北に亘窪地にして南に向かって緩傾斜をなし小渓流を貫通せり。西はあかまつを主としてクリ:、モミ、スギ、ヒノキ、など混生。東は台地で田畑に開墾される。その窪地にやく40mを隔てて2本あり。目通約50cm高さ約20m、と目通約70cm高さ約17mある。雌雄不明。
3、大桑村長野鹿子山麓小字平林
産地 鹿子山の北方の緩傾斜の渓流沿い。コナラ、ミズナラ、サワラ、スギ等疎らに生え、下草笹ある。巨木3本ある。目通、約1、5m。60cm。90cm.高さ約27m〜15m。他に数本あったが枯死または伐採される。
○ 昭和46年 現在の自生地 奥原弘人氏 調べ
市町村 |
場所 |
概要 |
中津川市馬籠 | 青野(植物園)のハナノキ、 | 若木が多数自生している。 |
荒町のハナノキ、 | 2本 大木である。目通、l、6m。 1、52m。 | |
中津川市山口 | 切石向のハナノキ、 | 1本 大木。目通 1、5m。 |
南木曽町 |
柿其国有林 | 広河原のハナノキ、1本。 2、3m。 |
田立正兼 | 田立のハナノキ、伐採され無し | |
大桑村 |
阿寺国有林 | 奉行沢のハナノキ、大木。 2、28m。 |
長野平林 | 長野西のハナノキ、多数あって木曽の北限。 | |
目通 1m以上が 4本 若木 約10本。 |