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| 「豚舎・設備のお悩み解決!」(81)「冬場の湿度や換気と火災予防」
先月号で豚舎の結露は換気不足が原因と書きました。 冬は湿度が大切だからと言って豚舎を締め切って全く換気をしない農場がまだあります。 私が思うに、これは昔からの飼い方をそのまま続けているためだと思います。 確かにマイコワクチンが無かったころは、冬に乾燥すると咳込む豚がたくさんいました。 ですから、豚舎の通路に水を散いたり、豚舎を締め切って換気を抑えて湿度を確保したものでした。 しかし、その頃も換気不足による弊害はありました。 臭いがきつい豚舎で育った豚は発育が遅れ、肉質にも軟脂や肉臭の影響があったのです。 現代ではマイコが陽性でも正しいワクチンプログラムを実施し、豚舎の洗浄消毒を励行していれば、被害を軽減できるようになっています。 しかし、換気不足のままですと、肉質の問題は残ります。 また、結露が起きるぐらいの湿度過剰の状態が続きますとカビの発生や、餌箱に雫が落ちることによる餌の変質やブリッジが問題となります。 しかし、湿度が低すぎてもウイルス性の疾病は出やすくなりますから、適正な湿度を保つためには温湿度計を豚舎に備えておくべきです。 私がお勧めするのはデジタル温湿度計です。 写真1のようにペットボトルを半分に切ったものをカバーに利用すると、センサー部分も長持ちするし、液晶面が埃で汚れないため、温度湿度を読むのも楽です。 ただし、これも消耗品をとらえてください。 1年〜2年すると湿度の誤差が大きくなってきますから、買い替えましょう。 豚の最適湿度は50〜75%です。毎日朝昼夕3回は温度と湿度をチェックして換気量を調節しましょう。 離乳舎など、冬に暖房をする豚舎では湿度が低くなりすぎます。 その場合は通路を消毒剤入りの水で洗浄する野も良いですし、細霧システムがある豚舎ではタイマーで間欠運転をすると良いでしょう。 また、次の様な電気の無駄になる事例もありました。 新しく作った肥育豚舎で、順送ファンと排気ファンが独立したインバーター制御で備わっていました。 温度センサー連動の順送ファンだけ自動運転になっていました。 カーテンを閉めきって、排気ファンをOFFにしていたので、温度が上がって順送ファンが強い回転で回っているのに、湿気ムンムン、臭気ムンムンの状態でした。 私がアドバイスして順送ファンも排気ファンも手動運転に切り替えて、10〜15ヘルツで回転させるようにしてもらいました。 これで、温度も湿度も快適ゾーンになり、電気代も節約になります。 【火災予防】 12月に東北地方で豚舎火災が2件ありました。 両方とも離乳子豚舎からの出火と言うことです。 出火原因までは報道されていませんが、可能性としては、電気事故とガス温風ヒーターが考えられます。 まずガス器具は、ゴムホースと埃が火災の原因になりやすいものです。 ガスホースは数年使っていると劣化して堅くなり、ひび割れが出てきます。 そのひび割れから漏れたガスに引火すると火災になります。 次に、埃。良くあるのがパンヒーターの上に埃が溜ってそれが焦げて、火の粉になって落ちる。 そこに燃えやすいもの(オガコやプラスチック床など)があると引火すします。 ガス温風ヒーターの場合は空気取り入れ口に埃が溜ると、振動等で埃が剥がれて吸い込まれ、火の粉となって温風と一緒に吹き出されます。 そこに燃えやすいものがあると引火します。 ガス暖房器具は毎月1回清掃しましょう。 ガス温風ヒーターは写真2のようにカバーを開けて中まで清掃してください。 次に電気火災予防についてです。 古い豚舎で多い火災原因は漏電とトラッキング現象(ショート)です(図1・図2)。 どちらもネズミに電線をカジられて銅線がむき出しになることが主な原因です。 また、電線の接続部分が長い間に錆びて電気抵抗が大きくなり、その結果発熱することで火災に繋がります。 予防策としてはまず、毎月1回漏電ブレーカーのテストボタンを押して動作することを確認することです(図3)。 次に時々漏電ブレーカーが落ちる現象が続いたら、電線の劣化やネズミの食害を疑ってください。 そして早めに電気工事店に依頼して配線の点検と交換を行ってください。 天井裏に電線(VVFケーブル)をそのまま配線しているケースではネズミに囓られやすいです。 できるだけ電線管を通して室内配線に変更するようにしたほうが、配線の点検も修理のしやすくなります。 悲惨な火災事故で豚舎や豚などの大切な財産や従業員の健康を犠牲にしないように、今一度、火災予防に時間を割いて頂きますよう、お心がけ下さい。
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