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2019年11月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(79)「災害対策として必要なもの
前回は、災害対策として発電機が欠かせないものとして紹介させていただきました。
今回は発電機以外で農場に備えておくべき災害対策用具をご紹介します。
 
近年の災害といえば台風や低気圧による豪雨被害が多くなったのが特徴と言えます。
まずは豪雨災害の備えについて考えて見ましょう。
 
 最初にチェックして頂きたいのが防災マップです。
これは各市町村が作成しています。
ネットで「防災マップ ○○市」のようなキーワードで検索してみて下さい。
そうすると、水害編や土砂災害編がヒットするはずです。
 
 
図1は、私の自宅がある角田市の防災マップ(水害編)です。
1000年に一度の水害による冠水被害予測です。
私の自宅前の水田は3m以上の冠水予測でしたが、今回の台風19号では約2mの冠水でした。
 
 
図2は角田市の防災マップ(土砂災害編)です。このように、皆さんの農場でも災害予測区域に入っているかどうかを確認してみて下さい。
そしてその防災マップを農場事務所に貼っておき、避難先や避難経路を定期的に確認しましょう。
 
 実際に農場で水害が発生した場合、自宅へ帰れなくなることが予想される場合は、浮き輪やゴムボートを備えておくことが有効だと思います。
実際に丸森町で水没して孤立化した住民が、倉庫にあった断熱材のウレタンボードを浮き輪代わりに使って脱出し、命を取り留めた例がありました。
この方の家は平屋建てで、やがて完全に水没しました。
 
また、敷地の広い農場では、事務所と豚舎との往来用にナンバーのない車やバイクを使っているところがあります。
私がお薦めしたいのは、オフロードタイプのバイクです。
これですと、車よりも冠水した道路を走れますし、土砂崩れして狭くなった道路でも走れます。
ただ、残念なことに現在は公道を走れるオフロードタイプのバイクは新車販売されていません。
中古でしたらホンダCRM50、ホンダTLM50、スズキTS50、ヤマハDT50などが1020万円で売られています。
125ccではホンダXLR125、スズキジェベル125、ヤマハXTZ125、カワサキKDX125とかが20万円以下で買えます。
自動2輪免許のない人でも乗れるのは50CCですが、2人乗りで避難するには軽くて取り回しが良い125CCがベストと思います。
普段使いにも避難行にも最適です。
 
普通の乗用車が走れるのは20〜30cm水深までです。排気口が冠水すればエンジンはストップします。
オフロードタイプのバイクは吸気口も排気口も高い位置に付いていますから、エンストはしません。
しかし、横からの水流には弱いので、冠水して水が流れている道路は走れません。
車でも同じです。
水が横切っている道路は、水流でえぐられて陥没しているかもしれません。
写真3がその例で堤防から水が溢れて道路を横切っているところです。
福島県でこのような道路に突っ込んで、田んぼに流されて死亡した事例がありました。
 
 次に牽引ワイヤーやフックなど写真4、5
これらは動けなくなった車を牽引して脱出させるためには必須道具です。
養豚場ではホイルローダーを持っているところが多いですが、牽引ワイヤーをローダーに常備しているところは少ないです。
これは、冬に従業員の車が雪で動けなくなったときも威力を発揮します。
是非とも、ホイルローダーやトラクターには牽引ワイヤーとフックを常備しておきましょう。
 
欲を言えば、ユンボ(パワーショベル)もあると便利です。
広い敷地を持つ農場では自前で土地を整地したり、堆肥を切り返すのに使用しているところがあります。
小規模な土砂災害の時は行政や自衛隊が来るまで待っているよりも、自前で復旧させた方が早い場合があります。
今回の台風19号災害時、宮城県丸森町筆甫地区は、町中心部へ通じる道路が全て土砂崩れで不通となりましたが、
ユンボを持っている地元住民が、自前で道路1本を仮復旧させ、孤立を解消させました。
 
 次に土砂災害に備えるには、排水溝の整備が有効です。
農場の回りの排水溝やヒューム管は土砂が堆積して有効面積が小さくなっていることがあります。
そうすると大雨が降ったときにたちまち氾濫することになります。
農場に裏山を抱えているようなところでは、敷地境界の排水溝を年に1度は泥上げしておくことをお薦めします。
私の自宅裏は市の防災マップによると、土砂災害危険区域に指定されていました。
しかし、2年前にソーラー発電を作った際に排水溝も整備しましたし、今年の梅雨前にU字溝の泥上げもしておいたので、今回の豪雨でも土砂崩れは起きませんでした。
 
 また、電動工具などは、浸水被害を受けにくくするように床に直置きはせず、棚の上に置くことも重要です。
発電機の設置場所も農場の中で水害や土砂災害にあいにくい場所を選んで設置する事が大切です。
 
 最近は毎年日本のどこかで災害が発生します。
「明日は我が身」と用心するに越したことは無いです。
皆さんの農場でも毎年1回「防災の日」を定めて防災の備えを点検することを強くお薦めします。
 

 

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最終更新日 : 2022/01/23