「豚舎・設備のお悩み解決!」(68)「豚舎の照明の工夫」
 
新築したばかりの豚舎は明るくて仕事もしやすいですが、豚舎が古くなるにつれて、だんだん暗くなってきます。
肉豚の発育には照明器具の明るさはほとんど直接的は影響はありませんが、人間が作業するうえで支障をきたすことがあります。
例えば豚舎でデータ記録するときに暗くて見えないときは、懐中電灯で照らしたり、明るいところまで移動しなけれなならなかったりします。
特にHACCPGAPに対応している農場では、記録を付ける機会が多いですから、豚舎が暗いと従業員のストレスの原因にもなります。
 また、豚の発育への間接的な影響としては、衛生的な問題です。豚舎を洗浄するときに、十分な明るさが無いと、汚れがきれいに落ちたかどうかがわかりません。
汚れが残っていれば、病気の発生が多くなるリスクが高まります。
オールインオールアウトを前提に設計された豚舎であれば、照明器具も防水タイプを使っているはずですから、毎回照明器具まできれいに洗浄しましょう。
ハエの糞やほこりが付いたままになって、明るさが半減している豚舎を見かけることがよくあります。
もし、「水をかけると漏電するから洗わない」というのであれば、蛍光ランプを外して、ランプだけを水洗いし、電極部分の水分をよく拭き取ってから戻してください。
普段の作業の中では気付いたときにやろうとしても、そういう時に限って時間が取れなかったりします。
ですから、豚舎の洗浄時に照明器具まで洗うことを作業マニュアルに組み込んでしまうことが一番です。
 
 
 また、古くなった豚舎では、照明器具や配線が古くなって点灯しない照明器具がそのまま放置されているところもあります。
私はあるコンサル先の豚舎で、通路の照明が壊れて暗くなっているところで滑って転んだことがあります。
このように従業員の安全にもかかわりますから、壊れた照明器具は更新すべきです。
更新するにあたっては時代に即したLED照明にすることをお勧めします。
 
 
 最近はLED照明の普及が進んで価格も安くなってきました。
しかし、安すぎるものを買って発煙事故が発生した例もありますので、注意が必要です。
豚舎で一般的に使われている、ラピッドスタート型蛍光灯(グローランプが無いタイプ)であれば、直管形LEDランプに交換するだけで使えます。
ただし、安いものはグロータイプの器具専用だったりしますので、購入の際はラピッド型器具に対応しているかどうかを確認してください。
特にネット通販で購入する場合は「この商品はラピッド式・インバーター式の器具に対応しています」という表記があるものを選んでください。
「万が一、購入後に対応していないことが判明した場合は返品対応します。」と書いてあるショップなら、なお安心です。
私がヤフーショッピングで検索したときは、上記対応品が1本880円で販売されていました。参考になさってください。
 
 
 また、既存の蛍光器具にそのまま使えるLEDランプはあるものの、10年以上使った器具は劣化が進んでいますから、そのまま使うには危険が伴います。
その場合は防水型LED照明器具に交換しましょう。
例えば、40W蛍光灯と同じサイズのLED照明器具2灯式を通販のモノタローでは¥10,900(税抜き)で販売されています(写真1)。
ストールの離乳母豚や妊娠前期の明るさアップに使うには写真2のように吊り下げて設置し電源はコンセント付きでつなげて接続できるタイプがお勧めです。
 
 次にコストを見ていきましょう。
LED照明の消費電力は同じ明るさの蛍光灯に比較すると約半分。寿命は約5倍です。
つまり、ランプが切れて交換する手間も省けます。
ランプ代と電気代を合わせた年間コストも約半分で済みます(表1参照)。
 
照明器具本体も含めた年間コストは、表2のようにこちらもLEDの方が安くなります。
数年前までは本体含みだと蛍光灯の方が安かったのですが、LEDの普及に伴ってこんなに安くなりました。
まだ、LED照明器具は高いと思っている方は、この機会に是非更新を検討してみてください。
 
 
ただ、照明器具本体を含めた初期投資額となるとやはり、蛍光灯の2倍になります。
農場全体では100台以上になることが多いでしょう。
100台なら100万円ですからためらう気持ちもわかります。
そこで初期投資を抑えたい方にお勧めなのが、初期投資“0円のLEDレンタル”です。
このサービスを行っている会社は、株式会社ネクシィーズという1部上場企業です。
ここのサービスがスゴイのは工事費も含めて初期費用ゼロという点です。
レンタル終了後には、自分のものになりますから、将来も安心です。
興味のある方は、ネットで検索してみてください。電話での問い合わせは0120-945-709です。
 
 
また、照明器具の一括償却を行いたい場合は、中小企業経営強化税制が使えるかもしれません。
対象になる器具備品は30万円以上、建物付属設備の場合は60万円以上という規定がありますので、対象になるかどうかは微妙な線ですが、合計した金額を照明設備として申請してみてはいかがでしょうか。
例えば部屋全体の照明をタイマーで制御するようにして、1部屋全体で一つの設備として申請するわけです。
中小企業経営強化税制は来年3月までですので、申請するなら来年2月末までが一応の目安となります。
 
 
今月はLED照明を中心とした豚舎照明の工夫をご紹介しました。
もっと詳しく知りたい方は筆者までお問い合わせください。

 

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最終更新日 : 2022/01/23