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2021年4月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(95)「農場防疫管理と休憩所の工夫」

 新年度が始まりました。皆さんの農場でも新入社員を迎えたところが多いかと思います。
今回は読者様からの問い合せ「今まで更衣室がなく、物置?のようなところで着替えていたが更衣室をつくりたい」
という声にお答えする形で簡易ハウスを利用して設置するアイディアをご紹介します。
農場の規模(従業員数)によって使う簡易ハウスのサイズを変えれば対応できますので、
基本的なレイアウトや人の動線に沿って必要な設備を備える形にしたいと思います。
 まずは、どんな設備が必要かをリストアップしたものが表1です。
これらを1台の簡易ハウスで実現するのは難しいですので、図1のように3台の簡易ハウスを並べる形で設置すると良いでしょう。



この例は母豚200頭規模、従業員数35名を想定したレイアウトです。
シャワー&脱衣室は簡易ハウスの710畳タイプが良いでしょう。

図1の例ではスーパーハウスH4型(7.7畳)です。
このサイズですと1人ずつの利用になります。
予算と敷地が許せばスーパーハウス6型(10.3畳)を使うと更衣室に余裕が生まれます。

2がそのレイアウト例です。既製品では入口が1箇所ですので、通勤口側と衛生管理区域側の2箇所にドアを付けて貰います。
シャワー室は1/4坪タイプのシャワー室ユニットを設置します。
これも両側に扉が付いているタイプを選びます。
あまり見かけない仕様ですが、オプションで加工してくれるメーカーに依頼すると良いでしょう。
実際に私が以前勤務していた農場では、既存の管理棟にはシャワールームが1つしかなかったので、
女性社員の採用を機に図の様なシャワー&更衣室を作りました。

パスボックスというのは、弁当や携帯電話などを農場内に持ち込むための殺菌棚です。
ボックス内の全面と扉の内側にステンレス板を張って、上部に紫外線殺菌ランプを取り付けます。


 図3は図1の様に狭い更衣室の場合に上下に衣類棚、中間をパスボックスにした例です。
パスボックスは両側に扉を付けます。
衣類棚は中間で区切って、通勤口側は脱いだ私服用、衛生管理区域側は豚舎作業用の下着やツナギ服などを入れます。
トイレは仮設トイレを簡易ハウスと並べて設置します。
休憩室の中から行けるトイレと、作業服&外靴のまま入れるトイレと2つあると便利です。
トイレは水洗式にして、排水は豚舎の汚水配管または集糞スクレーパーピットに接続すると衛生的で、管理も楽です。

簡易ハウスは通常ブロック2段の基礎の上に載せて施工しますので、
更衣室と休憩室の間は段差を無くすように渡り板を張り、屋根もかけておくことをお薦めします。

通勤側更衣室の出入り口外にも雨をしのげるぐらいの屋根をかけ、土間コンクリートを打つと良いです。
 図1のような休憩室と更衣室を作るための予算ですが、全て新品で揃えると休憩室用ハウス本体のみが約290万円、
シャワー&更衣室用が1棟約88万円、仮設トイレが1棟約19万円、シャワー室ユニットが約15万円です。
それに流し台、冷暖房、設置工事まで入れると650800万円ぐらいでしょう。

 次に農場防疫上の人の動線の注意点です。
通勤口側と衛生管理区域側の境界にはフェンスを張り、必要に応じて作業車両の出入り用フェンス扉を設置します。
基本的に通勤口側と衛生管理区域側との行き来は、休憩室と更衣室を通過して着替えをして行います。

GP農場やSPF農場ではこのような規則が当然必要です。
衛生管理区域側に入るときはシャワーが必須ですが、出るときのシャワーは任意です。

肉豚生産だけの農場でも、ここまで徹底するのが理想ですが、既存農場のレイアウト上、
ここまでするのが無理であれば、作業着と靴の交換及び手洗いだけを必須とし、下着類の交換とシャワーはパスしても構いません。
最低限、豚舎の作業着のままで衛生管理区域外へ出る事と、通勤服と靴のままで衛生管理区域内へ入ることだけは禁止して下さい。

緊急事態で豚舎の作業着のままで衛生管理区域外へ出た場合は、出勤時と同じ手順で着替えシャワーを行い、
外へ出た作業服と靴は洗濯や洗浄消毒後に衛生管理区域内へ戻しましょう。
 
 
 

 

 

 

 

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23