節電の具体的ノウハウ

 71日に電力使用制限令が発令されました。需要電力500kw以上の需要家が対象ですので、養豚場で言えば母豚2000頭一貫経営以上の事業所になるかと思います。しかし、それ以下の電力契約の農場でも節電はコストダウンにつながりますので、是非取り組んで頂きたい事項です。私は本誌始め他誌でも節電関連の記事を書かせて頂きましたが、今回はより具体的なノウハウの一部を紹介します。これは私が農場勤務時代に実践して効果を出したノウハウでもあります。

まずは換気扇の清掃。防水型であれば換気扇の羽根を直接洗浄機で洗うこともできます。但し高圧洗浄機ならば少し圧力を下げるか距離を置いて噴射しないと換気扇を壊す恐れがありますから注意して下さい。また、排気用換気扇にはシャッター板が付いていますが、風圧で開くタイプではそれが空気抵抗になります。換気扇が回っている間は外側から棒で持ち上げて水平に固定すると、換気効率も上がり、消費電力も減ります。

次は力率の改善。交流モーターは高負荷運転になると消費電力も増え、力率も悪くなります。以下の点を点検、改善しましょう。
@ワイヤー式給餌ラインのコーナーが錆びたり摩耗したりカビ餌が詰まったりして重くなっていないか。異音がするようだったら開けて点検しましょう。
A給餌ラインに流す餌の量は多すぎないか。点検窓から見て1コマ間の餌量が半分ぐらいが適量です。
Bスクレーパーのコーナープーリーのベアリングが摩耗していないか。ワイヤーがゆるんで滑っていないか。
Cコンポストに投入する糞量が多すぎないか。水分量が高すぎないか。
D汚水ポンプの回りに固形化した汚泥が溜まっていないか。
E汚水配管の内側に析出物がこびりついて、管の有効内径が狭くなっていないか。
Fブロワーのエアフィルターは汚れていないか。ホコリが溜まると送風量が落ちるとともに消費電力も多くなります。
G膜処理(ROUFMFなど)モジュールの目詰まりがおきていないか。

 次にデマンド(ピーク使用電力)を抑える方法です。概論を言うと、日中運転していたもので、夜間運転できるものは夜間にシフトする。大抵の農場では糞尿処理に使う電力が大きいと思います。間欠曝気が可能なら、12時から15時までは停止する。スクレーパーは夜間にタイマー運転する。給餌ラインは早朝と夕方と夜間に回す。コンポストはできるだけ夜間に稼働させる。曝気後に膜処理して放流している施設ならば、膜処理の運転は早朝と夕方以降にする。貯留槽の関係でフロートスイッチの高さ調整が必要なケースもあります。

 また、変則サマータイムを導入する。朝7時出勤で、昼休みは12時〜15時、そして退勤時間は18時にする。昼休み時間は繁殖豚舎以外の証明を消す。昼休みが長いので、パチンコ店で涼んでくるのもいいのでは?

 また、常用型エンジン発電機を導入して、夏場だけ動く換気扇やクーリングシステムをこの電力で回すようにすれば、デマンドはかなり低くできますから、電気の基本料金も年間通じて安くなります。また、停電時の非常用電源としての活用も兼用できます。ただ、常用型発電機は容量と価格の面から、母豚500頭一貫以上の規模の事業所にお勧めします。以下のURLは発電機メーカーのデンヨーの簡易型常用型発電機のカタログページです。

http://www.denyo.co.jp/products/pdf/dlg.pdf

このコーナーでは紹介しきれないノウハウがまだありますが、興味がある方は筆者まで御連絡下さい。(メールアドレス:mack-pg@dream.email.ne.jp

 

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最終更新日 : 2022/01/23